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早期の手術決断、仲間たちの活躍で得た選手権出場の機会。静岡学園の川崎F内定FW神田奏真が18歳誕生日の全国初戦で2発!

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初戦で2得点。静岡学園高FW神田奏真(3年=大阪東淀川FC出身)がヒーローインタビューを受ける。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.29 選手権1回戦 静岡学園高 6-0 明徳義塾高 駒場]

 静学のエースストライカーが、自身の誕生日に復調と凄さを印象付けた。静岡学園高の川崎F内定FW神田奏真(3年=大阪東淀川FC出身)が後半に頭で2ゴール。9月上旬に両足甲を手術、長期離脱していた背番号9が、公式戦約5か月ぶりの先発となった一戦で結果を残した。

 神田は、前半16分にダイレクトのラストパスで右SB野田裕人(2年)のゴールをアシスト。また、浮き球を跳躍しながらの胸トラップで収めて見せるなど、会場を沸かせたが、一方で前半はなかなか効果的なボールが入ってこなかった。右足ボレーシュートをDFにブロックされるなど、前半は無得点。それでも、チームがより神田を活用することを共有して迎えた後半にエースは2得点をあげた。

 10分、13分にいずれも野田の右クロスから、得意のヘッドで連続ゴール。「今日のアップの時に、ヘディングしてた時にちょっと良い感じだったんで、今日行けるな、みたいな感じで思っていました」。今季覚醒させてきたヘッドで、インターハイ以来となる公式戦ゴールを決めた。

 1点目を決めた後にはスタンドのチームメートたちが「ハッピバースデー、奏真!」の大合唱。神田は「とにかく久しぶりの試合だったんで、点欲しいっていうことしか考えれなかったんで。そこ(誕生日のこと)はもう考えず、たまたまこういう日で特別な日になった感じです」。ゴールを決めることに集中していたという神田だが、試合後は人生初だというバースデーゴールを素直に喜んでいた。

 昨年までは献身的な守備の方を評価されるFWだったが、努力を重ねて迎えた今季はシーズン当初からゴールを量産。そのスケール感の大きなプレーを静岡学園OBの川崎F・向島建スカウトに高く評価されてオファーを受けた。一方で甲の痛みが消えず、プロ入りする来年以降のためにも早期の手術を決断。その時点で選手権予選欠場が確定したため、チームに迷惑をかけてしまうことになった。だが、チームはエース不在に苦しみながらも、MF庄大空(3年)ら新戦力の台頭も力に予選突破。チームメートやスタッフ、家族のサポートを受けながらリハビリをしてきた神田は、プレミアリーグ1試合と練習試合でのプレーを経て、この全国大会で活躍するチャンスを得た。

 神田は「県大会出れないっていうのは分かっていたことで、そこはもうチームが行ってくれるっていう風に思ったんで、すぐ決断しました。こうやってチームが全国連れてってくれたからこそ、やっぱこうやって(早期の手術を選択して)良かったなっていう風に思えるんで。もうチームメートに感謝しています」と微笑んだ。

 川口修監督が指摘するように、ゲーム体力の面などまだまだこれから。だが、前線でのボールキープや献身的な守備、そして得点力など神田が加わることで静岡学園の戦力は一段階アップする。その神田は選手権得点王、日本一を獲得することで、チームメートたちに恩返しする意気込みだ。

「(得点王は)僕はもうずっと狙ってきてたんで。次の試合でも最低2点以上は決めたいなと思っています」ときっぱり。チームメートも「(攻撃も。守備も)オールラウンダーのFW」「スーパー」と認めるエースストライカーが2回戦でも連発し、静岡学園に白星をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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