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日本vsチュニジア 試合後の森保一監督会見要旨

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日本代表の森保一監督

[6.14 キリン杯決勝 日本0-3チュニジア パナスタ]

 日本代表は14日、キリン杯決勝でチュニジア代表と対戦し、0-3で完敗した。

以下、試合後の森保一監督会見要旨

森保一監督
「ホームでもあり、チュニジアに勝って優勝してこのシリーズを締めくくろうと話していたが、優勝してサポーターの方に喜んでもらうことができず、残念な結果になってしまった。ただ、選手はよくやってくれた。結果だけを見れば0-3の敗戦ということで、課題として捉えていかないといけないが、毎試合、大幅に選手を入れ替えながら戦うのは簡単ではない。難しい状況を選手に要求してプレーしてもらった中、選手の責任でこの結果になったわけではない。難しい設定の中、選手が我慢強く戦ってくれたことを評価したいし、我慢強く戦って自分たちのペースに戻し、最初の決定機は我々のほうにあった。そこで決め切れず、決定力で向こうに流れを持っていかれたという意味では、今後、決定力を付けていけるようにしないといけない」

―4-1-4-1の攻撃の課題はどこにあるか。
「アタッキングサードでどう攻撃の形を作ってシュートまで持っていくかは、さらに上げていかないといけない。ビルドアップの部分ももっともっとミスを少なくして、相手を動かせるような動かし方をしてチャンスを作れるようにしないといけない。序盤は自分たちでボールを動かしながら、そこでロストして相手の狙いであるカウンターを受け、流れが難しくなったところがあった。ビルドアップを含めてシュートまで持っていくところのクオリティーを上げていかないといけない。良い時間帯は相手も同じ形でやってきて、我々が相手を上回れたところもあった。ミスマッチになったときに自分たちが上回っていけるようにならないといけない。受け身になったときは4-2-3-1に変えたりという部分は、状況の中で私の方から指示をしたり、自然と選手が対応できるように試合前から準備していかないといけない」

―インサイドハーフの人選について。後半開始で原口を代えたのは田中と鎌田の組み合わせを見たかったからか。
「いろいろな組み合わせを見たかったし、試したかった。4-1-4-1のインサイドハーフで(鎌田)大地と(田中)碧が組んでプレーするところを後半途中まで見たいということで、ハーフタイムに選手交代をした」

―吉田の背後を突かれる形が目立った。
「良い形で攻撃する時間を長くすることで背後を突かれることも少なくなる。ボールを握って、良い形で攻めること、相手に守備から攻撃に移るところで良い形をつくらせないこと。攻撃の部分のクオリティーを上げないといけない。相手はデザインされた形でサイドを起点に背後を突いてきた。相手の分析等々、試合前からしっかりとチームとして対策していきたい」

―W杯前に今日のようなミスが出てよかったと思うか。
「W杯ではさらに強い相手と戦う。チュニジアも良いチームで、我々のウィークポイント、我々のミスを逃さず、決定機に持っていく力があった。ホームということもあり、我々日本代表として敗戦はあってはならないし、敗戦を良しとはできないが、W杯本大会でこのような状況になったときにしっかり対処できるように課題として取り組んでいき、本大会ではしっかり防げるようにしたい。1点目も(吉田)麻也が背後を突かれて(板倉)滉がサポートに行っていたが、背後を突かれることはあるので、そこのカバーやDFラインとGKの連携という部分でトレーニングなどで改善していけるようにしたい。麻也はファウルをしないようにいったと思うが、下がスリッピーなところもあった。できるだけペナルティーエリアに相手を入らせないように、ボールの出どころや切り替えのところもそうだし、無駄なロストをしないようにしていきたい。GKに関しても選手を入れ替えながら毎試合やってきて、限られた選手でしか積み上げができず、連携のミスが出たというのは私自身、反省しないといけないところかもしれない。チームとして全体的に出場の時間を取れて、いろいろな組み合わせを試せた。敗戦は受け入れてはいけないが、選手個々とチーム全体の底上げになる戦いはできたと思う」

―権田ではなくシュミットを起用した理由は。
「ダン(シュミット)とDFラインの連携、ダン自身のコンディションを見るにはチュニジアは良いチームであり、W杯を見据えたときにどういうプレーができるかを見たいと思っていた。出場時間としては最終予選から権田が一番試合に出てきて、中心選手として活躍してくれていたが、チーム全体としてGK全体も底上げできるように起用した」

―試合後の円陣では何を話していたのか。
「結果、敗戦ということで、ホームだったし、勝って成長するというところを目指した中、悔しい敗戦になった。今後の結果につなげられるよう、W杯本大会で結果を出せるようにこの結果をバネにしていこうと話した。結果は残念だったが、今回の代表ウィークの中で選手みんなが日々努力してくれたことに関しては、間違いなく最大限の努力をしてくれたと伝えたし、私自身、何の疑念もなく日々努力してくれたことを評価していると伝えた。欧州組は長いシーズンを終えて、そのまま代表ウィークに入ってきた。長いシーズンが今日で一区切りだと思うので、長いシーズンお疲れさまということで、心身ともに少し休んでもらって新しいシーズンに向けて頑張ってほしいと。国内組については、大変だと思うが、またすぐ切り替えて自チームで活躍してほしいと。選手全員には自チームで存在感を発揮することが自分のため、所属チームのため、そしてそれが代表チームの強化にもつながるので、自分のチームで存在感を発揮して頑張ってほしいと伝えた」

