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[MOM4614]青森山田DF小泉佳絃(3年)_昌平完封&セットプレー2発!! 190cm大器CBが国立行き牽引「良い舞台が整った」

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青森山田高DF小泉佳絃(3年=ウインズFC U-15)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.4 選手権準々決勝 青森山田 4-0 昌平 浦和駒場]

 青森山田高が誇る190cmの長身センターバックが、国立行きを争う大一番で輝きを放った。

 最大の仕事である守備では冷静な対人対応と危機を救うカバーリングで無失点に抑え、攻撃ではセットプレーから2ゴールの大活躍。「失点ゼロで行くことは試合前からこだわっていたし、CBとしてみんながキツイ時にゼロでいけるかが醍醐味だと思う。得点は取りたかったし、取れてすごくホッとしている。これからさらに波に乗っていければ」。1年時にスタンドから味わった日本一の光景にまた一歩近づいた。

 昨季から青森山田高の最終ラインを担うDF小泉佳絃(3年=ウインズFC U-15)は選手権準々決勝の昌平高戦、まずは攻撃で魅せた。1-0で迎えた前半4分、MF芝田玲(3年)のFKが前線に送り込まれると、相手のクリアミスを見逃さずにゴール前へ。相手選手がオフサイドのセルフジャッジで足を止める中、DF菅澤凱(3年)からのパスを押し込んだ。

 ペナルティエリア左の角度のないところからのシュートだったが、的確にミートしたフィニッシュもお見事。「凱もいい感じに落としてくれたので、振り抜いて決められてよかった。練習でもクロス練習はDFもやっているので、練習のイメージどおりに出たと思う」と手応えを口にした。

 先手必勝のゲームプランを講じて臨んだ一戦、この2ゴールが大きく試合を優位に動かした。

「昌平高さんがやりたいのは後ろでつないで、個人のドリブルで仕掛けたりする形。入りの重要性は正木監督も言っていた。入りで1点、2点と取れたのはよかった」

 チームは前半19分にも1点を追加し、早々に3-0のリードを奪ったが、その後も油断を見せずに守る姿勢が目立った。

「1点目が入った時、点数が入るのが早いなと思っていて、そこからはいかにCBの自分と虎(DF山本虎)で締められるかだと思っていた。そこで繋ごうということになったらよくなかったかもしれないけど、割り切ってやって、まずは入りだということでどんどん背後を狙って、チームの共通認識を持ってやれたのでよかった」(小泉)

 そうして迎えた後半4分、芝田のFKを山本が頭で折り返し、小泉がゴール前に詰めて2点目を奪取。「芝田と蹴る前に目を合わせて、GKの前に落としてと言っていたけど、芝田がファーに蹴って虎が競る形になって、良い形にこぼれてきてくれた」。キッカーの臨機応変なプレー選択から流れるような連係を見せ、試合を決定づけた。

 今大会ではゴール前の攻撃参加に加わりながらも、なかなかゴールにつなげられていなかった小泉。それでも焦りはなかった。「黒田監督(黒田剛前監督/現町田)に昔言われたことがあって、『欲張りすぎるな』と。『欲張らずにボールがこぼれてきたところで決めろ』ということだったので、欲張らず、狙っていた結果につながったのでよかった」。前指揮官からの教えを全国舞台の結果につなげてみせた。

 その後はチーム全体がテンポを落とし、守備ブロックを固めて守る時間が続いた中、小泉は前に素早くアプローチしてピンチの芽を摘んだり、背後を突かれた時には素早くカバーリングで処理したりと、安定した守備対応を続けた。

 そうした危機察知能力は高校生活を通じて徐々に伸ばしてきた部分だった。「自分もカバーリングというか、目の使い方はすごく良くなったと思っていて、ここが危険だなというところで虎のカバーをできるようになって、潰せてきているのはすごく良いことだと思う」。たくましく、そしてしたたかな姿を全国の舞台でも印象付けた。

 小泉の活躍でチームは準決勝に進出し、対戦相手は市立船橋高(千葉)に決まった。

「FWにも良い選手がいるし、サイドにも速い選手がいて、縦に速いイメージがある。昌平高さんとは違うサッカーになると思うので、頭の切り替えをしっかりやって、市船に挑めるようにやっていきたい」

 そう展望する小泉に託されるのは、今大会得点ランキングトップのFW郡司璃来(3年)を封じる仕事だ。「個人的にやりたいと思っていた。プレミアでは2回やっているし楽しみ」。裏抜けのセンスと嗅覚を兼ね備える相手には、成長を遂げたカバーリング力も活きるはず。「良い準備と危機察知能力は成長してきているので、前が速い市船に対しても発揮していきたい」と意気込みを語った。

 その準決勝は国立競技場での開催。青森山田にとっては頂点に立った2021年度以来2年ぶりの聖地凱旋だが、当時の試合をスタンドで見ていた小泉にとって、初めて立つ国立のピッチとなる。

「(21年度主将の松木)玖生さんたちの代では、舞台が変わったとしても山田のやるべきことをしっかりやるというのがすごくお手本になった。優勝を間近で見てきたので、それを後輩たちに見せられるように、まずは市船との試合に勝てるようにやっていきたい」

 今季は正木昌宣監督から「存在感がまだない。姿勢や声でも存在感は出せるものだ」という要求をされているといい、大観衆の国立はそうした姿勢を見せられる絶好の機会。プロ基準の素質を持つCBは「すごく良い舞台が整ったので、あとは“小泉佳絃”というのをカバーリング、ヘディング、前への強さでも出していきたい」と堂々と挑んでいくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
竹内達也
Text by 竹内達也

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