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[MOM4482]帝京長岡MF山村朔冬(3年)_1年前の悔しさがエネルギー。「見る力」と技巧で攻撃の中心に

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帝京長岡高MF山村朔冬(3年=賢明サッカークラブ出身)は「見る力」と技巧で攻撃の中心に

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 選手権新潟県予選準決勝 帝京長岡高 4-2 北越高 五十公野公園陸上競技場]

「俯瞰して見えている。ボールを受ける前にコートの全体像、特に前方向が見えている。今日は、1タッチパスは少なかったですけれども、スペースを本当に認知できている」

 北信越屈指の強豪・帝京長岡高は近年、U-22日本代表MF谷内田哲平(現京都)らJリーガーや年代別日本代表選手を次々と輩出。今年も特長を持つ選手が多いが、谷口哲朗総監督はこの日、MF山村朔冬(3年=賢明サッカークラブ出身)の「見る力」を賞賛していた。

 山村は前半19分、左サイドからのダイレクトのクロスでFW新納大吾(2年)の先制点をアシスト。その後もチームがビルドアップする中で、彼がボールに係わった際の“失わない”安心感は際立った。

 チームの中である程度自由を与えられている山村は、相手の状況を見ながら左、中央へポジションを取って攻撃に係わった。そして、インターセプトからのラストパスやロングシュートにもチャレンジ。後半には「見る力」を活かし、左中間から右ハイサイドのMF原壮志(3年)へのサイドチェンジで局面を一変させた。

「常に見えてはいるので。質のところでミスらなければ。(このサイドチェンジのように)ああいうところを増やしながら、もっと内に差していけたら、もっと相手が嫌だなと思う」と山村。この後、スルーパスを1本、2本通して相手を苦しめていた。

 味方にとって有効なスペースを見つけて好パス。昨年の準決勝敗退の悔しさをまず晴らした。1年前の選手権予選で帝京長岡は優勝候補の筆頭。だが、準決勝で日本文理高に0-2で敗れ、連覇が4でストップしている。

「文理戦、イン・アウトしてしまった。雰囲気に飲み込まれて自分たちのプレーができなかったです。そこから悔しすぎて……。今年最後やし、絶対に優勝して全国で名を広めたいです。去年悔しい思いをして、今年、誰よりもそういう思いがあると思うので、自分がチームを勝たせるくらいの気持ちで決勝を戦いたいと思います」

 途中出場途中交代した悔しさと敗れた悔しさは忘れていない。今年はシーズン序盤、体調不良の影響で欠場が続いたが、スタッフやチームメートの支えもあって調子を上げてきた。そして現在、ピッチで躍動中。ただし、「今日も言われたんですけれども、得点、アシストのところも。チームのために結果を残したいです」。卒業後は地元・関西の強豪大学へ進学予定。その前に選手権で活躍して自身の名を全国に広める。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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