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周囲の“気負い”を懸念する内田 「別にここで決まらなくても…」

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 日本代表は24日、1週間に及ぶドーハ合宿を打ち上げた。前日23日は宿舎で別メニュー調整だったDF酒井高徳(シュツットガルト)も合流。チームは練習後、26日のW杯アジア最終予選・ヨルダン戦(アンマン)に向けてチャーター便でヨルダンへ出発した。

 いつもどおり淡々と試合に臨む。勝てば5大会連続のW杯出場が決まるヨルダン戦。選手たちが異口同音に「ここでW杯出場を決めたい」と強い決意を口にする中、DF内田篤人(シャルケ)だけが飄々と言った。

「ここで決められればいいけど、別にここで決まらなかったからと言って、終わるわけじゃない。みんな『決めよう、決めよう』と言うけど、もしもここで決まらなかったら反動が大きそう」

 日本はここまで4勝1分の勝ち点13でB組首位を独走している。2位以下との勝ち点差は「8」。数字だけを見れば、たとえヨルダン戦に負けたとしても、圧倒的に優位な状況は変わらない。変に気負い過ぎではないか、というのが内田の見解だ。

「普通に90分やればいいと思う。個人的には、この大会だからとか、大事な試合だからとか、そういうのはない」。どんな試合でも、やるのは同じサッカー。その姿勢はW杯出場が懸かった最終予選の大一番であっても変わらない。

 4年前、南アフリカW杯出場を決めた09年6月6日のウズベキスタン戦は、試合当日の急な発熱で欠場した。スタジアムに行くこともできず、宿舎で静養。ピッチでチームメイトと一緒にW杯出場決定の瞬間を迎えることができなかった。

「あのときは熱が出て、しょうがないというか。悔しいというよりも、残念だなと」。過去を悔やむこともなければ、今度こそピッチで歓喜の瞬間を…と息巻くこともない。自然体のまま、普段どおりに1試合をこなすだけだ。

 そんな内田に「これまでのサッカー人生で最も興奮した試合は?」と聞くと、「なんだろう……」としばらく考えた末に出た答えは、11年3月9日の欧州CL決勝トーナメント1回戦第2戦・バレンシア戦だった。

「ホームで3-1で勝った試合だったんだけど、スタジアムの雰囲気と試合がかみ合って、試合中に『あー、これをしに来たんだな』って思った」。シャルケ移籍1年目、欧州最高峰の大会で味わった歓喜と興奮にまさる瞬間は、今後いつ訪れるのか。それはドイツかもしれないし、欧州の舞台かもしれないし、日本代表としてW杯出場権を勝ち取った先にある、1年後のブラジルのピッチかもしれない。

(取材・文 西山紘平)

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