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[フットサルW杯2012]FP木暮「忘れられない誕生日にしたい」

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 3大会目のW杯出場にして、初めて決勝トーナメントでプレーできる。FP木暮賢一郎(名古屋オーシャンズ)の表情は喜びに満ちていた。リビア戦に4-2で勝利した後もミゲル・ロドリゴ監督に「ピッチ内でもっとできるはずだ」と期待の言葉をかけられた木暮は、10月27日に旭川で行われた壮行試合で対戦したウクライナ代表との再戦に、意欲を燃やしていた。

「勘違いしてはいけないのは、あくまでスペインとの比較で良いだけで、冷静に見れば、過去のランクやW杯の成績を見れば、彼らの方が僕らより上のチームであることは間違いない。ただ、僕らの今の状態、やってきたものの成果としては勝つことが可能なチームと言うのは間違いない。なんとしても勝って『ベスト8』という響きは違うものがあると思う」

 日本が初めて出場権を勝ち取った04年大会では、エースとして最前線でプレーし、チーム最多の3得点を記録。続く08年大会でも負傷したFP小野大輔(現・湘南ベルマーレ)に代わりピヴォでプレーすることが増え、ソロモン諸島戦(7-2)ではゴールを決めている。3大会連続のゴールに期待がかかるが、攻撃を組み立てる存在となった今は「結果的についてくれば。あまりそこは気にしない」という。

 むしろモチベーションを掻き立てるのは、決戦の行われる日付けだ。11月11日、背番号11のFP三浦知良(横浜FC)にちなみ『カズの日』と思われそうだが、この日は木暮の誕生日。サッカーのフル代表と異なり、国際試合が組まれることの少ないこともあって、10年以上もフットサル日本代表でプレーし続ける木暮だが、誕生日の代表戦は初めてという。

「それはありがたいですよね。運が良いなとは思います。これだけ長くやらせてもらっても、そういう経験はなかったので。勝つことができれば幸せだなと思いますけど。そういう素晴らしい日になれば、自分にとっても嬉しいし、フットサル界にもそういう日が増えればいい。そういう日をつくっていくことが、フットサル界の未来につながっていくと思う」

 79年生まれの木暮は、その誕生日で33歳になる。ともにキャプテンを務める同い年のFP小宮山友祐(バルドラール浦安)ともリビア戦を前に「今回が年齢的にも最後のW杯になるかもしれない。この試合を最後にしないようにしよう」と話していたという。

「1回1回の練習に対しても、そういう想いは年々強くなっていますし『次がある』なんて言ってはいられない。そういう気持ちで戦っていますし、W杯で勝つのは最高の気分なので、1試合でも多く勝ち、1試合でも長くプレーしたい」

 初めてアジア選手権で最優秀選手に輝くなど、日本フットサル界のパイオニア的存在だった木暮は、自身の誕生日に、もう一つ大きな歴史を刻んでくれるはずだ。

(取材・文 河合拓)

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