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A代表の空気感をパリ五輪世代へ…鈴木唯人はドバイカップ決勝で「絶対に点を取りたい」

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FW鈴木唯人(清水)

 2年後のパリ五輪を目指して今年から活動を開始したU-21日本代表。その最初の国際試合となるドバイカップU-23での戦いが続いている。日本時間29日深夜25時からはサウジアラビアとの決勝が開催される。

 その決勝に向けて「絶対に点を取りたい」と意気込むのが、今年1月にはA代表候補にも選出され、この代表でも主軸の一人と期待されるFW鈴木唯人(清水エスパルス)だ。

 一昨年、高校サッカーの名門・市立船橋高から清水へ加入し、1年目から30試合に出場。2年目の昨季はレギュラーポジションを確保し、今季は開幕から主力として奮戦して早くも2得点を挙げている。「結果にこだわる」と公言してきただけに、今大会0得点は不本意な結果だ。

 第1戦はトップ下で先発、第2戦は交代出場でピッチに立ったが、ゴールは奪えず、「最後に1点取って終わりたかった」と悔しさをにじませた。リードを奪った試合展開の中でどうしてもボールを保持して逃げ切る流れとなっていたため、「『時間稼ぎじゃなくて点を取らせてくれ!』と思ってしまった」と笑いつつ、フォア・ザ・チームに徹して守備から入って試合を終わらせることにも貢献した。

 本人は長距離移動を経て臨んだ第1戦については「みんな動けてなかったし、自分も正直全然動けなかった」と振り返りつつ、「徐々に上がってきたので、3試合目(となる決勝は)もっと動けると思うので、しっかり結果を残したい」と意気込む。

 また長距離移動を経て、ろくに練習もできないままに試合をこなすことを「当たり前にやっている」A代表選手について「やっぱり率直に凄いなと思ったし、そういう環境でパフォーマンスを出せないと結局は評価されない」ことも痛感している。

 今年1月のA代表候補合宿で感じたのも、言い訳や妥協のない空気感の凄さ。U-21日本代表も「何も言わなくてもある程度やるときはやるという空気がある」としつつ、「A代表はそこが本当にしっかりしていて、やるときになるとガッとスイッチ入ってくる。そういったところは自分たちの年代も作っていかないといけないと思っている」と言う。

「(A代表合宿に参加した)僕も太郎(荒木遼太郎)も口で言うタイプじゃないですけど、意識高くやっていかないとA代表はないと思ってやっている」

 実際の練習でもウォーミングアップの和気あいあいとした雰囲気から、本格的なトレーニング開始と同時にスイッチを入れて猛然とボールに迫るプレーを見せるなど、「口で言うタイプではない」と言いつつ、背中で物語ってチームの雰囲気を作ってきた。

「前に海外に来たときと違って、『うわっ海外だ!』という感じはなくなって、自然に過ごせている。もちろんJリーグとの違いは感じるんですけど、そこを変に意識する感じじゃなくなった」

 そう語ったように、自然体ながら充実した雰囲気の中で清水の若武者は決勝に向けて牙を研ぐ。

「自分の力を示すには良い舞台だと思っている」

 大岩監督が託した「背番号9」に込めたメッセージは明らか。「良い経験はできているけれど、やっぱり結果を残したい」。パリ五輪代表における最初の海外遠征における最後の1試合、鈴木唯人はまずゴールを狙う。

(取材・文 川端暁彦)
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