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違い見せるも、求めるのはゴール。盛岡商の2年生10番FW原田優汰は憧れのレフティーのように

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盛岡商高注目のレフティーエース、FW原田優汰(2年=RENOVENS OGASA出身)

[10.28 選手権岩手県予選準決勝 盛岡市立高 1-2 盛岡商高 いわスタB]

 注目レフティーは、随所で違いを生み出していた。高校1年時に得意としていた裏抜け、ヘディング、そして左足に加えてボールを運ぶドリブル、前線で収める部分も。だが、自ら獲得したPKを失敗してしまったこともあり、「10番として、『決めるところでしっかり決めてチームを勝たせる』とずっと思っている。ゴールを決めないとダメだと思うので、決勝では決めたいです」。この日は先輩たちに救われただけに、決勝で必ず恩返しすることを誓った。

 FW原田優汰(2年=RENOVENS OGASA出身)は全国制覇した歴史も持つ名門、盛岡商高で下級生から10番を背負うストライカーだ。昨年度の選手権予選決勝で劇的な同点ゴールを決め、今年は2年生エース。この日は前半半ば頃から意識的に下りて、攻撃の組み立てに係わっていた。

「ボールを持てる時は持って、攻撃を作るためにしっかり下がったり、収めたりするのも自分の役目だと思っている」と原田。やや低めの位置から柔らかい身のこなしのドリブルで持ち上がり、サイドへ流れて鋭い左足クロスも上げていた。

「自分の特長は左足。精度とか求めてやっている」という原田は強烈なシュートも披露。後半14分には競り合いでPKを獲得した。激しくファウルを受けたことで暫くピッチに倒れ込んだまま。ベンチも蹴らせるか迷ったというが、PK担当の原田は「(0-1という状況で自分が)決めたいという気持ちが強くて蹴った」。そのシュートは枠を外れ、逆転勝ちの喜びよりも悔しさが勝る試合になった。

「10番を背負わせてもらって納得行っていない部分が今年1年通してずっとあって……最後のこの大会でも結果を残すためにやってきたけれどダメで……」。結果が出ない悩みは大きいようだが、中学2年時はSB、同3年時はCBやボランチを務めていたという原田の実力開花は、これから。秘めているポテンシャルも大きい。

 仙台などで活躍した中田洋介監督は「まだまだ」と厳しいが、一方で「本当に存在感はあって、相手もアイツが真ん中にいたら嫌だと思う。得点はもちろんですけれども、チャンスメークも彼の持ち味」と期待していた。

 憧れは川崎FのFW家長昭博だ。「家長選手が凄く好きで自分でボールを持てるし、キープもできるし、運べるし、パスも上手いし、ゴールも決める。そんな選手になりたいです」。家長のようにチームを勝たせるレフティーへ。東北トレセンで一緒にプレーした選手が昨年度3冠の青森山田高(青森)や帝京長岡高(新潟)にいる。「全国でやりたいですね。全国で注目されてプロとか大学とか色々な方に見て頂きたいです」という野心も持っているレフティーは、決勝で必ずゴールを決め、盛岡商を勝たせて、旧友たちと選手権で再会する。

(取材・文 吉田太郎)
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