beacon

貴重な経験だけで終わらせない。今夏U-18日本代表合宿帯同の日体大柏MF片野拓久が結果と自信に結実

このエントリーをはてなブックマークに追加

日体大柏高の10番MF片野拓久(3年=柏レイソルA.A.TOR'82出身)は抜群の突破力を発揮

[11.5 選手権千葉県予選準決勝 日体大柏高 2-1 流通経済大柏高 柏の葉公園総合競技場]

 今年8月、U-18日本代表のトレーニングパートナーに選出。同世代のトッププレーヤーたちとピッチ内外をともにした経験を活躍と自信に繋げている。

 日体大柏高の10番MF片野拓久(3年=柏レイソルA.A.TOR'82出身)が、選手権予選準決勝で名門・流通経済大柏高を苦しめた。スピードとしなやかさのあるドリブルで左サイドを攻略。縦への仕掛けとPAでの絶妙な切り返しでビッグチャンスを創出していた。

 後半12分、39分とエンドライン際を突破して決定的な右足シュート。中へ潜り込んでのシュートは強烈な形となっている。加えて、今大会直接FKも決めている片野は、正確な右足CKで決勝点にも係わった。試合終盤の苦しい時間帯も懸命にスプリント。堅守・流経大柏は簡単に打開させてくれなかったが、スペースのできた後半はより相手の脅威になっていた印象だ。

 だが、本人は「自分が点を決めてチームを勝たせないといけないと思ったので、今日は自分では納得いっていないです。(流経大柏相手にも)ドリブルの部分で抜くことができているのかなと。でも、今日も(決定的なシュートを放つシーンが)2回同じ形があったんですけれども、1本は枠外で、1本は止められてしまった。あそこを2本決められる選手になると、もっと上に行けると思うので、そこは自分の課題かなと思いました」。相手の脅威になり続け、勝利に貢献。だが、上のステージを目指しているMFは満足することなく、課題を改善することを誓っていた。

 U-18日本代表合宿後の活躍は目覚ましい。「前、友達から聞いたのが、後期のリーグ戦と選手権で12ゴール9アシスト。そこの部分で(U-18日本代表での)経験が、経験で終わるのではなくて、こういう舞台で残せられているのは今、自信に繋がっている」と頷く。

「(U-18代表合宿は)トレーニングパートナーだったんですけれども、あの遠征に帯同させてもらって、一番刺激を受けました。ピッチ内では一人ひとりの選手の質がとても高くて、ピッチ外だと食事面とかそういうところで刺激を受けて、その遠征が終わって自分、2kg増えたんですけれども、食事面とか気を遣っていかないといけないと思えた合宿でした」

 合宿では武器のドリブルで1人をかわすことはできたが、抜いた後の確認や強度の部分が不足していることを実感。「まだ一緒のポジションの選手と比べたら見劣りしてしまう部分もあったので。でも、選手の良いところもその合宿で吸収はできたのかなと思っている」。世代を代表するMF中川育(広島ユース)やMF鈴木陽人(名古屋U-18)、MF安齋悠人(尚志高)のプレーを間近で見て、学んだ経験も現在に活かしている。活躍を続けてリベンジの舞台で勝ち上がる意気込みだ。

 片野は昨年度の選手権2回戦・丸岡高(福井)戦で貴重なゴール。日体大柏の強化に尽力してきた片野慶輝総監督を父に持つこともあって、注目度が高まった。だが、準々決勝の東山高(京都)戦はPK戦で1人目として登場し、失敗。「去年は自分のPKで負けた部分があるので、悔しい思いがある」。その悔しさを持って1年間取り組んできた。

 選手権は家族への恩返しの大会でもある。父は幼い頃から左右両足で蹴れるように助言してくれ、雨の日の送迎も。「自分の支えになってくれている。ピッチでは自分しか表現できないと思っているので、そういう部分で一緒に県制覇や全国制覇したい」。リバプールファンでFWルイス・ディアスに憧れるMFは卒業後、大学サッカーからプロを目指す予定。選手権で父とともに一つでも多くの勝利を喜び、新たな挑戦をスタートさせる。
 
(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2023

●第102回全国高校サッカー選手権特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

TOP