過去9年で準優勝5回。強い、勝ち切れるチーム目指してきた名門・盛岡商が逆転勝ち!:岩手
[10.28 選手権岩手県予選準決勝 盛岡市立高 1-2 盛岡商高 いわスタB]
名門・盛岡商が力強い戦いで逆転勝ち――。第101回全国高校サッカー選手権岩手県予選は28日、準決勝を行い、盛岡市立高と盛岡商高が激突。盛岡商が2-1で逆転勝ちし、11月6日の決勝(対花巻東高)へ進出した。
準々決勝で選手権出場29回の名門・遠野高を破り、4回目の全国出場へ前進した盛岡市立と、06年度日本一で、11年度以来の復活Vを目指す盛岡商との4強決戦。立ち上がりから勢いのあった盛岡市立が、先制に成功する。
前半3分、盛岡市立はMF松岡風磨(3年)の右クロスからMF柳田涼(3年)がヘディングシュート。GKが弾いたボールをMF長嶺皇聖(3年)が押し込んだ。その後もセカンドボールを回収して前に出る盛岡市立のペース。盛岡商はCB大町陽斗主将(3年)を中心にビルドアップし、プレースキック、ロングスローを担当するMF佐々木央汰(3年)のセットプレーも活用して反撃する。だが、失点した上にチームを落ち着かせるまで時間を要してしまう。
それでも、前半半ば頃から注目レフティーのFW原田優汰(2年)が前線から下りて組み立てに参加。ボールを収め、前へ運ぶドリブルと左足キックで違いを生み出す原田を軸にリズムが出て、シュート、ラストパスまでやり切るシーンを増やした。
ただし、盛岡市立は良い流れを継続。高精度のキックを特長とする2年生MF高橋範好のパスなどから10番MF柳田やMF関向優真(3年)がスペースへ精力的に飛び出す。加えて、ゴール前のカバーリング、CB佐藤航介(3年)のシュートブロックなど守備も安定していた盛岡市立が1-0で前半を折り返した。
盛岡商の中田洋介監督はハーフタイムに、相手を見て、より背後へのボールを織り交ぜながら攻めることを指示。指揮官が「後半、前に行けてセカンドボールを回収しだしたのでリズムが出てきた」と振り返ったように、後半はより盛岡商が主導権を握る展開となった。
盛岡市立はロングスローで圧力を掛けられる中、GK小笠原陸矩(3年)の好セーブやCB武蔵壮大(3年)のクリアで凌ぐ。だが、14分、PAの盛岡商FW原田へのファウルでPKを献上。盛岡商はこの接触プレーで倒れ込んでいた原田が自ら左足でPKを蹴るが、ボールは枠上へ外れてしまう。
盛岡市立は積極的な選手交代で推進力を維持。対して盛岡商は飲水タイム明けから前への人数を掛けてパワープレーへシフトする。FW高橋頼央(3年)をターゲットにロングボール攻撃。中田監督が「プリンス、高総体とパワープレーには自信があるというか、その形にすればある程度押し込めて点を獲れるところは今年のチームの良いところ」という攻撃によって試合をひっくり返した。
後半27分、盛岡商は前線の高橋が相手に倒されながらもボールを繋ぐ。そして、右へ抜け出したFW小田島斗夢(3年)がクロス。これをMF工藤春(3年)が右足で合わせて同点に追いついた。さらに30分、盛岡商は敵陣中央から佐々木が左前方へFKを蹴り込む。これに走り込んだ高橋が角度の無い位置からヘディングシュートを決めて逆転した。
前半から多彩な攻撃で相手にジャブを打ち続け、盛岡市立の運動量の落ちた試合終盤に逆転。相手の交代出場組に背後を突かれてピンチもあった盛岡商だが、GK小原健暉(3年)が1対1を阻止するなど守り切り、決勝進出を果たした。
選手権出場16回の盛岡商だが、過去9年の選手権予選で準優勝5回。こだわって来たのは、「強いチームになる」ことだ。中田監督は「これまでも決勝に進ませてもらって、最後の最後で逃して来ているので、今年は今までとは変えないといけない。これまでは良いチームだったけれど強いチームではなかったので、今年は本当に強い、勝ち切れるチームを目指してプリンスリーグから色々な引き出しを練習からやってきたので、引いた相手でも、前から来る相手に対しても、色々な引き出しを持っていることが劣勢になってもやれるのかなと思います」と説明。この日も劣勢の展開で力強く勝ち切って見せた。
「もしかたら今までのチームだったら逆転できずに負けていた可能性もあると思うんですけれども、今年はやっぱり元気もあるし、勢いもあるので今年は強いチームになってきている感じがします」と中田監督。選手たちも伝統校復活への強い思いを持っている。
決勝の相手は、私学の新興勢力・花巻東。大町は「花東に(年間)3連覇させないように。自分たち高1の頃から花東が強いのは分かってたので、しっかり勝とうという話はしていました。(決勝で専修大北上に負けた)去年の悔しさを晴らせるように」と誓う。また、高橋は「最近行けていなかった年が続いているんですけれども、やっぱり大差では負けていないけれど逆転されたり、PK戦だったりそこで勝ち切るには、相手よりも上回って走らないといけないし、球際も全部勝たないといけない」。花巻東はこの1年で県内2冠。強敵相手に球際も、運動量、勝利への思いも上回って盛岡商が復活Vを果たす。
(取材・文 吉田太郎)
