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帝京三は山梨制覇ならず…先制点演出のキャプテン藤浪は気丈に振る舞う「最後は胸を張って終わりたかった」

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FW藤浪宏樹(3年/左)

[11.12 選手権山梨県予選決勝 山梨学院2-1(延長)帝京三 JITス]

 7年ぶりの本大会まであと一歩およばなかった。帝京三高は山梨県予選決勝で延長戦の末に敗戦。選手たちが泣き崩れる中、キャプテンのFW藤浪宏樹(3年)は仲間に手を差し伸べた。「すばらしいチームだからこそ、最後は胸を張って終わりたかった」。悔しさをにじませつつ、戦い抜いた矜持を見せた。

 対するは県3連覇を目指す山梨学院高。しかし、臆すことなく序盤から攻め立てる。前半9分、早々の決定機をモノにする。左サイドのタッチラインからのスローイン。ボールを掲げた藤浪が得意のロングスローを飛ばす。「事故が起こることもあると思いながら投げていた」(藤浪)。ボールはGKと相手守備陣のはざまに入り、相手選手のオウンゴールを誘発した。

 貴重な先制ゴールを手にしたことで、守勢に回ってしまった。相良和弘監督は「その後の戦い方がまずかった。間延びして後ろに下がってしまった」と悔やむ。本来は堅い守備から攻勢に出る帝京三だが、先制後は山梨学院に押し込まれる。耐え続いていたが、前半終了間際に同点ゴールを奪われた。

 延長戦にまでもつれ込むと、延長後半3分にセットプレーから一瞬の隙を突かれて逆転を許した。試合は1-2で終了し、帝京三の全国への道は閉ざされた。

 藤浪は高身長を生かし、最前線で体を張った。チームを助ける得点を奪えなかったことに悔しさをにじませる。「うちはサイドアタッカーがいい選手ばかり。自分は身長があるので、中に入れる形でやっていた。でも、うまくそれが合わなかった。それが負けの原因かなと思います。中で決め切る質とか、ゴールへの執着心がまだまだ足りなかった」。

 敗戦を喫した帝京三だが、まだ今シーズンの戦いは終わらない。県リーグを首位で終えたことで、プリンスリーグ関東2部参入戦に臨む。「自分たちはインターハイ、選手権すべてでタイトルを取ることができず、まだ何も残してあげられていない。勝っても自分たちはプリンスを経験できないけど、後輩につながれば。来年につなげてほしいので、3年生が意地を見せて参入戦で勝ってプリンスに上げたいです」。悔しさをバネに奮起するチャンスは、まだ残されている。

(取材・文 石川祐介)
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