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[MOM4524]静岡学園FW庄大空(3年)_プレミアは登録外。“遅れてきた新星”が静岡決勝で1G1A、得点王とベスト11も

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前半15分、静岡学園高FW庄大空(3年=大阪東淀川FC出身)が先制ゴールを喜ぶ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.11 選手権静岡県予選決勝 静岡学園高 2-1 藤枝東高 エコパ]

 トップチームに上がったのは選手権予選開幕前。それまでセカンドチームで活動していたFWが静岡決勝で輝いた。静岡学園高FW庄大空(3年=大阪東淀川FC出身)は1ゴール1アシストの活躍。川口修監督が「一発目のゴールは凄く良かったし、ドリブルで切れ込んでスルーパスも良かった」とマン・オブ・ザ・マッチに推すパフォーマンスをしてのけた。

 セカンドチームでは主に右サイド。今大会はFWでもプレーしていたが、この日は左サイドで躍動した。「ドリブルで2、3枚剥がしていくところやキープ力は見て欲しい」と語る庄は、立ち上がりからドリブルで果敢な仕掛け。相手を押し込むと、前半15分に鮮やかな一撃を決めた。

 味方の奪い返しからペナルティーアークの後方でボールを受ける。すると、距離を詰めてきた相手DFを右への動きで外し、迷わずに右足を振り抜く。「序盤くらいやったんで、シュートを意識していた。良い感じにいって良かったです」。ややインフロントにかけて放った一撃はゴール右隅へ吸い込まれた。

 ファインゴールに庄と静岡学園イレブンは喜びを爆発。チームはその後同点に追いつかれたものの、庄は後半26分に再び大仕事をしてのけた。敵陣中央でタイミング良くボールを受けると、右への動きからPAへスルーパス。「高田から受けてフリーだったので最初シュート打とうかなと思ったんですけれども、宮嵜が良い感じで流れてくれたので、スルーパスを出すだけでした」。ドリブル同様に得意だという味方を活かす動き。これでFW宮嵜隆之介(3年)の決勝点をアシストした。

 大舞台で活躍した庄だが、プレミアリーグWESTの登録リストに名前は無い。この秋に入るまでセカンドチームにいたためだ。新チーム結成当初に腰を痛めて離脱。今年4月に復帰し、セカンドチームが戦うプリンスリーグ東海で結果も残したが、トップチームは遠かった。

「苦しい時期だったんですけれども、静学のコーチやお母さん、お父さんだったりが励ましてくれた」こともあって努力を継続。プリンスリーグで得意のドリブルをさらに磨いたというFWはチーム内選考でアピールに成功し、トップチームの一員として選手権予選を戦うチャンスを得た。

 そして、今大会は3得点で得点王(他4名)を獲得し、ベストイレブンも受賞。「やりました(微笑)」。川口監督も「庄がラッキーボーイというか成長してくれた。今大会でだいぶ成長した。元々技術はあるんですけれども、ゴール前やフィニッシュのところが課題だった。大会で試合しながら成長していった選手」と賞賛する活躍だった。

 憧れの存在は「ネイマールです。サントスの時にレイソルとやった試合を見て惚れた感じです」。目標の存在を意識したドリブルをより磨き、ポジション争いのライバルが戻ってきた後もトップチームでの出場を続ける意気込みだ。

 いずれも怪我で長期離脱していた川崎F内定のエースFW神田奏真(3年)と守備の要のCB 大村海心(3年)、俊足CB井口晴斗(3年)は、大阪東淀川FC時代のチームメート。12月に復帰予定の神田は選手権でポジションを争う一人になる。2年時からトップチームで先発を務め、今年の活躍でプロ入りも果たした神田は庄にとって「凄く良い刺激になりますし、良い存在です」。だが、結果を残してきた庄も負けるつもりはない。

「得点とか引き続き意識して、奏真とか戻ってきて、またポジション争いとか激しくなるんですけれども、出続けられるように頑張りたい」。活躍した後が大事。“遅れてきた新星”は気を緩めずに自分を成長させて、今後登録メンバー入りが濃厚なプレミアリーグや選手権全国大会でも輝く。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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