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「得点力も足りないし、怖い選手でもない」最後はまさかのPK失敗、福田師王は悔しさ胸にドイツへ

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まさかのPK失敗に顔を覆う神村学園FW福田師王(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.7 選手権準決勝 神村学園 3-3(PK1-4)岡山学芸館 国立]

 思わず両手で顔を覆った。3-3という点の取り合いの末、突入したPK戦。神村学園高(鹿児島)は1-3とリードを許した後攻3人目でFW福田師王(3年、ボルシアMG内定)がPKスポットに向かった。ところが、ゴール正面を狙ったキックは、横っ飛びしたGKの残り足に当たってPK失敗。先攻の岡山学芸館は4人全員が成功し、PK4-1で初の決勝進出を決めた。

「チームメイト、先生方に申し訳ない」。試合後、ミックスゾーンに姿を見せたエースストライカーは開口一番、仲間に対する謝罪の言葉を口にした。0-1の前半38分、MF金城蓮央(1年)のミドルシュートをGKが弾いたところに詰め、同点ゴールを奪った。

 2戦連発で得点ランキングトップタイに並ぶ今大会3得点目。こぼれ球に素早く反応するFWらしさを見せたが、その後、壮絶な打ち合いとなる中、自身2点目を取り切れなかった。後半7分にはMF大迫塁主将(3年、C大阪内定)から浮き球の絶妙な縦パスが通ったが、胸トラップから狙った左足ボレーは枠を捉え切れず。「自分の決め切る力が足りなくて、チームに迷惑をかけた」と唇をかんだ。

「得点力も足りないし、怖い選手でもない。何もできず、悔しい大会でした」。エースとして16年ぶりのベスト4進出に貢献したが、初の決勝、悲願の日本一に導くことはできず、厳しい言葉ばかりが口をついた。

 今後はブンデスリーガの名門・ボルシアMGで新たな戦いがスタートする。「この悔しさをバネに頑張りたい」。高卒で大学やJリーグを経由せずに、いきなり海外挑戦することについて「これまであまり成功例は出ていないかもしれないけど、しっかり活躍したい。常に結果にこだわりたい。点を決めればボールは来る。結果だけだと思う」と意気込む。

「なんでもできる選手になること、チームを勝たせる選手になること」。ストライカーとしての理想像をそう語る福田は「ムバッペはチームの調子が悪くても一人で打開して点を決める力がある。自分もそういう選手になりたい」と、カタールW杯の決勝でハットトリックを達成したフランス代表FWキリアン・ムバッペの名を挙げ、世界的なストライカーになることを誓った。

(取材・文 西山紘平)

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