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難敵相手に前半で4-0。全国3位の“インハイ以上”求める星稜が強さ示して石川決勝へ

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前半7分、星稜高FW山下陸が右足シュートを叩き込み、先制

[10.30 選手権石川県予選準決勝 星稜高 5-2 遊学館高 金沢市民]

 課題残すも、強さ示した星稜が全国王手――。第100回全国高校サッカー選手権石川県予選は30日、準決勝を行い、インターハイ3位の星稜高が5-2で遊学館高に快勝。星稜は2年連続30回目の選手権出場を懸けて、11月7日の決勝で鵬学園高と戦う。

 後半アディショナルタイムに2点を奪われたことは「教訓」(河合伸幸監督)となったが、前半は県1部リーグ優勝校で12年連続準決勝進出の難敵・遊学館相手に圧巻の4-0。指揮官の接戦予想を大きく上回る40分間だった。

 立ち上がりは星稜MF河合伸悟(3年)、遊学館MF佐藤真之介(2年)のロングスローが投じられる中、星稜が3本目のロングスローを得点に結びつける。7分、左ロングスローをCB井上陽向大(3年)が競ると、ファーサイドに落ちたボールをFW山下陸(2年)が右足ダイレクトで撃ち抜く。本人も驚くほどクリーンヒットされた一撃。これがゴール右隅へ突き刺さった。

 先制されたものの、遊学館はCB朝内拓真(3年)中心にインテンシティの部分で健闘。星稜は縦への速い攻撃や、サイドからのクロスで次々とゴール前にボールを入れてきていたが、遊学館は各選手が競り合いで良く対抗していた。16分には、佐藤が相手MFとの1対1で完璧にストップ。すぐさま前を向いて出された縦パスでFW澤野柊登(3年)が抜け出し、そのクロスにMF疋田渓到(3年)が飛び込んで会場を沸かせる。

 星稜・河合監督も認めたように、20分過ぎ頃までは遊学館の方がより良さを表現していた印象だ。加えて星稜は30分、直前に強烈な左足シュートを放った左SB山田凌平(3年)が負傷交代。嫌な空気が流れたが31分、左サイドでMF前田一勇(3年)がスプリント力を活かして相手バックパスをインターセプトする。さらに飛び出してきたGKを“裏街道”で抜き去った前田がそのまま右足シュートを逆サイドネットへ流し込み、2-0とした。

 ビッグプレーで2点目を挙げた星稜は、一気に畳み掛ける。34分、前田の右FKを井上が頭で合わせて3-0。さらに36分には、前田の右CKのクリアボールをペナルティアークのMF戸川期雄(3年)が左足ダイレクトで叩き込み、リードを4点差とした。

 遊学館は、岸玲衣監督が「実力というよりも、心の弱さがまだまだ目立ってしまった」と残念がる連続失点。一方の星稜・河合監督は「セットプレーが一つキーになるかなと思ったんですけれど、それで3つ取ったので良かったなと思います」と評価する。この日、星稜の先発は11人中9人が175cm以上。強みである高さ、そして仕留めるべきところで仕留める強さを発揮した星稜が大量リードで前半を終えた。

 その星稜は後半もセットプレー、サイド攻撃でチャンスを量産。15分には左中間でセカンドボールを拾った前田が左サイドへ散らし、個人技で局面を打開したMF岡田伯斗(3年)がラストパスを入れる。これをニアへ飛び込んだ山下が1タッチで合わせて5-0。その後もFW山崎陸成(3年)がクロスバー直撃の右足シュートを放つなど、貪欲に追加点を狙い続けた。

 だが、メンバーを大きく入れ替えた影響もあったか、諦めずに前へ出る遊学館の攻撃を受けてしまう。遊学館はコンビネーションやドリブル、抜け出しでゴール前のシーンを作り出すと40+3分、SHから右SBへポジションを移していた疋田がアーリークロス。これをFW中島輝羅(1年)が頭で合わせて1点を返す。さらに40+5分には、佐藤の左CKをニアのMF横越塁(2年)がヘディング弾。敗れたものの、下級生中心のメンバーがプリンスリーグ北信越参入戦や来季へ繋がる2得点で試合を終えた。

 星稜は反省点が残ったものの、相手指揮官に「準備しても、それを乗り越える実力があるチームで本当に素晴らしいなと思いました」と言わしめる戦い。インターハイでは、コロナ禍で思うようにサッカーができなかった思いをぶつけ、07年大会以来の全国4強入りを果たした。河合監督は「立ち位置が見えたのであれ以下のことはできない」と語っていたが、慢心することなく、“インハイ以上”を求めて日々を送ってきたチームは「強い星稜」をピッチで示している。

 主将のCB中村実月(3年)は「みんなでやろうという雰囲気はチームの中で伝わってきている。上手くいかない時間帯もあるんですけれども、(ピッチにいる)自分たちも、サブも温度差なくやれたたんで、そこは成長できているところかなと思います」。競争力もチームの力。4年連続で選手権全国4強以上を果たした12年度から15年度は、夏に結果が出なくても、秋・冬へ掛けてチームとしての大きな進化を印象づけていた。高い基準を持って秋・冬へ向かってきた今年、さらに成長するため、再び日本一へ挑戦するためにもまずは石川予選を突破する。

(取材・文 吉田太郎)
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