beacon

北海道出身の流経大MF前田陸王、最後のインカレで故郷の旧友とマッチアップ「実は高校時代も一番仲が良くて…」

このエントリーをはてなブックマークに追加

流通経済大MF前田陸王と札幌大DF石黒尚

[12.7 インカレ1回戦 流通経済大 2-0 札幌大 第一カッターフィールド]

 大学生活最後の全国大会は、旧友との再会で幕を開けた。北海道出身の流通経済大MF前田陸王(4年=東海大札幌高)にとって、札幌大とのインカレ初戦は特別な巡り合わせ。また試合が始まると「小学校の選抜からの仲。だいぶ長い付き合い」という高校の同級生のDF石黒尚(4年=東海大札幌高)とポジションが重なり、感慨深いマッチアップも実現していた。

 ここでの再会にモチベーションが沸かないはずはなかった。「自分は北海道から関東に出てきたので、トーナメント表を見たときに札幌大学さんとやるとなった時、個人的にも気合が入っていた」。キックオフ直前の整列では流経大のチームメートが陣取るスタンドから「石黒尚に負けるなよ!」との熱い声援。前田が働きかけるように頼んでいたのだという。

「実は高校時代も一番仲が良くて、1年生からずっと一緒にいて、それを流経の仲間たちも知っていたので、冗談で“圧をかけといて”と(笑)」。前田は4-2-3-1の左サイドハーフ、石黒は5-3-2の右ウイングバックに入り、ところどころでマッチアップ。また後半途中には石黒が選手交代に伴い、左サイドに移されたが、直後に前田も右サイドハーフに転換され、試合を通じて対峙することとなった。

「試合前にアイツが右サイドと言っていて、自分も左サイドなのでマッチアップできるなと。一回アイツが左サイドに行っていたけど、自分も右サイドになって結局マッチアップして……」。この日は石黒も推進力を活かした攻守の上下動で持ち味を発揮しており、見どころあふれるデュエルが繰り広げられた。

 流経大はこの日、チーム全体が札幌大の堅守に苦しんだが、セットプレー絡みで2点を奪取。前田は積極的なシュートへの姿勢をアピールし、攻撃に絡んでいた。「空回りではないけど課題が出た。ベンチに帰ってからも“力が入りすぎ”と言われた」と気合が入りすぎ、精度を欠く場面もあったが、この対決へのモチベーションは十分に表現していた。

 北海道からはるばる名門大学の門を叩き、昨季まではセカンドチームでも試合に絡めない時期が続いていたが、努力の末に今季からレギュラーに定着した前田。「北海道から関東に出てきた意味を勝って証明しないといけなかったし、個人としては課題が残ったけど、チームとしては勝てたことで関東に出てきた意味があったなと思った」。そんな特別な一戦に「最後の大会で石黒と試合ができてよかった」と感慨を述べつつ、「応援してくれている仲間を日本一にしたい」と今大会の活躍を誓った。

(取材・文 竹内達也)
●第72回全日本大学選手権(インカレ)特集
竹内達也
Text by 竹内達也

TOP