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メッシに憧れ鍛えたドリブルがSBで開花…ダブルタッチで会場沸かせた日体大柏DF寺村啓志「全国ベスト8に来られるとは」

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日体大柏高DF寺村啓志(3年)

[1.2 選手権3回戦 日体大柏高 1-0 飯塚高 柏の葉]

 吹き付ける強風の影響もあり、ボールが行ったり来たりする展開が続いた全国高校選手権3回戦。日体大柏高の右サイドバックを担うDF寺村啓志(3年=柏レイソルA.A.TOR'82)は、高い技術を活かした個人技で存在感を放っていた。

 中でも印象的だったのは1-0で迎えた後半のワンプレー。相手のプレッシングにハメられたかのように思われたが、パスを受けた寺村はダブルタッチで局面を打開し、逆にチャンスにつなげた場面があった。「相手のプレスが結構速かったし、ドリブルが得意なので、ダブルタッチで行けば裏をかいて入れ替われると思った」。美しい個人技にスタンドの観客も一瞬大きくどよめいた。

 高校入学時はトップ下やサイドハーフでプレー。幼少期からFWリオネル・メッシに憧れ、ドリブルを鍛えてきた経験が活きている。負傷者が出たタイミングでサイドバックにコンバートされた後は、DFダニエウ・アウベスの動きがロールモデル。39歳でもなおプレーエリアを広げるレジェンドに影響されながら、中央寄りでもプレーする現代型サイドバックに挑戦中だ。

 日体大柏では今年の初夏ごろからサイドバックが流動的にポジションを取るスタイルを導入しており、根引謙介監督から細かく教えを受けてきたという寺村。「ボールを持ちながら試合を進めていきたいのでサイドバックの立ち位置が重要になる。低い位置ではボールを受けて展開できるし、逆にCBが開いた時は中に入って高い位置を取ったり、自分たちの試合を見ながら工夫しながら立ち位置を取っている」。そこからインターハイや千葉県リーグ、選手権予選を経て、徐々に動き方を身体に染み込ませてきたようだ。

 かつては「低い位置で受けて展開する」というビルドアップへの関わり方だったというが、いまでは「立ち位置を工夫することで高い位置でボールを受けて、攻撃参加してアシストしたり点を決めたりというプレーが増えた」と手応えを口にする。実際に冒頭のドリブル突破の場面でも、最終的には内側のレーンで攻撃に絡んでチャンスにつなげていた。

 そうしてプレーの幅を広げながら、チームでたどり着いた全国8強。「自分にとって全国の舞台も初めてだけど、全国でベスト8に来られるとは思っていなかったので嬉しい」。入学前には想像できなかった舞台だが、開会式で立った国立のピッチを経て「この雰囲気すごいなと思ったので、もう一回そこでプレーしたいと思った。次も勝って、国立にまた戻って、優勝できるように頑張りたい」と新たな野望も出てきたという。

 また新年には、もう一つの戦いも控えている。一般受験組の寺村は関東の私立大学への進学を目指し、今月14・15日に大学入学共通テストを受験する予定。大会までの期間は「必死で勉強していた」といい、現在も「この時期はちょっと集中できないけど最低限は……」と勉強を継続中だ。このまま勝ち進めば受験も過密日程必至。それでも「文武両道で頑張ります」と前向きに挑んでいくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)
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