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選手権で“アヤックスすぎる”ゴール、本田圭佑「日本サッカーの発展がわかる」神戸弘陵・注目10番MF北藤朔が意識した“決まり”

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神戸弘陵高MF北藤朔(3年)(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.29 選手権1回戦 仙台育英 0-4 神戸弘陵 ニッパツ]

 選手権初戦で2ゴールを決めた。神戸弘陵高(兵庫)で10番を背負うMF北藤朔(3年)はチーム3点目とPKによる4点目をマーク。3点目の流れるような攻撃からのゴールは、ネット上で“アヤックスすぎる”と話題となり、本田圭佑氏もSNSで「このゴールを観ると日本のサッカーが発展してることが分かる」と反応していた。

 ネット話題のゴールは自陣左サイドから始まった。ボールは最終ラインまで戻って右サイドにパスがつながる。右サイド大外と内側の選手が細かいパスワークを駆使しながら一気に前進。フリーで抜け出したMF佐波昂大(3年)がクロスの体勢に入った。その隙に逆サイドを全力疾走していたのが北藤だ。

「あっちのサイドでボールを持ったときに、絶対に逆サイドの人はファーサイドに入るという決まりがある」(北藤)。佐波の左足クロスを、北藤がPA左で華麗に止める。「トラップのボールを置く位置で相手の重心が変わる。トラップはすごく意識している」。スムーズにシュート体勢に入った北藤が右足シュートをゴール右隅に決め切った。

 北藤は後半アディショナルタイムに自身のドリブルからPKを奪取。キッカーは決まっていなかったというが「(自分が)蹴るわと。蹴らせてもらいました」。冷静にダメを押し、初戦で2ゴールを決めた。

 “選手権の10番”という系譜を継いだ。北藤の兄・廉は近大和歌山高で背番号10を着用。2021年度の選手権1回戦で流通経済大柏高を撃破したメンバーだ。

「流経に勝ったとき、ずっと粘ってマジで最後まで走ったと話していた。もう根性論だと。走り続けるのがマジで大事と言っていました」。兄は2回戦でMF古川陽介(磐田)らプロ内定者を擁する静岡学園高に敗れたが、北藤は選手権に強い印象を持った。「古川選手も間近で見れて、こんなにでかいところで、あんなプレーできるのすごいなと思った。かっこよかったので、自分も憧れにしてやってきた。2ゴールでちょっと近づけたかな」と手応えを語る。

 チームの目標はもちろん優勝だが、個人ではゴール量産も視野に入れる。「得点王を目指して、絶対に全試合1点は取りたい。チームの勝利に貢献できるようにしたい」。2回戦では強豪・前橋育英高(群馬)と対戦。兄が越えられなかった壁を弟が越えてみせる。

(取材・文 石川祐介)

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石川祐介
Text by 石川祐介

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