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[MOM4573]名古屋GK小林航大(3年)_U-17W杯4発FWを阻む好セーブ&PKストップ!! 救助ロボに関心持つ国立大志望の守護神

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名古屋高の守護神GK小林航大(3年=FCフェルボール愛知)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.29 選手権1回戦 名古屋 1-1(PK4-2) 日章学園 オリプリ]

 ビッグセーブでチームを失点の危機から救い、運命のPK戦では2本をストップ。名古屋高の守護神GK小林航大(3年=FCフェルボール愛知)が圧巻のパフォーマンスを見せ、創部65年の初出場校に記念すべき初勝利をもたらした。

 1-1の同点でもつれ込んだPK戦。日章学園高は2人目のキッカーにU-17W杯で4ゴールのFW高岡伶颯を送り込んできたが、気押されることはなかった。「思い切り跳べというのをコーチに言われていた」。思い切って左に飛んだ小林に対し、高岡のキックはやや内側に入ったものの、うまく右手を残してセーブ。世代屈指のストライカーとの駆け引きを制した。

「どっちに蹴るかをギリギリまで見た上で、信じたほうに思い切り跳んで止められた」。実はこの形、選手権県予選決勝・刈谷高戦(○0-0、PK5-3)でのPK戦と同じような形。小林は「決勝の時もちょっと残した右手で止めた形だった。決勝と同じだったから止められたのかもしれない」と喜びを口にした。

 さらに日章学園の4人目キッカーに対しても、鋭い横っ飛びでスーパーセーブ。「これを止めたら名古屋が勝てるという場面で、より一層このPKは止めないといけないと思った」。イメージどおりのプレーを発揮した時点で試合が決着。この結果により、初出場の名古屋にとっては初白星、また愛知県勢にとっても7年ぶりの初戦突破が決まった。

 PKのトレーニングは日々の練習後、コツコツ行ってきたという。「もともと得意だったけど、PKの練習をして自分の成長につなげられた。相手との駆け引き、我慢するところが伸びたと思う」。意識していたのは「試合の雰囲気、ピリピリ感を出す」こと。緊張感を持ってトレーニングできていたことが、試合でのプレーにつながっていたようだ。

 また小林はPK戦に入る前にも、規定の80分間でミスの少ない安定したパフォーマンスを発揮。セットプレーでの冷静なハイボール処理に加え、前半17分には高岡の強烈なヘディングシュートを横っ飛びでセーブしており、非凡な素質を見せていた。

 もっともそんな小林だが、高校卒業後はサッカー選手としてプロを目指すのではなく、違う道を進むつもりだという。「怪我もいっぱいあると思うし、自分も小学生の時に疲労骨折をしてしまったりしていて、そういったことを考えるとサッカーで生きていくのは厳しいかなと思う」。そのため大会直後の来年1月14、15日には大学入学共通テストを受験し、勉強にも力を入れている。

 志望するのは国立の静岡大工学部機械工学科。「機械のことに携わりたいと小さい頃から思っていた」といい、中でも救助用ロボットの設計・開発に関わりたいと考えている。そのきっかけは幼少期に見た東日本大震災の映像。「震災のまとめで災害用ロボットを使われているのを見て、自分もこういう分野に携わりたいと思って目指し始めた」。今大会の合宿中も時間を見つけて受験勉強に励んでいるという。

 大会期間が長くなればそのぶん、受験勉強に割ける時間は少なくなるが、それも覚悟して選んだ“文武両道”の道。「勉強もサッカーも頑張りたいと思って名古屋高校に進学した」という守護神が高校サッカー生活でもさらなる上を目指す。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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