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[MOM4484]開志学園JSC高FW阿部日夏太(2年)_“代表戦”で自信をつけた俊足アタッカーがインパクトのある動き。刺激受けた旧友と次は全国で

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前半16分、開志学園JSC高FW阿部日夏太(2年=田口フットボールアカデミー出身)が2試合連続となるゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 選手権新潟県予選準決勝 上越高 3-4(延長)開志学園JSC高 五十公野公園陸上競技場]

 国際大会で自信を深めた俊足アタッカーが、強烈なインパクト。100分間を戦い抜き、また成長を加速させた。開志学園JSC高FW阿部日夏太(2年=田口フットボールアカデミー出身)は右サイドで先発すると、前半16分、右中間からドリブルで仕掛けて右足を強振。ファーサイドのネットへシュートを叩き込んだ。

 ボールを受けた瞬間から迷わず決めに行って、決めたゴール。「『PA内に入ったら振り切れ』と言われていたので、振り切った結果がゴールに入ったので本当に良かったなと思います。ああいう場面は自分も得意ですし、一人で行った方がインパクトになると思うので、一人でやろうと思っています」。会心の一撃を決めた阿部はその後もスピードと馬力を活かした縦突破や抜け出しで攻撃を引っ張った。

 個でも行き切る力を持つ阿部の存在によって、開志学園JSCのカウンター攻撃は切れ味が鋭いモノになっていた。阿部は後半途中からFWへポジションを移し、スペースを強襲。そこからゴール方向へ向かう動きでチャンスを生み出した。

「自分も特長がスピードだったので、自分の特長を活かすのが相手にとって嫌だったりするので、自分の特長を活かしながらやれましたね」と阿部。普段は後半途中で体力が尽きて交代することが多いという。だが、宮本文博監督も「あの調子だったから(交代カードを)切れなかった。本当に良くやってくれました。一個、ギアの上がった彼を見たかなという気がしました」と高評価するパフォーマンス。選手交代に伴ってポジションを下げた後も、献身的に走り続け、延長戦を含めて100分間を戦い抜いた。

 宮本監督は彼の凄さについて、「スピードもあると思うんですけれども、シュートセンスですね。上越も良いGKだと思うんですけれども、関係なく打ち切れる。一番のストロングポイントは一瞬のスピードだと思います」と説明する。少ないチャンスでより決め切る力など課題もあるが、抜群のスピードをFWでも、右サイドでも発揮。その阿部が進化を加速させたきっかけは、9月の国際ユースin新潟にあるようだ。

 国際ユースin新潟はU-17日本代表、U-17ベネズエラ代表、U-17ニュージーランド代表、そしてU-17新潟選抜が出場。U-17新潟選抜の右サイドを務めた阿部は、「海外の相手や代表相手でも自分のスピードは通用しましたし、スピードだけじゃなくて自分の裏の抜け出しは全然できたし、自分について自信になった。あの大会で学べて、成長して、帰ってこれた」と振り返る。

 また、旧友との再会によってモチベーションも向上。田口FA時代、FW、トップ下としてコンビを組んでいたMF柚木創(流通経済大柏高2年)がU-17日本代表の10番を背負い、存在感のある動きを見せていた。

 阿部は「T.F.Aの時からほぼ柚木のパスで決めていたというのがあった。変わらず本当に上手いなと。『会えて良かったね』『次は全国で会いたいな』という話をしました」。同時に自分の意識も高まった。「『もっと頑張ろう』という気力になりましたね。自分のインパクトもその大会で残せましたし、もっと頑張れば代表に目をつけてもらえるんじゃないかと思いました」。迎えた選手権予選で前回王者・日本文理高を沈めるゴールを決め、準決勝でもチームの勝利に大きく貢献した。

 決勝の対戦相手は帝京長岡高。「楽な試合じゃないことを自分たちが一番良く分かっていますし、この一週間、より集中して自分の得点で勝ちたいです。またビッグスワンでできるので何かインパクトを残して、まだ2年目ですし、大学の人とか、プロの人とか、絶対に誰かしらは見てくれていると思っているので、どれだけ自分のインパクトを残せるか」。強敵相手に自分の武器を発揮し、決めて勝利すること。そして、千葉県予選で勝ち上がっている柚木と全国大会のピッチで再会する。

(取材・文 吉田太郎)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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