[12.29 選手権1回戦 矢板中央高 0-1 東海大大阪仰星高 等々力]

　第102回全国高校サッカー選手権は29日、各地で1回戦を行った。等々力陸上競技場の第2試合では、2年ぶり13回目の出場となる矢板中央高(栃木)と7年ぶり6回目の出場となる東海大大阪仰星高(大阪)が対戦。東海大仰星が1-0の勝利を収め、31日の2回戦で明秀日立高(茨城)と対戦する。

　東海大仰星が徐々に試合のペースをつかみ、フィニッシュに持ち込む場面を作り出したが、そこで立ちはだかったのが矢板中央GK大渕咲人(3年)だった、前半17分にはFW水永直太朗(3年)のシュートを弾くと、こぼれ球に反応したFW小林旺誠(3年)のシュートもストップ。さらに21分にはDF加賀美諒(3年)がミドルレンジから放った枠を捉えるシュートを弾き出した。

「GKがすごくバランスのとれたGKだと分かっていたので、なかなか簡単にはいかないと思っていた」(東海大仰星・中務雅之監督)。最後方に構える大渕だけでなく、DF清水陽(2年)とDF荒野壱心(3年)の2CBコンビを中心とした矢板中央守備を前半は崩し切れずにいた。しかし、後半の立ち上がりから再びリズムを生み出すと、6分に試合を動かす。

　右サイドでボールを受けたMF中本昇(3年)が鮮やかなスルーパスを供給。反応したのが背番号9を背負うエースだった。最終ライン裏をとった水永がPA内に走り込むと、距離を詰めた大渕の動きを見極めて右足で流し込む。この日好セーブを連発していた守護神をついに打ち破り、東海大仰星がスコアを1-0とした。追加点を狙う東海大仰星は27分、MF芳田慶達(3年)のクロスから加賀美がボレーを狙うも、シュートは枠を捉え切れなかった。

　1点のビハインドを背負う矢板中央は34分に183センチのFW香崎青空(3年)を前線に投入。36分には香崎のパスを右サイドで受けたMF山下魁心(2年)が突破から右足で狙うも、シュートはGK森本真幸(3年)に阻まれる。その後も攻勢をかけ、アディショナルタイムにはCKの好機に攻撃参加したGK大渕がフィニッシュに持ち込んだが、矢板中央に同点ゴールは生まれず。逃げ切った東海大仰星が1-0の完封勝利を収めた。

　東海大仰星の中務監督が「(矢板中央は)個人個人が非常にタフで、勝負にきっちりする強度の高いチーム。最後まで非常に厳しい試合だった」と語れば、総体ベスト8まで進出し、さらなる高みを目指した矢板中央の高橋健二監督は「お互いに堅守速攻。あの失点が大きかった。悔しいゲーム。本当に一瞬の隙だった」と振り返ったように一進一退の攻防が繰り広げられた。そして、白熱した一戦を制した東海大仰星が2回戦で対峙するのは、総体を制した明秀日立だ。

「胸を借りるつもりで、チャレンジャーとして臨みたい。(明秀日立は)それぞれ力があり、バランスがあり、交代選手も力のある選手が多い。できる限りの準備をしていきたい」(中務監督)。初戦突破の勢いに乗って“夏の王者”に挑む。

(取材・文　折戸岳彦)

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