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青森山田・正木昌宣監督会見要旨「ただただ感謝しかないです」

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青森山田高・正木昌宣監督が選手たちの手で宙を舞う

[1.8 選手権決勝 青森山田高 3-1 近江高 国立]

 8日、第102回全国高校サッカー選手権決勝が東京・国立競技場で行われ、青森山田高(青森)が近江高(滋賀)に3-1で勝利。2年ぶり4回目の優勝を飾った。青森山田はプレミアリーグに続く2冠達成。黒田剛前監督(現町田監督)に代わって22年11月から指揮を執る正木昌宣監督にとっては、指揮官として初の選手権制覇となった。

以下、決勝後の正木監督会見要旨

「本当に選手たちがこの大舞台でも緊張することなく、今まで1年間積み上げてきたハードワークすること、そして、良い守備から良い攻撃というところを90分間徹底して、本当にこれが全てだと思っているくらい、最後までやってくれたと思います。ちょっとまだ優勝したという感覚もちょっとないですけども、ただ、本当に頑張ってくれた選手に感謝したいという気持ちだけです」

―正木監督は1990年代後半に選手として青森山田高校に入って30年近くなると思うんですけども、その時、選手としては国立に立てなかった。コーチとしては優勝が複数回あって今回、監督としてこの国立の舞台で優勝した、優勝監督になったということに関する率直な思いをまず聞かせてください。
「母校で指導者をやって、選手権で優勝したいという思いで指導者になりましたし、去年びっくりした形で監督も引き継ぎまして、この1年、本当に試行錯誤しながらやってきましたけども、本当に報われたなという気持ちで、ただただ感謝しかないです」

―高校でプレーしている時に全国選手権の優勝監督となるっていうことは、想像していましたでしょうか?
「いやー、そうですね……優勝する気持ちで指導者になりましたけども、このような形でできるとは当然思ってませんでしたし、一番はやはり黒田前監督が作ってきてくれたこのベースがありますので、そこにまだ自分は乗らせて頂いているだけですので。一回、優勝したことによって、欲がもっと出てきそうなので、また来年から頑張りたいという気持ちで今いっぱいです」

―追いつかれた後、崩れてもおかしくなさそうな状況、流れではあったと思いますが、選手たちにどのようなことを伝えたのか、またこの戦いぶりに関してどのようにご覧になっているか教えて下さい。
「やはり、近江さんは本当に力のあるチームで、得点力というところはかなり警戒してましたし、後半、選手交代やポジション変更から攻勢に来るということは十分想像していました。1点取られましたけども、ただ、選手たちの顔を見ると、全く動揺することなくプレーしていましたし、逆に締まったなという感じの顔つきでしたので、やり続けていれば必ず点数は取れるということはミーティングでもずっと喋ってましたので、 選手の状況を見て、特に何かを変えることなく、『今までやってきたことをもう一回整理してやろう』っていうことだけだったと思います」

―終わった後、ちょっと涙が出るような様子も見られたかなと思うんですけど、おそらく僕らからすると想像もできないようなプレッシャーがあったと思いますし、その辺の心境的な部分を教えて下さい。
「本当にとんでもない記録や結果っていうモノを出してきた前監督から引き継いでの監督スタートでしたので、このような体験をしたことがある人っていうのも、やはり全国でもあまりいないというのが正直で。誰に相談するということもなく、ただ、自分なりに監督と19年やって来ていましたので、監督がいた時も色々なプレッシャーも掛けられていましたので(微笑)。それに比べればちょっと伸び伸びできた部分もありましたし。ただ、皆さんが思ってるようなプレッシャーというのは正直あまり感じることなく、本当にスムーズに渡してくれた黒田前監督に感謝したいですし、そのプレッシャーを逆に跳ねのけてくれた選手たちが本当に1年間逞しくやってくれていたので、プレッシャーはあまり感じずにここまで来れました」

―涙が出た時の心境は。
「いや、もう泣かない予定で……。2年前の黒田監督の涙を見て、『あー、泣いてる』と思ってたんですけど、 監督で優勝すると勝手に涙が出るんだなというところと最後に笛が鳴るまで本当に選手たちが走って、戦ってくれていた姿を見ると、『もうこれで見れないんだ』と思うと、優勝よりもそっちの方がちょっと感動したというか、涙が出たかもしれません」

―近江高校に剥がされるシーンが目立っていたと思うんですけれども、どのようにスタイルを分析して、あのスタイルを続けるということを考えていたのか教えて下さい。
「(近江高校は)一人ひとり非常に高い技術を持っている選手たちが多いということで、ボールホルダーのボールの置く位置をきちっと自分たちの前でっていうところと、ゴールを隠しながら自分たちの前でしっかり守りましょうと。そして、一枚剥がされたとしても、もう一枚という形で、次から次へとボールホルダーに対してアプローチできるように、中央の枚数、中盤の枚数をこちらも意図的に増やしながら対応しようとしていました。一番怖かった背後への抜け出しというところで後半やられてしまいましたけども、その後はきちっともう一度立ち位置を考えながら、走らせない、侵入させないということができていましたので、そこが今回シュートまで行かれなかった要因かなという風に思います」

―プレミアと2冠を達成したチームですが、監督からご覧になって、今年の選手たちは人間的にどのような選手たちが集まっていますか?
「今年の選手たち、3年生全体的に言えることですけれども、みんなコミュニケーション能力が非常に高いというところと、向上心がとてつもなく高い選手たちが揃ったなという印象はあります。その向上心とコミュニケーションっていうところによって、チームがどうすれば結果を出せるかとか、また個人としてもどうすれば良くなるかっていうのをみんなが本当に会話しながら、練習の中でも私が喋る必要がないぐらいコーチングが飛び交うような状況でしたので。それは、一昨年(22年)の11月に行われた新人戦の一週間前から練習しましたけれども、当時からすでにそういう状況があったので、そこをきちっとうまく活かせれば来年戦えるっていう思いを持って去年新人戦終わっていたので、そこのところが一番今年のチームの強みかなという風に感じています」

―びっくりするような形で黒田監督から引き継いだと仰っていましたけれども、まずそこから動揺がある選手たちにどのような言葉を最初に掛けてこのチームを作り上げたか教えて欲しいです。
「間違いなく選手たちは動揺しましたし、それは去年の3年生たちが特に1番感じて。ただ、その3年生たちが下を向くことなく、去年の選手権全国大会も本当に戦ってくれたというところがありましたので、特に何かを伝えるとか、そういうことじゃなく、『今までやってきたことを決して落とすことなく、日常をしっかりやろう』ということを伝えて今年のチームはスタートしましたので、選手に聞いてみないと分かりませんけれども、ただそういった形で動揺ではなく、みんな本当に目標に向かってやってくれていたっていうところで、我々は本当にサポートしただけです」


●第102回全国高校サッカー選手権特集
ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

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