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監督感涙…他県から集結した個性派軍団がまとまり、柳ヶ浦が18年ぶり全国切符掴む:大分

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柳ヶ浦高が全国出場を決めた

[11.19 選手権大分県予選決勝 柳ヶ浦2-1大分 レゾド]

 試合後の場内インタビューで、有門寿監督は時折声を詰まらせながら話した。「選手や保護者、学校関係者の思いが18年分詰まっていたので。本当に勝てて良かったなと思います」。柳ヶ浦高大分高に2-1で競り勝ち、2005年度の第84回大会以来、18年ぶり2回目となる全国行きを決めた。

 表彰式後に応援席の前で喜びを爆発する選手たちの中に、指笛を鳴らしながら陽気な舞を披露する数人の選手がいた。彼らは沖縄県出身。キャプテンも愛媛県出身のMF橋本琉唯(3年)が務めるように、県外出身の個性派が揃うことが今年のチームの特長だ。

 沖縄からは3年生の代が初めての受け入れとなっていた。有門監督の大学時代の友人が沖縄でコーチを務めていた関係で、まずはMF下地里旺(3年)とFW{安里耀(3年)の越境入学が実現。翌年の5人の入学に繋げる“開拓者”となった。

 下地には県内のサッカー強豪校である那覇西高への進学も選択肢としてあったというが、「いろんな経験がしたい」と最終的に県外への進学を希望。練習に参加した際に、「ここだったら全国に行ける」と確信を持ったことで柳ヶ浦への進学を決めた。

 2年間は「選手権に出る夢」を叶えることができなかったが、今年は2月に行われた新人戦で5年ぶりに優勝。新人戦を優勝したことによる慢心からうまく行かない時期もあったようだが、最後の選手権を前に再び団結し、母校に18年ぶりの歓喜をもたらした。

 ただ個性派軍団はまだまだ発展途上。有門監督は「全国大会のスタートが今日のスタートとは違う形になるように切磋琢磨させていきたい」と宣言する。「まだまだ個でみたときに弱い部分がある。全国は2回目とはいえ、ほぼ初出場。もう一度チームを鍛え直さないといけない。どこが相手でもチャレンジャー精神で、一戦必勝で、しっかりと準備して臨みたいなと思います」。

 選手たちも望むところだ。春からは社会人としてサッカーを続けることになるという橋本が「全国では自分が圧倒して、意外に大分代表の10番がうまかったなと言ってもらえるように頑張りたい」と気合十分に話せば、サッカー人生は選手権が最後になるという下地も「夢がかなったというか、(全国選手権は)中学校の時からテレビで見ていたので、素直に嬉しい。沖縄の高校ともやってみたいし、沖縄から出たメンバーともやってみたい」と目を輝かせた。

(取材・文 児玉幸洋)

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児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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