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日本vsエクアドル 試合前日の森保一監督会見要旨

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 日本代表は27日、キリンチャレンジカップでエクアドル代表と対戦する。森保一監督は27日、試合会場のデュッセルドルフ・アレーナで前日オンライン会見を行った。

 以下、試合前日の森保一監督会見要旨

森保一監督
「エクアドル戦はW杯に向けて重要な一戦になる。目の前の試合に勝利を目指しつつ、W杯に向けて戦い方をより整理できるように、今日の練習もいい準備をして明日に臨みたい。アメリカ戦もたくさんのサポーターの皆さんに来ていただいて、選手たちが思い切ってプレーできた。欧州に在住している日本人の皆さんが多数デュッセルドルフに駆けつけ、応援してくださっていることに感謝申し上げたい。選手も国を離れ、海外で生活している方への励ましのメッセージになるような熱い戦いを見せてくれている。エクアドル戦もメッセージとなるような戦いをできればと思う。日本でも多くの方々が応援してくれて、たくさん期待してくださっている。少しでも内容を濃くして戦えるように頑張っていきたい」

——メンバー発表前最後の試合になるが、起用法はどうなるか。
「W杯に向けて選考の場であることももちろんあると思うが、これまでのチーム作りの中で、ロシアW杯を踏まえて、そこから新しいチームを立ち上げ、ずっとより多くの選手をできる限り見ながら、チーム作りをしてきて、選手もその中で日本代表としてプレーできることについては毎試合毎試合、生き残りをかけて戦ってきていくれている。日々の所属チームでも安泰のポジションはない中、常にポジション争いをして自分のポジションを築いていく、価値を上げることをしてきてくれている。特別、明日は選考の場であると私自身は思っていない。調子の良し悪しは見ていきたいとは思うが、プレー機会が得られる選手たちには思い切って自分のプレーを100%出すということと、チームのためにチームの一員として、チームが100%力を出せるように考えてプレーしてほしいと思う。明日の試合について、できれば招集した全員を起用したい思いは持っているが、残念ながら全選手を使ってあげられないと思っている。そこに関しても選手たちが、この活動中も日々ベストを尽くし、練習からオフザピッチのホテルでもチームのことを考え、サッカーのことを考え、言動してくれている。そこは選ぶ側として、起用する部分では心苦しいところはあるが、選手たちの普段の頑張りは受け止めて認めながら選手起用していきたい。起用についてはアメリカ戦とは先発全員を入れ替えて試合に臨みたい」

——日本がやりたいことをやれない時、うまくいかない試合がこれまで課題もあった。監督としてそういう状況になったとき、プランの変更、選手交代のイメージ、修正など、どういうことができるようになってきた?
「どう変わってきたかは皆さんに評価していただきたい。試合でうまくいかないことに関しては常に改善を考えていますし、手をどう使うかの手段は継続してやることが、この試合をものにできるという判断もあるし、選手を変えることもあるし、システムを変えることもある。それはこれまでもやってきている。何か特段うまくいっていないときに手を打っていないことはない。ただ結果論として、負けた時には悔しさであったり、ストレスから何もできなかったことは出てくるかもしれないが、チームに働きかけることについて……。逆にどのようなことができてなかったですか?」

——例えば先制された試合の中で交代選手がどれだけ点を取ったかなど。
「常に選手が流れをひっくり返し、流れを引き戻すと思って送り出している。結果論でどうこうは言えないと思う。ただ選手も力はつけてきているし、レベルアップしているので、これまでうまくいかなかったかもしれないが、これからは変わるかもしれないと言える」

——アメリカ戦の戦い方を踏襲するのか、本番を見据えて試すのか。
「明日の試合に関しては形は同じシステムで、アメリカ戦と同じシステムで戦いたい。出場選手、対戦相手も違うので、相手とのかみ合わせのなかでポジショニングが変わったり、選手の個性で、ベーシックポジションはあるにせよ、選手の特長やポジショニングが多少変わることはあると思う」

9月シリーズは選手がチームの戦術を学んでいる中で非常に難しいタイミングだという話がよく出てくる。そのなかであれだけやりたいことができたことについてはどう捉えているか。またカタールW杯を見据えて練習の内容、ミーティング内容はどう変わったか。
「ミーティングについてはわれわれがやるべき、あるいは理想とする攻撃、守備、セットプレーのコンセプトは毎回作っているが、また試合に向けては対戦相手の分析をして、そこで対策として我々がどうするかはこれまでも大筋としては変わらずやってきた。チームの立ち上げから変わってきたところは、まず自チームのことをより固めていくために、戦術浸透させていくために、ボリュームを多くした。そして対戦相手でも自分たちが何をするかというところはいまも変わらないが、より噛み合わせの中で相手のウイークを突く、やりたいことを止めるということを今はより多く伝えるようになったかなと思います。その内容は選手の受け取り方だが、より具体的に、細かくいろんなシーンを切り取って伝えることは多く、深くなっているということではあると思います。ただ、同じことをしてもタイミングがある。ただ選手がより受け止められる、吸収しやすいタイミングでその情報を出せるかどうかは、吸収できていない時もあるし、いろいろとタイミングは見ながらというところと、学ばせてもらっているところはある。チーム作りでも二次予選と最終予選、最終予選と世界で勝っていくことを考えていく中で、ギアはそれぞれ変わってきていて、私自身はそこを学びながら、選手の状況を見ながら、変化している部分はあるかなと思います。毎回変わっているというか、就任時からこれまで、チームの経験とともに、いろんなことを学ばせてもらいながら、自分も変わってきているのかなと。監督としてコーチングスタッフ全体でチームに働きかける内容と質も変わってきているかなと思います」

