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[MOM4588]富山一FW谷保健太(3年)_“最後の舞台”でつかんだ先発の座…100%で取り組んできた男が価値ある同点弾!!

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貴重な同点ゴールを奪った富山一高FW谷保健太(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権2回戦 富山一高 2-1 京都橘高 味フィ西]

 決して、レギュラーとしてシーズンを過ごしてきたわけではない。しかし、富山一高(富山)FW谷保健太(3年)は最後の舞台でチャンスをつかみ、自らの存在価値をゴールという結果で証明してみせた――。

 前半15分に京都橘に先制を許す苦しい展開となった富山一。反撃を試みるも、GK中浦悠大(3年)の好セーブに阻まれるなど、得点を奪えずに前半を折り返した。しかし、後半11分に試合を振り出しに戻す。

 右サイドで受けたDF谷川智哉(3年)がクロスを送ると、相手に当たったボールはファーサイドまで流れる。反応したのが谷保だった。「前半は1本もシュートを打てなかった。でも、絶対に自分のところに来ると仲間を信じて入っていった」。打点の高いヘディングで合わせたボールはネットを揺らし、貴重な同点ゴールが生まれた。

 この得点で勢いに乗ったチームは、35分にMF多賀滉人(3年)がPKを沈めて逆転。19分に途中交代した谷保は「守り切ってくれると信じていた」とベンチから仲間を見守る。そして、ピッチ上の選手たちは京都橘の反撃を許さず、2-1の逆転勝利で3回戦へと駒を進めることとなった。

 貴重なゴールを奪った谷保だが、選手権前まではレギュラーポジションをつかんでいるわけではなかったという。「今シーズンは競争してチーム力を上げようという話をしてきた」(加納靖典監督)というチームにあって、負傷で出遅れたこともあり、トップチームではなくセカンドチームでのプレーを続けてきた。しかし、そこで手を抜かなかった。「出たら体を張ってチームのために戦おうという気持ちが伝わってくる選手だった」(加納監督)との評価を得るだけでなく、選手権前の「鹿嶋のキャンプで調子が良かった」ことで初戦の先発の座を射止めた。

 そして、指揮官の期待にゴールという最高の結果で応えた。「途中から出ようが、最初から出ようが、練習から100パーセントでやっていれば必ずチャンスが来ると思っていたので、今日それが実って良かった」と本人が白い歯を見せれば、加納監督も「今日だけ特別にやったわけではなく、日頃の取り組みの中でやってきたことがピッチの中で出たと思う」と頬を緩めた。

 次戦もスターティングメンバ―に名を連ねられるかは分からない。しかし、ピッチに立てばやることは一緒だ。「自分のゴールで勝てたら一番嬉しいけど、僕たちは優勝を目指しています。誰が出ても活躍できるチームだと思うの、自分は自分のやるべきことをやりたい」と決意を新たにした。

(取材・文 折戸岳彦)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

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