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2年生守護神が安堵の涙…躍進の立役者、近江GK山崎に先輩が愛のイジリ「これでプラマイゼロだな」

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試合後、思わず涙する近江GK山崎晃輝

[1.4 選手権準々決勝 神村学園 3-4 近江 浦和駒場]

 思わず涙が溢れた。2回戦の日大藤沢戦(1-1、PK4-3)、3回戦の明秀日立戦(1-1、PK4-2)と2試合連続でPK戦勝利の立役者となった近江高(滋賀)のGK山崎晃輝(2年)だったが、初の4強入りを果たした準々決勝は3失点と、GKとしては悔しい結果でもあった。

 1-1の前半22分、角度のない位置からDF吉永夢希(3年)にニアを破られると、2-2に追いついた直後の後半15分にはほぼ正面に飛んできたMF名和田我空(2年)のFKを弾き切れずに失点。「(2失点目は)クロスが来るかなと思ったら自分の方に来て反応が遅れた。(3失点目は)言い訳になるけど、(選手が)かぶって見えなくなった」と唇を嚙んだ。

 そんな山崎を救ったのは同じ2年生のMF山本諒(2年)だった。途中出場ながら1-2の後半13分に同点ゴールを決めると、2-3の後半26分にも再び同点ヘッド。セットプレーから2度の同点ゴールをマークし、後半アディショナルタイムの決勝点につなげた。

 山本とは寮で一緒に生活しているという山崎は「あいつはエゴイスト。プリンスリーグでも彼の劇的ゴールで勝った試合があるし、普段から俺らが3年生に負けじと頑張ろうと話している。今日も試合前から『絶対に俺が点を取るから』と言っていた」と明かした。

 自らの責任を痛感していた2年生守護神は、劇的な逆転勝利に試合後は悔しさと安堵が入り混じった複雑な感情がこみ上げ、思わず大粒の涙がこぼれた。

「悔しさと、まだ3年生とできる安心から涙が出た」。そんな山崎に「お前のおかげで1試合目、2試合目に勝てたんだから気にするな」と声をかけたという先輩たち。「これでプラマイゼロだな」という愛のいじりもあり、守護神は冷静に前を見据えている。

「選手権が始まってPK戦だけ切り抜かれたらビッグプレーをしているように見えるけど、試合を通して見たらいつもより悪いプレーをしている」。そう自身を見つめ直すと、「ここ3試合とも前半で失点している。まずは失点ゼロでいきたい」と力説。国立競技場で行われる6日の準決勝・堀越戦に向け、「チームで3試合やってきてつないだ国立のピッチ。思い切ってプレーできたらいいなと思う」と静かに闘志を燃やした。

(取材・文 西山紘平)

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西山紘平
Text by 西山紘平

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