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[MOM3354]堀越FW尾崎岳人(3年)_野球仕込みの嗅覚?前日に親友とかわした約束のゴール

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前半5分、堀越のFW尾崎岳人がヘディングで先制点を決める(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 選手権2回戦 堀越高 1-1(PK4-3)大社高 駒沢]

 タッチライン横のテレビカメラに向かって一目散に走っていった。堀越高(東京A)は前半5分、左後方からMF中村ルイジ(2年)が上げたロングボールにFW尾崎岳人(3年)が走り込むと、DFと競り合いながら上手く体を前に入れ、前に出てきたGKよりも一歩早く頭を突き出した。

 ヘディングシュートが無人のゴールに吸い込まれるのを確認すると、尾崎は猛ダッシュし、テレビカメラに向かってユニフォームをまくり上げた。15番のユニフォームの下に着ていたのは5番のユニフォーム。東京都予選の準決勝で負傷し、右足腓骨骨折などの重傷を負ったDF馬場跳高(3年)のものだった。

「昨日、馬場と1時間ぐらい電話して、自分が点を取ったらカメラに向かってユニフォームを掲げるからっていうことを話して、(5番の)ユニフォームを着させてもらった」

 親友との約束を果たした有言実行の先制点。「ああいう形は練習でもあるので、自分は味方を信じて走るだけで、いいボールが来たので合わせるだけだった」。身長170cmと体は大きくないが、ポジショニングの良さや体の使い方の上手さで対抗。ゴールという結果を残し、「小学生のときに野球をやっていて、落下地点とかは野球がすごく生きている。DFの死角から入って競るという感覚は自分の中であるのかなと思う」と笑顔を見せた。

 何より都予選の準決勝、決勝でも得点している決定力。チームとしては終盤に追いつかれ、PK戦の末に勝ち上がるという展開となったが、頼れるエースが初戦からゴールを決めたことはチームの追い風となるはずだ。3日の3回戦では丸岡高(福井)と対戦する。過去に2回出場した89年度、91年度大会はいずれも涙をのんでいる3回戦。鬼門を突破し、堀越の歴史に新たな1ページを刻み込む。

(取材・文 西山紘平)

●【特設】高校選手権2020

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