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開会式で東山躍進のきっかけを作ったCB新谷陸斗主将。再び国立で仲間に支えられ、あと1勝

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東山高CB新谷陸斗主将がスライディングタックルを決める。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.7 選手権準決勝 東山高 1-1(PK4-2)大津高 国立]

 開会式以来、戻ってきた国立競技場。東山高(京都)CB新谷陸斗主将(3年)は、「一つ同じなのは、宣誓は自分ひとりでやったんですけれども、仲間が後ろにいて支えてくれていたので、そこは今日の試合と同じく安心して伸び伸びとできた」と自身の選手宣誓について振り返る。

 あの3分10秒にも及ぶ選手宣誓が、東山を勢いづけたようだ。福重良一監督も「抽選会で選手宣誓が決まって(1回戦からの)6試合で決勝と思っていなくて、開会式の選手宣誓で新谷陸斗が言葉を発したのが本当に1試合目だと思って、彼の入り次第でこの大会、東山がどうなるか。それを占うくらい良い選手宣誓だったと思います。国立戻ってきて、(新谷や選手たちに)あれ以上の緊張は無かったと思います」と説明する。

 新谷の選手宣誓を含めると“2試合目”となった国立の戦い。指揮官は「立ち上がりから凄く落ち着いてゲーム運びできていた」と評価した。前半終盤に失点するなど流れの悪かった時間帯があったことも確か。だが、後半、「サイド攻撃でやられていたのでサイド攻撃で仕返そうと思っていました」というサイド攻撃でやり返し、狙っていたセットプレーからの得点で同点に追いついた。

 新谷はチームメートの凄さを実感していた。「本当に尊敬しています。90分通してですけれども、前の選手って走ってくれて、ハードワークして自分たち以上に厳しいと思うんですけれどもそれを文句一つ言わずにやってくれるので感謝しています」。一つ一つ白星を重ねるごとに要求する声が増えたり、チームをもっと良くしようとする姿勢が見えるのだという。自身もU-17日本高校選抜の僚友で大津高(熊本)エースのFW小林俊瑛(3年)封じをやり切った。

「高校選抜で練習とかで対戦した時に結構収められていた印象だったので、足元は強く行こうと意識していた中で何本かやられてしまったんですけれども、小林選手に点を取られなくて良かったです」。そして、PK戦の末に初の決勝進出。的確なカバーリングやゲームメークなどチームを支えている新谷だが、本人はチームメートのお陰の決勝進出であることを強調する。

「(自己評価は)そこまで高くないです。冷静さをまだ出せていないのかなと。隙を見せる場面がまだあって、それが今日の失点であったり、ピンチに繋がっている。それがある以上は自分の評価は高くつけられない。満足はしていないけれど、チームメートが戦ってくれて勝っている勝利なので、自分はそれ以上に良さを出して決勝で活躍したら良い」。指揮官も認めたように東山躍進のきっかけを作った主将。目標の全国制覇をかけた決勝でも頼もしいチームメートたちに支えられながら、日本一の主将に相応しいプレーと振る舞いをする。

(取材・文 吉田太郎)
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