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4-3-3でも輝いたMF鎌田大地「インサイドハーフがあそこに入っていかないとダメ」最終予選外した指揮官も絶賛の働き

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MF鎌田大地(フランクフルト)が追加点

[6.2 キリンチャレンジ杯 日本4-1パラグアイ 札幌ド]

 日本代表の4-3-3採用から序列を大きく下げていたMF鎌田大地(フランクフルト)が、8か月越しの復帰戦で存在感をアピールした。1-0で迎えた前半42分、自身のサイドチェンジを起点にゴール前へと飛び込むと、ヘディングシュートでA代表では1年ぶりとなる得点を記録。GKが弾く形となったため「自分のゴールになって良かった」と苦笑いも見せたが、「最初にゴールできて気持ち的にもすごく楽になった」とホッとした内心をのぞかせた。

 鎌田は前半42分、DF山根視来(川崎F)にふわりとサイドチェンジを通すと、MF堂安律(PSV)からのクロスに飛び込んだ。ヘディングシュートは頭をかすめる形となったが、これにより相手GKのファンブルを誘発。そのボールがゴールマウスに吸い込まれ、鎌田にとっては昨年5月28日のアジア2次予選ミャンマー戦(○10-0)以来となるA代表でのゴールとなった。

 ペナルティエリア内への侵入は、鎌田が描いていたインサイドハーフ像を具現化した形だった。「律はカットインできるし、インサイドハーフだけどそうすることで前に人数をかけられるので、インサイドハーフがあそこに入っていかないとダメ。4-3-3のチームと試合をしていて、強いチームはインサイドハーフがあそこに入っていて得点を取っているイメージがあるので、自分も入っていった」。鎌田は前半6分にもDF伊藤洋輝(シュツットガルト)のクロスから左ポスト直撃のダイレクトシュートを放ち、後半37分にはスルスルと相手をかわすドリブル突破からFW前田大然(セルティック)の決定機を導くなど、頭の中のイメージは随所に表れていた。

 そうした働きには森保一監督からも称賛が送られた。「『飛び込むプレーからめずらしくヘディングで決めた』ということをコメントしていたが、フランクフルトでも中盤で起点になってから飛び込んでいくプレーを見せている。チャンスメークだけでなく、自分が決めるところも彼自身のレベルを上げていると思うし、高い志を持ってプレーしていることを示してくれた」。鎌田を代表から外した後も、欧州視察でつぶさにスカウティングを重ねていた指揮官にとっても、求めていたとおりのプレーだったようだ。

 また森保監督は「ドイツの厳しい戦いの中、シーズンを通して戦い、普段どおりやれば代表でも良いプレーができる。ヨーロッパリーグで優勝しているし、普段やってることに自信を持って、今日の戦いにも自然体で臨み、攻撃を牽引するプレーを見せてくれた」と90分間を通してのパフォーマンスにも高評価。「ハードワーク等々、チームへの献身的な守備の部分、切り替えの部分も意識して、まずは攻撃で自分の良さを出しながら、チームの戦いの中で切り替えの部分や守備の部分でも貢献してくれて、彼のできることをしっかりプレーで表してくれた」と手放しで称えた。

 もっとも、鎌田自身はいたって冷静だった。カタールW杯アジア最終予選突破に貢献したMF田中碧、MF守田英正との比較について「僕らが出ている以上、攻撃力が上がらなかったら意味がない。お互い長所があるので当然のこと」と冷静に述べると、「今日は普通のことをした」と淡々と返答。また2019年の欧州遠征で存在感を見せたトップ下ではなく、初のインサイドハーフ起用で存在感を見せたことについても「フランクフルトでインサイドハーフで何試合も出ている。前からインサイドハーフができると言っていたので」と落ち着いて振り返った。

 さらには6日に国立競技場で行われるブラジル戦に向けても「ブラジルレベルになるとボールを握れる展開じゃない」ときっぱり。「ブンデスリーガで上位チームとやっているけど、いつも取ってからショートカウンターになると思うし、守備的になるぶん、攻撃と守備の割合は考えてプレーしないとダメ。普段からビッグクラブとやることがあるので、その比重は自分で調整できるし、上のチームとやるときはこんなにボールを握れないでショートカウンターになる」という展望を述べ、この日とは異なる新たなスタイルで臨む構えを見せた。

(取材・文 竹内達也)
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