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近江の進撃続く!今度は夏の王者・明秀日立を破り、初の準々決勝へ!

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近江高がインターハイ王者を破り、初の8強入り

[1.2 選手権3回戦 明秀日立高 1-1(PK2-4)近江高 等々力]

 第102回全国高校サッカー選手権3回戦が2日に行われ、インターハイ優勝校の明秀日立高(茨城)対近江高(滋賀)戦は1-1でPK戦へ突入。近江が4-2で勝ち、初の準々決勝進出を決めた。

 明秀日立はインターハイで静岡学園高や青森山田高、桐光学園高(神奈川)などの強豪校を連破して日本一。今大会で史上6校目の夏冬2冠を狙う。一方の近江は本格強化から8年。当時滋賀県3部リーグにいたチームは今年のプリンスリーグ関西1部で2位に入り、プレミアリーグプレーオフを戦った。今大会はインターハイ3位の日大藤沢高(神奈川)を破って初の3回戦進出。ともに近年の台頭が印象的な両校の戦いは、互いに取り組んできた強度の高さや質を見せ合うゲームとなった。

 前半は明秀日立のアグレッシブな攻守が近江を上回る。左DF斉藤生樹(3年)や右WB長谷川幸蔵(3年)のドリブル突破でゴール前のシーンを作り出すと、11分にはゴールキックをFW熊崎瑛太(3年)が頭で落とし、FW石橋鞘(3年)が胸トラップからの左足ボレー。このシュートは左ポストを叩いたが、その後もアプローチの鋭い守備で相手ボールを奪い取る。
  
 右DF飯田朝陽(3年)のインターセプトやDF山本凌主将(3年)のヘッド、そして、MF大原大和(3年)が3度4度とスライディングタックルを決めるなど守備面でも良さの出た明秀日立は、MF吉田裕哉(3年)のスルーパスやプレースキック、石橋のキープ力なども活かして相手にプレッシャーをかける。

 近江はDF西村想大(3年)のシュートブロックなどで失点を免れていたものの、22分に明秀日立が先制する。大原の縦パスを起点に熊崎、石橋が係わって前線へ飛び出した吉田へ。その吉田の落としを受けた石橋が、GK頭上へ右足ミドルを突き刺した。

 相手の強度の高い攻守に苦しんだ近江も反撃。30分に注目の10番DF金山耀太(3年)がインターセプトから持ち上がり、左足シュートを打ち込む。エースMF山門立侑(3年)や右WB鵜戸瑛士(3年)のドリブルを交えた攻撃を継続。また、幾度か人数を掛けたカウンターで相手を背走させた。

 明秀日立は特に中盤での潰しが速く、相手の攻撃力を封鎖。だが、山本のヘッドなど2点目のチャンスを活かせなかった。迎えた後半、スタートから2枚替えした近江が猛プッシュ。左WBへポジションを上げた金山や山門の仕掛けからMF西飛勇吾(3年)がシュートを打ち込む。

 そして、7分、鵜戸の強烈なシュートのこぼれを繋ぎ、山門から左サイドから仕掛けてクロス。これがDFのハンドを誘い、PKを獲得した。このPKを山門が右足で右隅へ流し込み、同点に追いついた。

 近江の勢いは止まらない。サポートの速さ、個々のスキルの高さで相手を上回り、躍動感のある攻撃。明秀日立は高い位置で奪い切る回数が減少してしまう。14分、山門が左サイドを抜け出し、折り返しを金山が右足ダイレクトで狙う。だが、明秀日立のGK重松陽(2年)がファインセーブ。明秀日立も12分に初戦決勝点の“切り札” FW根岸隼(3年)とMF竹花龍生(2年)を同時投入し、再び勝ち越し点を目指す。

 雨中で激しく攻め合う両校。明秀日立が迫力のある攻撃や、セットプレーで相手ゴールを脅かせば、近江も正確なパス交換や鋭いドリブル、そしてサイド攻撃からゴール前のシーンを作り返す。だが、互いに粘り強い守備でゴールを許さず、1-1で80分間を終了。決着はPK戦に委ねられた。

 両チームともに2回戦に続くPK戦。先攻・明秀日立の3人目、4人目を近江GK山崎晃輝(2年)が連続でストップする。近江は4人連続で決めて決着。滋賀の新興勢力・近江がインターハイ王者撃破を果たした。

(取材・文 吉田太郎)

吉田太郎
Text by 吉田太郎

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