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●【特設】高校選手権2022
名門・盛岡商が力強い戦いで逆転勝ち――。第101回全国高校サッカー選手権岩手県予選は28日、準決勝を行い、盛岡市立高と盛岡商高が激突。盛岡商が2-1で逆転勝ちし、11月6日の決勝(対花巻東高)へ進出した。
準々決勝で選手権出場29回の名門・遠野高を破り、4回目の全国出場へ前進した盛岡市立と、06年度日本一で、11年度以来の復活Vを目指す盛岡商との4強決戦。立ち上がりから勢いのあった盛岡市立が、先制に成功する。
前半3分、盛岡市立はMF松岡風磨(3年)の右クロスからMF柳田涼(3年)がヘディングシュート。GKが弾いたボールをMF長嶺皇聖(3年)が押し込んだ。その後もセカンドボールを回収して前に出る盛岡市立のペース。盛岡商はCB大町陽斗主将(3年)を中心にビルドアップし、プレースキック、ロングスローを担当するMF佐々木央汰(3年)のセットプレーも活用して反撃する。だが、失点した上にチームを落ち着かせるまで時間を要してしまう。
それでも、前半半ば頃から注目レフティーのFW原田優汰(2年)が前線から下りて組み立てに参加。ボールを収め、前へ運ぶドリブルと左足キックで違いを生み出す原田を軸にリズムが出て、シュート、ラストパスまでやり切るシーンを増やした。
ただし、盛岡市立は良い流れを継続。高精度のキックを特長とする2年生MF高橋範好のパスなどから10番MF柳田やMF関向優真(3年)がスペースへ精力的に飛び出す。加えて、ゴール前のカバーリング、CB佐藤航介(3年)のシュートブロックなど守備も安定していた盛岡市立が1-0で前半を折り返した。
盛岡商の中田洋介監督はハーフタイムに、相手を見て、より背後へのボールを織り交ぜながら攻めることを指示。指揮官が「後半、前に行けてセカンドボールを回収しだしたのでリズムが出てきた」と振り返ったように、後半はより盛岡商が主導権を握る展開となった。
盛岡市立はロングスローで圧力を掛けられる中、GK小笠原陸矩(3年)の好セーブやCB武蔵壮大(3年)のクリアで凌ぐ。だが、14分、PAの盛岡商FW原田へのファウルでPKを献上。盛岡商はこの接触プレーで倒れ込んでいた原田が自ら左足でPKを蹴るが、ボールは枠上へ外れてしまう。
盛岡市立は積極的な選手交代で推進力を維持。対して盛岡商は飲水タイム明けから前への人数を掛けてパワープレーへシフトする。FW高橋頼央(3年)をターゲットにロングボール攻撃。中田監督が「プリンス、高総体とパワープレーには自信があるというか、その形にすればある程度押し込めて点を獲れるところは今年のチームの良いところ」という攻撃によって試合をひっくり返した。
後半27分、盛岡商は前線の高橋が相手に倒されながらもボールを繋ぐ。そして、右へ抜け出したFW小田島斗夢(3年)がクロス。これをMF工藤春(3年)が右足で合わせて同点に追いついた。さらに30分、盛岡商は敵陣中央から佐々木が左前方へFKを蹴り込む。これに走り込んだ高橋が角度の無い位置からヘディングシュートを決めて逆転した。
前半から多彩な攻撃で相手にジャブを打ち続け、盛岡市立の運動量の落ちた試合終盤に逆転。相手の交代出場組に背後を突かれてピンチもあった盛岡商だが、GK小原健暉(3年)が1対1を阻止するなど守り切り、決勝進出を果たした。
選手権出場16回の盛岡商だが、過去9年の選手権予選で準優勝5回。こだわって来たのは、「強いチームになる」ことだ。中田監督は「これまでも決勝に進ませてもらって、最後の最後で逃して来ているので、今年は今までとは変えないといけない。これまでは良いチームだったけれど強いチームではなかったので、今年は本当に強い、勝ち切れるチームを目指してプリンスリーグから色々な引き出しを練習からやってきたので、引いた相手でも、前から来る相手に対しても、色々な引き出しを持っていることが劣勢になってもやれるのかなと思います」と説明。この日も劣勢の展開で力強く勝ち切って見せた。
「もしかたら今までのチームだったら逆転できずに負けていた可能性もあると思うんですけれども、今年はやっぱり元気もあるし、勢いもあるので今年は強いチームになってきている感じがします」と中田監督。選手たちも伝統校復活への強い思いを持っている。
決勝の相手は、私学の新興勢力・花巻東。大町は「花東に(年間)3連覇させないように。自分たち高1の頃から花東が強いのは分かってたので、しっかり勝とうという話はしていました。(決勝で専修大北上に負けた)去年の悔しさを晴らせるように」と誓う。また、高橋は「最近行けていなかった年が続いているんですけれども、やっぱり大差では負けていないけれど逆転されたり、PK戦だったりそこで勝ち切るには、相手よりも上回って走らないといけないし、球際も全部勝たないといけない」。花巻東はこの1年で県内2冠。強敵相手に球際も、運動量、勝利への思いも上回って盛岡商が復活Vを果たす。
(取材・文 吉田太郎)
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