エクアドル戦では先発を総替えするとのことだが、6月シリーズではメンバーを変えてストレスを与える形となったと話していた。明日もその懸念があるが、それでも送り出すというのは、今の状態だったらそれなりのものが出せる自信があるか。
「選手がやってくれるという期待は持っている。ただしうまくいかないことも、対戦相手があっての試合なので、そこも想定に入れたくないが、起こり得ると思っている。なぜそうやるかについては、W杯でグループリーグ3戦を考えると、ドイツとスペインはW杯でも優勝している世界トップトップのチームで、コスタリカもベスト8に入っている世界の強豪。初戦ドイツと戦ったとき、選手たちは普段も厳しい環境でインテンシティ高い試合をしているが、W杯初戦のプレッシャーであったり、相手の力を踏まえたときに、普段よりもおそらく想像以上の大きなエネルギーを使うことになる。具体的に心身ともに中3日で回復できないような試合をしなければ、勝ち点3を取るのは厳しい。そうなった時、一部の選手で積み上げてチーム力を上げるだけではなく、わかりやすく言うと2チームくらいの戦力があるという中で、疲弊している選手を入れ替える。6月シリーズのようにチームを入れ替えながら戦えるくらいに準備しないと、われわれの目標とするところ、ベスト16以下の壁を破ってベスト8以上に行くことは難しいかなと考え、これまでトライしてきた。6月は具体的に変え、さらに人も変えていき、誰と組んでも機能する、チームの勝利のため機能することという言葉で言うのは簡単だが、やる選手たちは難しいことを要求されていると思う。ただ、勝つために必要なトライだと思っている。選手たちもストレスになると重々わかった上で、そこを乗り越えてさらに結果を出せるようにしないといけない。過去6大会出場した中で行けていないところに行こうとしているわけで、最終的にどういう決断をするかはわからないが、同じようなことをやっていては結果は出ない。より結果を出すためには難しいことを乗り越えて、結果を出すことを準備しなければならないと覚悟を持って準備している。日本はたくさんいい選手がいるので、就任当初からより多くの選手を代表に招集させてもらいながら、日本代表全体の選手層を厚くする、最後のカタール本大会でより強く、より高い頂点でチーム作りをするとやってきたことなので、最後までやってきたことを貫いていきたい。それが日本代表の勝利と日本サッカーの発展につながる。これまでの考え方の原理・原則でそこから判断したことをエクアドル戦でも続けていきたい」

W杯で戦う監督のフィロソフィーと、ドイツが日本サッカーに貢献している部分は。
「チーム全体としてはいい守備からいい攻撃というところはチーム作りの中でコンセプトとしてやってきた。そしてハイインテンシティ、ハイスピードの中で技術を発揮するということを目指してやっている。選手個々に要求するところにおいては、世界のスタンダードの中で強さを身に着けるというところから、日本人の特徴もある俊敏性、技術の発揮、メンタル的には戦い続ける勤勉性を持ってやっていく、世界で通用する強い個がメンタル的にもチーム一丸となって、和をもって戦えるように、お互いがやることを思いやって、察してつながっていくことはチーム作りの中で活かしていきたいと思っている。またドイツのサッカーが日本のサッカーの発展にどう貢献しているかという点では非常に大きな貢献だと思っている。前回の東京五輪、メキシコ五輪でクラマーさんが日本のサッカーの発展のためにいろいろ教えてくださり、そして日本代表のチーム作りをしてくださったことで、メキシコ五輪では男子サッカーが世界大会で唯一メダルを手にしたことに貢献してくださり、その後の日本のサッカーの発展に貢献してくださった。また、ドイツの指導者がクラマーさん一人でなく、日本リーグ、Jリーグとたくさんの指導者がまで来てくださり、発展してくださったと思う。選手ではリトバルスキーさんであったり、ブッフバルトさんであったり、創成期から携わって、発展に貢献してくださったと思っている。リトバルスキーさんらJFAの組織作りや世界で勝っていくための戦い方、指導者養成もドイツから多くのことを学ばせてもらっている。大きな貢献をしてくださっている。今度のW杯ではブンデスリーガで1部、2部と合わせてもたくさんの日本の選手がプレーし、世界のスタンダードを身につけられているということは、このドイツの素晴らしい環境のなか、トップトップのグループでよりたくましく成長してくれている大きな要因となっている」

——東京五輪での選手層ではターンオーバーをしきれなかった。今のチームでは2チーム分の選手層がいるという認識か。
「五輪の時もそういう決断をすればできていたかもしれないが、勝つためにというところで戦い方を選択した。チーム作りの考え方は、幅広く、頂点を高くするということ。こういう大会にある時、50人前後の大枠のリストを作って提出することになっている。3チーム、4チームできるくらいの幅を持って、各親善試合、大会に向けて選手リストを作ってチーム作りをしてきた。現実的に言うと、同じポジションに2人か3人くらい、何かがあった時にも入れ替えて、チーム力を落とさずに戦うことができると思っている。最終的にカタールW杯でどう勝っていくかの決断をするかわからないが、あまり変えずに戦う判断をしたときは選手の状態などを見ていて、そういう判断をするかもしれないが、選手の疲弊やアクシデントなどが起きた時、次の選手が出てもチームの機能性を落とすことなく、できるだけの選手層があると思っている」

(取材・文 竹内達也)
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