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名門・藤枝東は3年連続で静岡準V。経験を積み重ね、勝負強さを身に着けて次こそ決勝で勝つ

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名門・藤枝東高は次こそ、決勝で勝つ

[11.11 選手権静岡県予選決勝 静岡学園高 2-1 藤枝東高 エコパ]

 3年連続での準優勝。15年度大会以来、8年ぶり26回目の全国大会出場を目指した藤枝東高は三度決勝で涙をのんだ。

 序盤、藤枝東はプレミアリーグで戦う静岡学園高の圧力に押し込まれ、15分に失点。鷲巣延圭監督はこの時間帯での失点を残念がる。藤枝東は伝統的にパススタイルを特長とするチームで、今年も技術力の高い選手が多い。ただし、相手は全国屈指の技巧派軍団・静岡学園。普段以上にボールを保持できなくなることは覚悟していたが、入りから強く行くことでペースを握るプランだった。

 だが、「引いちゃったところがあった。入りのところは強く行けと行っていたけれど……」と鷲巣監督。前半半ば頃からは、コンパクトな陣形からの鋭いアプローチで相手のビルドアップの精度を乱す。また、攻撃面では、左SH江口立樹(3年)や右SB{中東晴哉}}(3年)の突破力を活かしたサイド攻撃が相手の脅威になっていた。

 前半29分には、カウンター攻撃から江口の左クロスを189cmFW植野悠斗(3年)が頭で決めて同点。藤枝東はDFラインが高い位置でプレーできるようになり、U-17日本高校選抜MF野田隼太郎主将(3年)とMF金澤駿(3年)のダブルボランチが攻撃を落ち着かせる。特に相手の頭を越える形での配球、サイドチェンジは静岡学園を嫌がらせていた印象だ。

 だが、鷲巣監督は「どうしてもビルドアップで近くばかり見てしまって遠くを見れない時間が多く続いてしまったので、そこは課題だった」。後半は再び押し込まれる時間帯が増加。静岡学園のドリブラーたちの仕掛けはPKやFKに繋がってしまう可能性もある。それでも、PAで粘り強い守備を続け、GK藤崎蒼葉(3年)の好セーブも。徐々に流れを引き寄せ、カウンター、サイド攻撃を繰り出していた。

 そして、後半18分に右クロスから江口がクロスバー直撃のヘッド。直後にはMF{渡辺皐}}(3年)の左足CKが直接枠を捉える。だが、ここで勝ち越すことができず、相手の素早いリスタートから押し返されて失点。諦めない藤枝東は試合終盤、再びクロスなどからゴール前のシーンを増やし、交代出場MF泉新之助(3年)がドリブルでPAへ切れ込んだ。

 エース級のU-17日本代表FW良知英祥(3年)が長期離脱中という状況で決勝も良く戦ったが、1-2で惜敗。鷲巣監督は「本当、良いところを出せれば勝負できると分かっていたので、勝負できたところは彼らの成長とか今までの積み重ねかなと思いますけれども、それを得点に繋げるというところがまだ足りていない」と指摘する。そして、「(選手たちには)本当、『お疲れ様』と言いたいですけれども、『2番じゃダメだ』というところは3年生もそうだし、後輩にも意識して欲しい。一番にならないと何も変わらない」と厳しかった。

 大会開幕前、1年時から先発を務める野田主将は過去2大会の決勝で自分たちのサッカーができなかったことを反省点に挙げていた。そして、「今年は絶対に全国行きたいし、全国で勝つというのが目標なので、決勝の舞台でもいつも通り繋げるように自信をつけていきたいと思います」。今年は決勝でも繋いで攻める力は見せたが、勝ち切る力はわずかに足りなかった。

 大会パンフレットによると、1県1代表制になった1956年度大会以降、3年連続の準優勝は初。3年生は3度準優勝の景色を見ることになった。だが、この舞台に立ち続けることが大事。鷲巣監督は「一発じゃ来れないので、この積み重ねがどこかで花開いてくれれば良い。(選手権の舞台からやや遠ざかり、)今までは全国大会って憧れだったというところがあると思うんですけれども、3年間決勝来て、『俺たちも全国に行くチームなんだ』と思い始めていると思うし、全国の強豪チームと夏もやりましたけれども、やれる自信は彼らも持っていたと思います。この積み重ねを続けることと、やっぱり勝負強さをつけないとダメなんだというところは、彼らにこれから強く伝えていきたいと思っています」。選手権優勝4度の名門校は来年こそ、静岡決勝を笑顔で終える。

(取材・文 吉田太郎)

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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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