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「楽しんで来い」と投入された昌平FW伊藤風河、起用に応える決勝弾「勝手に身体が動いてくれた」

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昌平高FW伊藤風河(3年)が決勝ゴール

[12.31 選手権2回戦 昌平高 3-1 近江高 NACK]

 まさにストライカーという一振りで試合を決めた。

 昌平高FW伊藤風河(3年)は1-1と追いつかれた直後の後半25分、FW小田晄平(2年)との交代で1トップのポジションへ。藤島崇之監督から「楽しんで来い」と送り出された。すると9分後、ベンチから見ていた65分間で思い描いていたフィニッシュワークから、相手の守備ブロックを破った。

「自分は裏抜けよりも背負って受けることが多くて、今日の相手は背負うことができるなとベンチから見ていて自信を持てていた。そのまま振り向いてシュートのイメージがあった」。MF篠田翼(3年)からの縦パスをペナルティエリア内で受けると、深く持ち出すことなく右足一閃。強烈なシュートをゴールネットに突き刺した。

「振り向きざまのシュートは練習でもイメージできていたので、勝手に身体が動いてくれた」。シュートの軌道も豪快なら、ゴールパフォーマンスも豪快。伊藤はその場に仁王立ちし、歓喜の輪の中心に君臨していた。もっとも、この振る舞いには別の理由があった。「自分はあんまり体力がないので、あそこで走っちゃうとそのあとが続かないのでみんなを待ってました」。伊藤は照れ笑いを浮かべながら内実を明かした。

 このゴールが決勝点となり、昌平は初戦突破を決めた。起用を的中させた指揮官は「ここ最近のパフォーマンスレベルが非常に高く、練習でもゴールを決め切るところの良さが出ていたので、自信を持って送り出した選手がゴールという結果を残してくれたことが素晴らしい」と胸を張り、「スタートから出たい気持ちがありながらも、ああいうふうに途中から出て結果を残すということに狙いを持ってやっているので非常に良かった」と伊藤の貢献を称えた。

 伊藤自身も「スタメンを諦めているわけではない」としながらも、「途中から使ってもらった時にいかに結果を残せるかだと思っている」と役割を受け止めている。また何よりこれが高校最後の大会。「緊張感よりも最後の大会なので楽しさがあって、昨日の夜から早く試合に臨みたいという気持ちがあった」とモチベーションは高まるばかりだ。

 だからこそ、この日の勝利にも「みんなで『結果がどうあれ楽しもう』というのがあったし、楽しみながら勝利に導けたので満足」と深い喜びを語った伊藤。3回戦では強敵・前橋育英が立ちはだかるが、「自分のプレーよりも昌平の勝利が優先だけど、自分のゴールで勝利に導ければ」とチームのために貢献していくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)
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