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[フットサルW杯2012]無念の離脱となったFP高橋「勝ってほしいと心から思える集団」

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 再び悲劇が襲った。歴史的なドローを演じた4日のポルトガル戦(5-5)で右目を負傷していたFP高橋健介(バルドラール浦安)は、6日に検査を受け、右眼窩底骨折と診断された。この結果、大会中の復帰は不可能となった。

 4年前のブラジルW杯でも、高橋は悲劇に見舞われている。代表メンバーの14人に名を連ねていたが、開幕前々日の練習で右ヒザを負傷。大会直前に登録メンバーから抹消され、初戦のブラジル戦を見て、帰国の途についていた。今回も相手の腕が当たった瞬間、軽いケガではないという予感はあったという。「やった瞬間とか、検査結果を聞いたときに『何でおれなんだろう』って思いました」と、唇を噛むが、「その分フットサルを通して良い想いをさせてもらっているので、切り替えてやりたいと思います」と前を向いた。

 今大会、最後までチームに帯同する決意を固めた。リビア戦に勝利し、決勝トーナメント進出が決まった翌日の夕食時には、チームメイトの前で挨拶をしたという。「良いニュースの後の話だったので『雰囲気を悪くしてごめんね。最後まで頑張ろうぜ』っていう話をしました」と明かす。その後、何人かの選手には個別に「おまえのために頑張るから」と言われたという高橋は「熱い言葉を掛けてもらっているし、純粋に勝ってほしいなと思います」と、ピッチ内のことは、チームメイトに託した。

 プレーすることはできない。それでも、14人のうちの一人として、高橋は出来る限りのことはしたいという。

「ピッチ上のことで気付いたこととか、試合中に声をかけてあげたいし、良いモチベーションで入っていけるようにしたい。選手だからこそ分かる部分があると思うので、気持ち良く試合に入っていけるように声掛けをしたいと思います。少しでもできることを探していきたい。選手が試合に出られないのに『勝ってほしい』と思えることは、あまりないと思う。でも、そういう集団なんです。雰囲気も良いし、勝てるチームになっているんじゃないかなと思います」。

 この日の練習後のミックスゾーンでは、多くの選手たちが「健介のためにも」という言葉を口にした。「ここで決められなかったゴールを、W杯で決めたい」。旭川で行われたウクライナ戦(3-1)後、そう語っていた高橋とともに、フットサル日本代表は一丸となってベスト8進出を目指す。

(取材・文 河合拓)

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