beacon

「喜びが爆発した」、永井が3大会ぶりのベスト8決定弾

このエントリーをはてなブックマークに追加


[7.29 ロンドン五輪D組 日本1-0モロッコ ニューカッスル]

 快足を飛ばしてボールに追いついた。0-0の後半39分、MF清武弘嗣からの浮き球のパスに反応したFW永井謙佑がスペースに飛び出す。相手GKも前に出てきたが、一歩早く追いついた永井が右足アウトサイドでボールを捉えた。「GKが出てきたのは見えていたけど、先に触れる自信はあった」。GKの頭上を越すループシュートは鮮やかな放物線を描き、ワンバウンドしてゴールマウスに吸い込まれた。

「バウンドして外れるかなと思ったけど」。そう苦笑いした永井は「やっと入りました。やっとです」と安堵のため息をついた。26日のスペイン戦(1-0)も圧倒的な運動量とスピードを発揮し、大金星の立役者となったが、決定機を逃すシュートミスもあり、無得点。「前回、チャンスが2、3回あって決められなかった。今日こそ決めてやるという強い気持ちで入った」。五輪初ゴールが日本を3大会ぶりの準々決勝に導く決勝点。「こういう大きな大会で決められてうれしい。1点は1点だけど、そういうゴールを決められてプラスになる」と胸を張った。

 この日もスペイン戦に続いて1トップで先発したが、前半20分過ぎにはFW大津祐樹とポジションを入れ替え、左サイドに移った。「相手のラインが深かったので、サイドから崩していったほうがチャンスになると思った。監督も『自分たちで変わっていい』と言っていたので」。監督の指示ではなく、ピッチ上の選手の判断。日本を研究し、ラインを深く引いてロングボール主体で攻めてくるモロッコに対し、永井が1トップにいても、その走力を生かし切れない。高さもある大津が最前線に位置することで、ポストプレーをこなしながら攻撃のリズムをつくっていった。

 後半33分に大津がFW齋藤学と交代すると、再び1トップにポジションを変えた。スペイン戦に続く90分フル出場。だれよりも走り回った永井は「きつくないと言ったらウソだけど、みんな口にしないで黙々とやっていた。大舞台を楽しみたいし、悔いを残さないようにハードワークしようと思っている」と言う。その結果が8強決定弾。「引かれる相手に得点できたのは自分自身、自信になる」。得点後は「たまたま正面に家族がいて。はるばる来てくれていたし、喜びが爆発した」と、ゴール裏のフェンスに上り、両手を広げてガッツポーズを見せた。

 準々決勝進出が決まり、次はベスト4、そしてメダルを目指した戦いだ。「メダル? 1位通過すれば可能性は増えると思うけど、気は抜けない。しっかり1位通過して、上に行く可能性を増やしたい」。世界に衝撃を与えたスピードスターは、一気にメダルまで駆け上がる。

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
ロンドン五輪特集ページ
故障を押して先発の大津、「間違いなくメダルを取れる実力がある」
参加16チームで唯一の連続完封勝利、関塚監督「守備陣を称えたい」
酒井宏の穴を埋めた酒井高、「自分の攻撃力を出せた」
「謙佑しか見てなかった」、永井の俊足生かした清武の絶妙アシスト
アテネの悔しさも晴らす8強、OAの徳永「安心感の方が大きい」
関塚監督会見要旨
試合後の選手コメント

TOP