beacon

選手権を「濃い大会にしたい」。神村学園の2年生MF名和田我空は今冬、誰よりも成長して日本一へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

神村学園高のU-17日本代表FW名和田我空(2年=神村学園中出身)は選手権を「濃い大会にしたい」

[12.16 選手権鹿児島県予選決勝 神村学園高 1-0 鹿児島城西高 白波スタ]

 もちろん、自分のプレーには納得していない。それでも、神村学園高のU-17日本代表FW名和田我空(2年=神村学園中出身)が決勝点を演出した。0-0の後半4分、U-17日本代表左SB吉永夢希(3年)の鋭いパスをスピードに乗ったのままPAでコントロール。そこから巧みに相手のマークを外してクロスを上げ切ると、MF新垣陽盛(2年)が頭で合わせ、最後は仙台内定FW西丸道人主将(3年)がゴールへ蹴り込んだ。

「あそこで起点を作るっていう意味で左サイドに置かれてるので、そういう部分で、準決勝も、決勝も、左サイドから得点が生まれたっていうのは、ポジティブに考えれるところかなと思います」と頷いた。前日の準決勝ではチームの3得点中、2得点をアシスト。注目MFは試合を決定づけるような仕事をしてのけた。

 ただし、その他は反省の弁が続いた。準決勝は背中越しに飛んで来たボールを絶妙なトラップでコントロールするなど会場を沸かせた一方、シュート7本を放ちながら無得点。この決勝も立ち上がりの決定的なシーンで決められず、後半には得意とする直接FKをDFに当ててしまった。

 トップ下でプレーしていたインターハイ予選では準決勝、決勝でスーパーゴールを決めて優勝に大きく貢献したが、今大会の2試合は無得点。「やっぱり、ああいうところで決め切れないと、全国は勝てないと思うので。本当に決め切る力っていうのは、どこのポジションでプレーしても一緒だと思うので、本当にチャンスがあったら1本でも仕留められるように、これからもっとレベルアップしていきたいです」と反省していた。

 U17アジアカップでMVPと得点王の2冠。U-17ワールドカップでもスペイン戦で鮮烈なゴールを決めた。2200人が集まったこの鹿児島県予選決勝でも注目度は随一。試合後、非常に多くのファンから囲まれてサイン、写真撮影を求められていた。

 その状況の中、チームを勝たせるために狙い続けたゴール。だが、本人は冷静さが欠けていたと自己分析する。「FKの場面もですけど、やっぱり、冷静さが足りなかったり、今日、試合終わって凄く感じたのは、本当に雰囲気もあったので、興奮してしまって、平常心でいれてなかったなっていうのを感じました」。注目されることは「すごく嬉しいこと」と語る名和田は、より注目度の上がる全国大会で先輩たちのような結果を残す意気込みだ。

 前回の選手権、最注目FWだったFW福田師王(現ボルシアMG)が青森山田高の連覇を阻止する決勝点など3得点で得点王。今回の鹿児島県予選決勝では仙台内定FW西丸主将が決勝点を決めた。

「やっぱり決めるべき選手が本当に決めてるので、今日も道人さんがしっかり点取ってくれましたし、その(決めるべき選手の)1人は自分だと思うので、しっかり決めるべき試合で決めるべき選手がしっかり試合を決めて、一戦一戦勝っていけたらなと思います」

 将来へ向けて、再び自分の力を示していかなければならない。U-17日本代表のエースとして期待された11月のU-17ワールドカップで、予選リーグの出場時間は初戦の70分間のみ。決勝トーナメント初戦のスペイン戦で先発し、素晴らしい同点ゴールを決めたが、チームは敗れて不完全燃焼に終わった。

「すごく悔しかったですし、自分的にはスペイン戦で出してもらって、こっから行くぞっていう時に負けてしまったので、本当に悔いが残ってますし、ワールドカップっていう舞台を経験できたのは、1つ大きなポイントかなと思いますけど、 本当に世界大会で悔しい思いをしたので、その分、U-20のワールドカップだったり、その先のオリンピックやA代表のワールドカップで本気で世界とやった時に、次は倒せるように、スペイン代表を倒せるように、これからも彼らより練習して、本当に謙虚に頑張っていきたいです」

 その思いを持って帰国し、プレミアリーグWESTでは2戦3発で残留へ導く活躍。鋭いドリブル、絶品のパス、そして、相手のわずかな隙を逃さずに一発で仕留める力はやはり、注目だ。だが、選手権予選で結果が出なかったことを真摯に受け止めて、再び努力を重ねながら「めちゃくちゃ楽しみ」だという選手権へ向かう。

「もう全国が決まった瞬間からめちゃくちゃ楽しみですし、去年、国立経験できているので、今年こそは本当に国立でしっかり勝って、本当に日本一っていう目標を達成できるように、自分がチームを勝たせる気持ちで頑張りたいです。選手権は本当に日本一っていう目標を持ってここに来たので、日本一になりたいですし、それでもあくまで通過点なので、 自分が一戦一戦本当に成長できるように、そういう、濃い大会にしたいなと思います」。厳しいマークを受けることは間違いない。それでも松本国際高との初戦から、国立決勝までの5試合で誰よりも成長を遂げて選手権を終える。

(取材・文 吉田太郎)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

TOP