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[MOM4612]近江MF鵜戸瑛士(3年)_国立に導く先制ボレー&80+3分劇的弾!! 守備でもU-17W杯コンビに奮戦「負けずに戦えた」

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決勝ゴール含む2発の近江高MF鵜戸瑛士(3年=長岡第三中)

[1.4 選手権準々決勝 神村学園 3-4 近江 浦和駒場]

 国立競技場への道筋を切り拓く近江高の劇的ゴールは、右サイドを無尽蔵に駆け抜けるスピードスターから生まれた。

 3-3で迎えた後半アディショナルタイム2分、左サイドからのクロスに飛び込んだMF鵜戸瑛士(3年=長岡第三中)は相手のクリアミスにつけ込むと、迷わずに右足一閃。「こぼれてくると思って、最後は思い切って振った」(鵜戸)。地を這うシュートを右ポストに当てながらねじ込み、史上初の4強入りに導いた。

「逆サイドでやっている時はクロスに入ろうと思っていて、ずっと信じて走っていたのでこぼれてきて良かった」(鵜戸)。近江は2回戦、3回戦ともにPK戦で勝ち上がってきており、この日も同点のまま終盤を迎えていたが、考えていたのはゴールだけ。「PKまで行く感じはしなくて、点が取れると思っていたので、ああいうチャンスを決め切れて良かった」と笑顔を見せた。

 鵜戸は前半12分にもチームの先制点を記録しており、劇的な決勝弾で2ゴールの大活躍。1点目はMF浅井晴孔(3年)のクロスにペナルティエリアの大外で反応し、右足ボレーで折り返しながらふわりと流し込む形だったが、しっかりとゴールを狙ったキックだったという。

「こぼれてきてゴール狙えるなと思って、思い切って振ったらいい感じに行って入ったので良かった」。そう初々しく振り返った鵜戸だが、「ゴールは狙っていたけど、あんなに上手くいくとは思っていなかったです」と照れ笑いも浮かべた。

 高校に入ってからは「初めて」という2ゴールで、結果的に攻撃の貢献が目立つ形となったが、守備時はU-17W杯メンバーのDF吉永夢希(3年)、MF名和田我空(2年)とマッチアップ。豊富な運動量を活かして世代屈指の相手に自由なプレーをさせず、最小限の仕事にとどめる働きも際立っていた。

 試合前には両選手の映像をチェックしていたといい、「自分がどれだけできるのかという思いがあったし、相手のレベルがどれくらいなのかなと楽しみだった」と鵜戸。「とてもいい選手と戦える中でレベルも高かったけど、負けずに戦えたんじゃないかと思う」と手応えを語った。

 昨年度から近江の主力を担ってきた鵜戸は昨年度の選手権で全国デビュー。2回戦の昌平高戦(●1-3)では激しいプレッシングに襲われる中でも突破力を発揮し、一時同点に追いつくゴールも決めた。それでも「自分は点を決めても試合に勝たないと意味がない」とあえて厳しい基準を自らに突きつけ、今年1年間は「勝ちにこだわることをやってきた」という。

 その結果、今季はプリンスリーグ関西で2位に入り、プレミアプレーオフで史上初の決勝進出を達成。最後の全国選手権でも目標のベスト4入りを果たし、その重要な一戦で自身が大活躍を果たした。

「今年は自分がなかなか点を取ることはなかったけど、ああいうチャンスを決められた。こういう感じでチームに貢献できて良かった」

 そうして迎える準決勝は、国立競技場での一戦。中学時代は中体連の長岡第三中で過ごした鵜戸にとっては「想像はできなかった」舞台となる。

 もっとも小学校時代は長岡京SSでプレーした経験を持ち、当時のチームメートはU-19日本代表に飛び級選出されているMF清水大翔(C大阪U-18)。「日本代表に入ったりしていたし、そういうのを聞いて自分も頑張ろうと思っていた」と世代トップレベルからの刺激を受け、自身もひたむきに思い描いてきたステージでもある。

「自分の特徴のドリブルを国立のピッチでも出せるようにやっていきたい」。磨き上げてきたスピードとドリブル、そしてチームメートと作り上げてきたアグレッシブなサッカースタイルを武器に、高校サッカーの聖地で躍動する準備はできている。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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