beacon

[MOM4505]奈良育英MF藤岡仙太郎(3年)_責任と向き合った大会…チームを牽引する副将が3連覇に王手をかける一撃

このエントリーをはてなブックマークに追加

MF藤岡仙太郎

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.5 選手権奈良県予選準決勝 奈良育英高 2-1 一条高 奈良県立橿原公苑陸上競技場]

 5日、第102回全国高等学校サッカー選手権大会奈良大会の準決勝が奈良県立橿原公苑陸上競技場で行われた。第1試合では、奈良育英高が2-1で一条高を下し、決勝戦へと駒を進めた。

 前半13分に先制したが、2点目を奪えずに折り返し、後半に入ってからの同12分に追加点を挙げていた奈良育英。同16分には失点もあったので、結果として「2点目を決めてくれていたのは大きかった」と、梶村卓監督は試合後に振り返っている。

 その2点目を決めたのは、持ち前の走力を惜しまずに生かし、上下に躍動していたMF藤岡仙太郎(3年=法隆寺フットボールクラブU-15)。右サイドを突破した藤岡は、「中を見て、受けてくれそうな選手がいればパスを出し、もう一度自分がゴール前に関わりに行く。普段と同じように」、中にいたMF水津煌人(2年)にパスを出し、藤岡がもう一度ボールをもらってシュートを決めた。

 藤岡には、今大会の初戦、前半中の2失点に絡む失敗があった。その日のハーフタイムには、梶村監督から「失点に絡んでいるぞ」と、指摘を受けたという。「今までの自分だったら、落ち込んでしまっていたと思う。でも、そのときは、梶村監督がそのことを指摘してくれたのは、『取り返してこい』という意味だと感じた」。その後半、藤岡はきっちり2点を取り返している。

 その試合をきっかけに、副キャプテンでもある藤岡が強く感じるようになったのは「責任」だった。「自分のせいで負けてしまえば、チームの3年生みんながそこで引退になってしまう。選手権という大舞台に臨もうとするまで、自分は責任を曖昧にしてきていたということに、ようやく気がついた」。

 準決勝でも、自分の与えられた役割を果たし、結果として決勝点となるゴールでチームを勝利に導くことができた。けれど、これで満足したわけではない。「自分がみんなを全国に連れていくんだという気持ちで、決勝でも得点したい」。

 藤岡の持っている役割を果たす「責任」意識がチーム皆に伝播すれば、奈良育英は3連覇を果たすに相応しい、さらに質の高いたくましいチームへと進化できる。

(取材・文 前田カオリ)
●第102回全国高校サッカー選手権特集

TOP