―吉田にミスがあり、遠藤もビルドアップで狙われていた。4連戦の疲れもあったか。
「2人には4試合とも出場してもらって、出場時間はコントロールしたところもあるが、長いシーズンを欧州で戦ってきたあとの代表ウィーク4試合ということで、心身ともに疲労がかなり来ていたのかなと思う。W杯本大会を見据えても、彼らのパフォーマンスが落ちることも考えられる。そのために、すべての時間で彼らにプレーしてもらうのではなく、試合ごとに選手を代えながら連係連動を高めたり、代わりに入ってくる選手にも経験を積んでもらったりした。チームとして中心選手を欠いてもチーム力を落とさないという意味では、今回いろいろな経験ができた。

 攻撃の組み立てでは、お互いのシステムのかみ合わせもあったが、DFラインからビルドアップして(遠藤)航のところを使いながら展開することで我々のチームとして良い流れができる。航のところをつぶしにきていたのは分かっていたし、今後も相手がそういう狙いを持って、我々がやろうとすることをつぶしに来るという意味では、今後の良いシミュレーションになった。航のところを止められたとき、相手がディフェンスの圧力を強めてきたとき、他にスペースがあるという部分は昨日の練習でも確認したし、準備してきたが、我々の強みを消されたときに、違うオプションを出すというところをやらないといけない。そこは今日課題が出た」

―1失点目は伊藤のチャレンジがミスとなってPKにつながった。
「アグレッシブにチャレンジする姿勢なしで消極的に守っているだけであれば分からないし、選手がチャレンジしてくれたことにはよくチャレンジしたと言いたい。そこから修正できるという意味では、W杯に向けてチームの成長にもつながる。チャレンジしたからこそ、次の正しい修正ができる。これまでの試合でもビルドアップのミスから失点していたし、選手には今日の試合の前にもそのことは話した。ビルドアップで相手にカットされるミスが起きたところを修正して、しっかりかいくぐれるようにクオリティーを上げる部分を最大限トライしていこうと。クリアで切らないといけない局面もあると思うが、マイボールにすることを放棄してクリアで終わればもっと相手の攻撃を受けることになり、疲弊して結局、失点につながる。世界で勝っていくには絶対にやらないといけないし、ディフェンシブサードからのビルドアップのチャレンジだと選手には伝えた。ビルドアップからの失点に関しても、ボールをロストしたあとに切り替えて相手の攻撃をうまく制限できれば、失点につながることもなかった。そういう意味でもマイボールを大事にし、しっかりチャレンジする。チャレンジするということはミスも起きる。起きたときに2つ目、3つ目のミスを犯さないようにやっていこうと。選手たちの勇気を持ってのチャレンジは監督として評価してあげたい。

 (伊藤)洋輝に関してはガーナ戦でも同じような状況があった。この経験を持って、彼には修正してもらいたいと思う。所属チームで3バックの左センターバックをやっているということで、少しサイドへのアプローチが遅れるところはトレーニングの中でもあったし、実際にゲームでも起きている。この試合でもそういう状況が出たが、昨日の練習でも洋輝には所属チームでやっているポジションと代表でやるポジショニングは変わってくるかもしれないので、使い分けながらプレーしてほしいと話した。入れ替わられたり、遅れながら行って外されたりという状況になっていたと思うが、DFラインにとどまっているだけで何もチャレンジしないよりは、ここだというところでチャレンジしてくれたことを認めてあげたい。次に同じようなミスが起きないように、彼には個人的にアプローチしていきたい」

―攻撃の連係面の評価は。
「選手を代えながら戦っている中で、序盤の20分過ぎまでは選手がお互いの意識をすり合わせながら戦っているところがあった。DFラインから(遠藤)航のところまでは間を重ねているので連係は取れているが、インサイドハーフは(鎌田)大地と(原口)元気の組み合わせということでビルドアップの部分で合わないところもあった。私が送り出した組み合わせという部分で、選手たちにプレーしてもらう環境が難しかったのかなと思う。しかし、20分、25分過ぎからは相手の狙いを選手が感じながら、パスでタメをつくってサイドを突いていくところが出ていた。選手が難しい設定の中、攻撃の糸口を探しながら我慢強くプレーしてくれた。元気に関しても、パラグアイ戦で(山根)視来、(堂安)律との3人が1試合で構築したものをそのまま使ってあげればスムーズにいったかもしれないが、(長友)佑都、(伊東)純也、元気という違う組み合わせで、練習から試行錯誤しながらやってくれているところがあったのは難しい設定だったと思う」

(取材・文 西山紘平)

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