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プレミア初昇格の勝利から5日。鹿児島城西が鹿児島実を1-0で振り切り、7年ぶりの選手権もあと1勝

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鹿児島城西高が鹿児島実高を破って決勝進出

[12.15 選手権鹿児島県予選準決勝 鹿児島城西高 1-0 鹿児島実高 白波スタ]

 第102回全国高校サッカー選手権鹿児島県予選準決勝が15日に行われ、鹿児島城西高が1-0で鹿児島実高に勝利。鹿児島城西は7年ぶりの全国大会出場をかけ、16日の決勝で神村学園高と戦う。

 鹿児島城西が、プレミアリーグ昇格と選手権出場の“二兎取り”へ王手をかけた。5日前にプレミアリーグプレーオフブロック決勝で近江高(滋賀)に勝ってプレミアリーグ初昇格を決めたばかり。「勢い持って入れました。コンディションのところも、もう勢いだけなくさないようにしたんで、戦術的な反省だけしてメンタル的なところはもう盛り上げて、盛り上げてやると」(新田祐輔監督)。9日間でプレミアリーグプレーオフ2試合と選手権予選2試合のハードスケジュール。それでも、勢いを持って入った鹿児島城西が優勢に前半を進める。

 ただし、先にチャンスを作ったのは鹿児島実の方だった。前半12分、MF原口順多主将(3年)の見事なサイドチェンジからMF外園智也(3年)がCKを獲得。直後の右ショートコーナーから左SB副島蓮士(2年)が決定的なヘッドを放つ。だが、積極的に前から奪いに行く鹿児島城西は、MF上間大嘉(3年)やMF坂上日向(3年)、DF陣が良い形でボールを奪い、素早く前線に入れて押し込んでいく。

 182cmFW岡留零樹(3年)が最前線で時間を作り、藤枝内定のトップ下・MF芹生海翔(3年)や10番MF石内凌雅(3年)、MF山下慶人(3年)の両ワイドがドリブルで相手の守備網に割って入ろうとする。前半16分には、右CKから181cmCB内田輝空(3年)がヘッド。これは鹿児島実GK田中敦志(3年)に阻まれたが、直後にも芹生が切り返しから左足シュートを放つなど相手ゴールを脅かした。

 だが、鹿児島実も空中戦、地上戦で気持ちの込もった守り。体を張ってマイボールにした原口が咆哮したほか、185cmCB吉村太希(2年)らDF陣が球際、空中戦で競り勝つたびにベンチのサブ組も呼応するように声を上げる。原口やMF川路光(3年)がセカンドボールを拾ってエースFW伊地知龍之介(3年)や推進力のあるMF田村倫也(3年)を活用。前半のシュートは1本に終わったが、右SB東中凪音(3年)がクロスを上げ切るなど、スタンドを沸かせるシーンも作った。

 前半終了間際から強い雨。鹿児島実は後半、ボールを繋いでビルドアップする戦いからシンプルにハイサイドを狙った攻撃へシフトチェンジする。右サイドの高い位置で伊地知が起点を作り、セットプレーを獲得。そして、外園がゴール前へロングスローを投じる。だが、鹿児島城西は内田やCB横山輝人(3年)を中心に1本1本確実に跳ね返し、逆に24分にはCKのこぼれから石内が決定的なシュートを放つ。

 後半23分、鹿児島城西は俊足FW矢吹凪琉(3年)を右サイドへ投入し、サイドの深い位置へ攻める意識を共有する。対する鹿児島実は同じタイミングでフィジカル能力の高い185cmFW高橋英大(3年)をピッチへ。前線の迫力を増した鹿児島実は、田村や高橋が力強い動きで相手DFを強襲する。そして、29分には右クロスから高橋が決定的なヘッド。だが、鹿児島城西GK橋口竜翔(3年)が反応し、スコアは動かない。

 鹿児島城西は35分、U-16日本代表FW大石脩斗(1年)を投入し、注目MF芹生をトップ下からボランチへ下げる。すると、直後にカウンターから石内が前進し、右オープンスペースへ好パス。これを受けた岡留が大石の動きをおとりにして中へ運び、左足を振り抜く。この一撃がファーサイドのネットに突き刺さり、鹿児島城西が先制した。

 鹿児島実も交代出場のMF福元一光(3年)が持ち上がってボールを動かすなど反撃。40+2分には東中のクロスから原口が右足シュートへ持ち込む。だが、堅守・鹿児島城西から1点を奪えなかった。鹿児島城西が1-0で勝利。宿敵・神村学園との決勝へ進出した。

 鹿児島城西は5日前、ライバル・神村学園と同じプレミアリーグへ昇格する権利を獲得。チームの歴史を変えた。新田監督はこの選手権予選へ向け、「(プレミアリーグへの昇格を決め)もう財産残したから。次のバトンも渡したし。来年以降の城西について、君たちはもう十分やった。選手権は自分たちのために思い切ってやりなさい」と3年生に言葉を掛けたという。

 それに対して岡留は「もう自分たちのために。財産取るためにやってます」。また石内は「3年生としてこれからの城西にも繋げるために、明日、絶対城西らしいサッカーをピッチで表現して、神村はライバルなので、勝って優勝したいです」と意気込んだ。

 今年は県新人戦と九州新人戦決勝で神村学園に連勝。だが、インターハイ予選決勝ではリベンジされている。今回が決着戦。新田監督は「リーグのところで同じ土俵に立てたんで。皆さんが注目してもらってるっていうところで、さらに城西を応援してもらえるような試合ができればなと思います」と語った。すでに全国大会は鹿児島県を除く46都道府県の47代表校や組み合わせが決まっており、注目される決勝戦。そこで鹿児島城西は6連覇中の神村学園を止め、「自分たちのため」に選手権切符を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)


●第102回全国高校サッカー選手権特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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