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17年ぶり選手権出場の成立学園は国立開幕戦から自分たちらしく。“二刀流”の佐藤由空が第1号ゴールへ意欲

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成立学園高の“二刀流”佐藤由空はCBとして出場。相手の強力攻撃陣に対抗していた

[11.27 高円宮杯U-18リーグ東京1部第17節 成立学園高 2-3 國學院久我山高 成立学園鷲宮G]

 国立で自分たちらしいサッカーをする。成立学園高(東京)は17年ぶりに選手権出場権を獲得し、12月28日の開幕戦で津工高(三重)と対戦することが決定 山本健二監督は「らしさを出したいと思っています」と語り、CB佐藤由空(3年)も「初戦からみんなに注目されて見に来る人も多いと思うんですけれども、その中でも力を発揮できたら自分たちの強さが分かると思う。自分たちらしいサッカーをしたい」と力を込めた。

 佐藤は元々CBだが、今季は主にFWとしてプレーしてきた。選手権予選はその両方で先発を経験。準々決勝と決勝はCBとして勝利に貢献し、FWを務めた準決勝は同点ゴールを決めている。

 同じく選手権に出場する日大藤沢高(神奈川)の198cmFW森重陽介(3年)が、FWとCBの2ポジションを兼任。プロ入りを勝ち取り、“二刀流”として話題になった。森重ほどの高さはないものの、185cmの佐藤もヘディングが非常に強くポテンシャルのあるプレーヤー。前線ではボールを収めつつ背後を狙い、CBのポジションでも球際で負けない強さを示している。

 現在はCB瀧川穣(3年)が離脱しているため、トレーニングからCBのポジション。この日は國學院久我山高の注目FW塩貝健人(3年)とマッチアップした。圧倒的な推進力を持つ塩貝に最後まで身体を寄せてシュートブロックするなど食い下がっていたが、味方がボールを奪いきれずに釣り出された隙を突かれて塩貝に2点を献上。「厳しくやっていかないといけない」と語る佐藤は、選手権予選同様のムードをチームに求めていた。

「もうちょっと選手権と同じような雰囲気でやっていれば。自分たち、悪いムードになると流れが悪くなってしまうので変えていかないと。選手権で上に上がっていくと強いチームばかりなので通用しないと思うし、主導権を握る人がもうちょっと増えれば総合力が上がっていくと思うので、練習とかで活かしていければと思います」

 山本監督も「(今年のチームは)こうやって負けるとメンタル的に落ちてしまう。気持ちを高ぶらせながらやっていければ」と語る。この日の國學院久我山戦で勝てば東京都1部リーグ優勝だったが、惜敗。國學院久我山が12月1日の未消化試合を勝利したことによって、2位で最終節を迎えることになった。まずは目の前の試合で勝つことに集中し、優勝できなくても気持ちを落とすことなく選手権へ向かうことが重要となる。

 選手権では成立学園らしい繋ぎにこだわる一方、相手を見ながら背後を突くなど多様な攻撃もしていかなければならない。佐藤は選手権で再びFWを務めることが有力。より決定力や動き出しの質を向上させることを自身に求めている。

「この1か月間で練習して、選手権でもっと大活躍ができるように頑張りたいです」。チームで話題となっているのが、選手権ファーストゴール争いについて。もちろん、「FW佐藤」は自分が決める意気込みだ。

「チーム内でも『第1ゴールは俺だ』みたいに言っている人が多いんですけれども、まさに自分がFWなので、まず点を決めてチームが乗れるような点を決められれば絶対に勝てると思うので、第1ゴールを狙って頑張っていきたいと思っています」と力を込めた。

 そして、「目標は全国優勝ですけれども、一戦一戦の相手が本当に強いと思うので、一戦一戦気を抜かずにチームで締めて、キャプテン(八木玲)中心に団結してみんなで頑張って行ければ良いと思います」“二刀流”の佐藤、絶品のスルーパスを操るMF陣田成琉(3年)、MF八木玲主将(3年)ら好選手も擁する成立学園にとって、17年ぶりの選手権は国立開幕戦からスタート。重圧に負けることなく自分たちのサッカーを表現して、第101回選手権のファーストゴール、最初の白星で弾みをつける。

(取材・文 吉田太郎)
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