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「80分で決めにいこう」「最後やられない」を表現。都立勢の東久留米総合が東京A3回戦で関東一を1-0撃破!

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前半4分、東久留米総合高MF水谷俊太(左から2人目)が先制ゴール

[10.22 選手権東京Aブロック3回戦 東久留米総合高 1-0 関東一高 東久留米総合高G]

 都立の強豪、東久留米総合が堂々の戦いでベスト8進出――。第102回全国高校サッカー選手権東京都Aブロック予選は22日、3回戦2試合を行った。4年ぶりの全国大会出場を狙う都立東久留米総合高が、21年度全国3位の関東一高に1-0で勝利。東久留米総合は28日の準々決勝で帝京高と戦う。

「試合前に確認したのは80分で決めにいこうと。それに対して、選手が納得感があるというか、同じ気持ちでいてくれた」。東久留米総合の加藤悠監督の言葉に選手たちが呼応。過去7大会で4度選手権へ出場している強豪・関東一に対して怯むことなく戦い、目標通りに80分間で勝ち切った。

 東久留米総合と関東一は今年、インターハイ予選1次トーナメント2回戦で対戦。その際に東久留米総合は勝利しているものの、終了間際に追いつかれ、延長戦の末の勝利だった。また、チームはその後、インターハイ出場校の成立学園高相手に先制しながらも、追いつかれてPK戦で敗戦。だからこそ、80分間で勝ち切ることがテーマだった。

 先にチャンスを作ったのは関東一の方。前半3分、右サイドからのクロスがゴール前のMF山本匠(3年)に通ったが、シュートはヒットせずにGK正面。その直後、東久留米総合はDF八田拓海(3年)が連続でロングスローを投じ、2本目をニアのMF水谷俊太(3年)が頭で右隅へ押し込んだ。

 先制した東久留米総合は、11分にも八田の左ロングスローからFW城地真翔(3年)が決定的なヘッド。関東一はGK伊藤翔太(3年)が好反応で防いだほか、FW長谷川凌翼(3年)のゴールカバーなどで1点差を維持したものの、攻撃面でボールが落ち着かず、2トップやトップ下の選手にボールが通らない。

 逆に東久留米総合は守備でも高さを発揮する水谷や10番MF横倉和弥(3年)がセカンドボールの攻防で優位に。また、加藤監督が「頑張って守ってクリアになってもマイボールにしてくれる」と信頼するFW佐藤佑哉(3年)が奮闘し、最前線で身体を張ってボールを収める。加えて、本来アタッカーのDF久保寺壱晟主将(3年)や横倉、水谷が果敢な攻め上がり。関東一を押し込んで試合を続けていた。

 ただし、立ち上がりから鋭いドリブルを連発していたMF小柳駿大(2年)が28分に負傷交代すると、リズムを崩してしまう。関東一も徐々に左SB岡崎礼暉(2年)やMF北村翼(3年)が係る形でボールが動き出す。関東一は40分、左中間で獲得したFKを長谷川が右足で狙う。鋭い一撃がゴール右隅を捉えたが、東久留米総合GK中谷悠人(2年)が横っ飛びではじき出し、1-0のまま前半を終えた。

 東久留米総合は各選手の特長が組み合わさる形で充実の前半に。また、横倉は「球際のこだわりとかこの一週間集中してやって、1対1とかで負けない、気持ちの部分で勝敗を分けるかなと思っていたので出来て良かったです」と振り返る。

 長期離脱から復帰した八田が相手の攻撃を食い止めるなど、DF宮下耀太(3年)、久保寺を含めた3バックが安定。関東一も交代出場のMF稲見佳祐(3年)がボールを落ち着かせ、10番MF日野塁主将(3年)らが仕掛ける。だが、東久留米総合は決定打を打たせない。逆に交代出場右WB市原大幹(3年)の強気の仕掛けがチャンスに結びついたほか、19分には城地が絶妙なターンからクロスバー直撃の右足ミドルを放った。

 関東一の小野貴裕監督は「みんながボールを触れなかった。ボールが落ち着かないから自分の場所も落ち着かない」と指摘。北村らが好守を続け、終盤は押し返してセットプレーの本数を増やしたが、関東一の強みでもある苦しい状況を跳ね返す力を表現できなかった。それに対し、東久留米総合は終盤も集中した戦いで1-0のまま試合終了。横倉は「最後まで自分たち集中できて、良いプレーができて、インターハイで課題だった最後にやられないというところもしっかりと頭に入れて、そこだけは絶対に守るという気持ちでこの試合に臨んで最後までやり切れて良かったです」と胸を張った。

 都立高の東久留米総合は、コロナ禍で制限がある中での活動。現3年生は1年時、活動が可能だったAチームに10人が加わって力を磨いた一方、先輩の悔しがる姿も間近で見てきたという。横倉は「(下級生時に)身体のデカい人とかと戦わせてもらっていた中で経験が活きて、今、自信を持ってプレーできている。去年も選手権の時、成立(学園)に最後延長でやられて、とても悔しくて、そこから全国しか見ていなくて、次はもう負けたくないという気持ちでやってきました」と明かす。

 1年前、選手権予選で成立学園に延長戦で敗れたのが、10月22日だった。水谷は「(今年先発の)11人中7人が1、2年生から試合に出ていて、悔し思いをしている選手が多い。来週、絶対に勝って最低でも西が丘というのがあるので、絶対に行きたい」。今年は10月22日に勝利し、準々決勝進出。この日のような戦いを継続し、次はV候補・帝京撃破に挑戦する。
 
(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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