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後半ATの決勝弾!!「カツカツでやる」東邦、名経大高蔵破って2年ぶり全国王手:愛知

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後半アディショナルタイムに決勝ゴールを決めた東邦高FW豊嶋宥達(3年)

[11.10 選手権愛知県予選準決勝 東邦高1-0名経大高蔵高 パロ瑞穂]

 第97回全国高校サッカー選手権愛知県大会は10日、パロマ瑞穂スタジアムで準決勝行い、第2試合では後半アディショナルタイムに先制点を奪った東邦高名経大高蔵高を1-0で下した。直近の全国大会出場にあたる2016年度以来、2年ぶりの決勝進出。17日の決勝戦では初制覇を狙う名古屋高と対戦する。

「足元で動かすのが向こうのスタイルだから、『簡単に飛び込まないように』って言っていたんだけど、前半は怖がって引き過ぎてしまった。消極的なディフェンスになっていた」。そう振り返ったのは勝利した東邦・横井由弦監督。試合の立ち上がりは3-4-3でサイドを幅広く使って攻め込む名経大高蔵が主導権を握った。

 前半11分、MF守永翔貴(3年)の突破を起点とした名経大高蔵は、MF奥村玲音(3年)のクロスにFW藤本拓巳(2年)がボレーで合わせ、最初の決定機を創出。その後は守永にMF藤原颯(3年)がマンマークしてくる形に苦しみつつも、自陣からのビルドアップで着実に前進すると、同33分には奥村のカットインシュートがGK木下堅登(3年)を襲った。

 前半39分にはDF田中亨(3年)の左CKにDF川合司恩(3年)がヘディングで合わせるも、またしても木下がビッグセーブ。跳ね返りに守永らが詰めたが、立て続けのシュートは枠外に終わった。スコアレスのままハーフタイムを迎え、東邦の「風下を取ったのはプラン通り」という作戦が奏功する形となった。

 後半は「やられてもいいから前に出て守備をしよう」と修正した東邦がやや持ち直す。10分、左サイドを突破したDF沼田祐輝(3年)のクロスがファーに流れ、MF野瀬翔也(1年)が右足で狙うもGK田中啓太(3年)がセーブ。同11分にはMF仲井涼太(3年)とFW豊嶋宥達(3年)がシュートを狙うと、同18分にも仲井がミドルシュートを放った。

 後半24分、名経大高蔵は最初の交代カードを使い、藤本に代わってFW久保田光星(3年)を入れると、同34分にビッグチャンス。MF青山隼大(3年)が強引な突破から鋭いカットインシュートを見せたが、これも木下がかろうじて防いだ。同37分には左サイドを再三切り裂いていたDF大森聖也(3年)を下げ、MF大野海斗(3年)がピッチに送り出された。

 時間は過ぎて延長戦も見据える時間帯となったが、交代カードを一枚も使わない東邦。だが、後半アディショナルタイム1分にスコアを動かした。左サイドを駆け上がった沼田が縦に抜けてクロスを送ると、相手のクリアボールに反応したのは豊嶋。左足シュートでネットに叩き込み、土壇場で勝ち越しに成功した。

 歓喜に沸いた背番号7は真っ先にスタンドの応援席の元へ。わずかな残り時間を守り切った東邦がそのまま試合を締め、1-0で勝利した。「高蔵のほうがチャンスがいっぱいあったので、あんな内容で勝って申し訳ない」と横井監督。「延長戦の用意もしていたし、PKあるかもと準備していたけど、点が取れてしまった」と冗談交じりで振り返った。

 これで直近の全国出場にあたる2年前以来となる決勝進出。「一昨年のほうが力はあった」と評価に甘さはないが、「ウチが勝つならカツカツでやるしかない」としぶとさは認めるところだ。「ここまで来ると思っていなかったので、本当にありがたい。選手たちにはそう伝えます」。油断なき伝統校が1週間後、同じ瑞穂のピッチで勢いに乗る新興校を迎え撃つ。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2018

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