[11.12 選手権山梨県予選決勝 山梨学院2-1(延長)帝京三 JITス]

　全国制覇の挑戦権をしっかりと掴んだ。山梨学院高は延長の接戦を制して県3連覇達成。序盤に先制されたが、FW小棚木蒼大(3年)が前半終了間際に同点ゴールを挙げた。3年連続の本大会に向け、「チームとして、日本一をもう一度取ることが目標です」と力強く語った。

　注意していた相手の武器を食らった。山梨学院は前半9分、相手のロングスローからオウンゴールで失点。「(相手は)セットプレーでの攻撃が脅威というのをチーム全体で認識していた中で失点してしまった」(小棚木)。だが、手痛い失点で選手たちは目を覚ます。「逆に緊張がほどけた。失点した後に切り替えられて、自分たちのサッカーができたのでよかった」。山梨学院は失点後からほぼボールを支配し、相手ゴールを脅かした。

　攻勢を強めた中で、前半終了間際に決定機到来。FW五十嵐真翔(2年)が鋭い突破から敵陣内にクロスを上げる。PA内のFW野田駿人(3年)がスライディングボレーで合わせるが、相手GKに阻まれた。すると、後方から走り込んだのは小棚木。「クロスに対して入っていくのが遅れてしまった。そこに野田が入ってきてくれて、そのこぼれ球を自分は狙った。狙い通りにこぼれてきて、落ち着いて流し込むだけでした」(小棚木)。冷静に同点ゴールを決め切った。

　同点に追いつくと、本来の攻撃力を発揮。相手の堅守に苦しめられながら延長戦に突入すると、延長後半3分にMF臼田康太郎(3年)が逆転ゴール。山梨学院が死闘を制し、3年連続の本大会出場を決めた。

　山梨学院は2年前に全国制覇を成し遂げた。コロナ禍で現地に行った人間は少数だったが、小棚木はその一人だった。「埼玉スタジアムに担架のサポート係として行ったので、現地で観ていました」。当時の先輩たちが、優勝候補の青森山田との死闘をPK戦で制した。「自分が目標にした舞台で、青森山田という強豪を倒して全国優勝。鳥肌が立ちました。自分が2年生、3年生と上がっていく中で、絶対同じように優勝したいと強く感じた試合でした」。

　副キャプテンを務める小棚木は、プレーでもチームへの献身性を発揮する。帝京三との決勝もフル出場で最前線を駆け抜けた。「チームのために戦って勝たせられれば。自分が活躍するのも大事。だけどチームとして、日本一をもう一度取ることが目標です」。目の当たりした全国制覇を、今度はその手で掴み取る。

(取材・文　石川祐介)

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