beacon

「忘れられない」今夏の敗戦を経て…広島国際学院の歴史に刻むゴールを決めたFW野見明輝

このエントリーをはてなブックマークに追加

102回大会最初のゴールを挙げた広島国際学院高FW野見明輝

[12.28 選手権開幕戦 早稲田実高 0-2 広島国際学院高 国立]

 広島国際学院高(広島)にとって、待望の”全国初勝利”。それを手繰り寄せたのは、エースの一発だった。

 前半28分、左サイドのスローインでMF島川翔汰(3年)からボールを受け取ったDF岡田康誠(3年)がクロスを送る。中央でMF長谷川蒼矢(3年)がヘディングでコースを変えると、最後はFW野見明輝(3年)が頭で押し込んだ。開幕戦の決勝点であるとともに、このゴールが広島国際学院の“全国初得点”となった。

「ファーストゴールを狙っていて、周りにも言っていたので、有言実行することができて良かったです」。102回大会にとっても最初の得点に、ストライカーは安堵した。

 立ち上がり、ミスからピンチを招き、「ヒヤヒヤしながら見ていた」(野見)という展開を強いられた広島国際学院。それでも、6分にMF渡邊雄太(3年)のフィードに抜け出た野見のシュートを皮切りに、島川の決定機も生まれて流れは変わった。

 自身のゴールを「最高です」と表現する野見だが、「1年生のときはシュートを外しすぎて試合に出られない時期があって。自分の代わりに出た人が自分よりも活躍して、ずっと出られない苦しい時期もあったので、高校の中で一番苦しかった」という時期を、ストライカーは乗り越えてきた。

 野見が3年生になり、広島国際学院はインターハイで全国大会初出場を果たしたのだが、そこでも苦い経験が待っていた。1回戦で帝京第五高(愛媛)と対戦した広島国際学院は、13本のシュートを放ちながら、帝京第五に許したたった1本のシュートによって0-1での敗戦を喫していた。野見は先発フル出場をして5本のシュートを放つも涙をのんだ。「あの負けは忘れられない」。その悔しさをばねに、「1試合1試合確実に決めきることを考えて」、この5か月あまり取り組んできたという。

 苦難を乗り越えてつかんだ喜びを誰に伝えたいかという問いには、「親ですかね。見に来ているので、伝える必要はないと思います(笑)」と笑みをこぼした。

(取材・文 奥山典幸)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
奥山典幸
Text by 奥山典幸

TOP