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初陣欠場の“不甲斐なさ”もぶつけた久保建英「気持ちが先行してしまった」

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日本代表MF久保建英(ソシエダ)

[3.28 キリンチャレンジ杯 日本 1-2 コロンビア ヨドコウ]

 ベンチに入ることさえできなかった4日前のフラストレーションを、すべてぶつけるかのような約35分間だった。24日のウルグアイ戦を検査不良で欠場した日本代表MF久保建英(ソシエダ)は、コロンビア戦に4-2-3-1のトップ下で途中出場。闘志を前面に出したプレーを続け、逆転を狙うチームの攻撃を牽引しようとしていた。

 ところが、その気迫が結果につながることはなかった。後半35分の右足シュートは相手守備陣にブロックされ、同42分の左足ミドルシュートもFW浅野拓磨(ボーフム)に直撃。アディショナルタイムには左サイドに抜け出し、ノールックでクロスボールを送るも、鋭く放たれたボールはゴール前を横切るのみだった。

「途中から入った責任感というか、何とか同点に持っていかなきゃというところで、ちょっとアドリブが多めになってしまった。チームとしてやりたいことができず、がむしゃらなのはいいけど、僕も含めちょっと雑になってしまったりとか、気持ちを前面に押し出したがゆえに最後のところで惜しいで終わってしまった」

 それぞれの選手が気迫を持って良いプレーをしたとしても、連係が合わなければ単発に終わってしまう。「それは試合後に選手何人かとも話した」と久保。「(出場時間が)30分もあった中で、(相手を)押し込むのは押し込むでいいけど、押し込んだ後はセオリー通りというか、しっかり落ち着いたプレーができればもっと決定機が増えたのかなと思う」と悔やんだ。

 そうした気負いは、自身がピッチに立った後にビハインドに追い込まれたことにも起因していたという。「まず途中出場の選手の意図として、後半は流れがすごく悪かったので、それをなんとか間で受けたりして、こっちの流れに持っていこうという意図があった。ただ失点するつもりで監督も僕らを送り出してないし、失点で多少ゲームプランが崩れてしまった。あそこから巻き返せるだろうという監督の信頼に交代選手が応える前に失点しまってしまったのが誤算というか、僕らからしても良くない流れだった。その後は何とか同点に追い付かないとという気持ちが先行してしまったのかなと思う」と心理状態を明かした。

 久保にとっては終わってみれば、直近のリーグ戦と同じような課題が浮かび上がる形となった。ラ・リーガ前節のエルチェ戦、久保は前半から決定的なシュート5本を放ったが、いずれも枠を捉えられず。後半1本目のシュートで決勝点を決め、結果的には試合を勝たせるヒーローとなったが、「フィニッシュに関しては落ち着きが足りない」と反省点を語っていた。

 コロンビア戦でも「個人的なことを言えば、枠にはいっていないけど一番シュートを打っている。アシストになればというパスも2本くらい出している」と攻撃に絡めていることはポジティグに受け止めつつも、「前回の試合と一緒で雑になっている部分。やっぱり1点取らなきゃいけないときにいかに冷静でいられるかというのが大事」と指摘。「本来の落ち着きがあれば全然通せたパスだったし、入ったシュートだったと思うので、1戦目出られなかった不甲斐なさ、チームのためにというのをいったん抑えつつ、もう少し落ち着いたプレーができたらよかったかなと思う」と反省点を述べた。

 とはいえ、ある種の“空回り”とも言えるそうした状況も日本代表へのモチベーションを高く持っているからこそだ。この一戦が終われば再びUEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)争いを繰り広げる所属クラブでの戦いが始まるが、次の活動にあたる6月シリーズへの決意をキッパリと語った。

「選手間でも話したけど次の活動は勝たないといけないなと。ひとまず内容は時間が経てば良くなってくると思うので、次は相手がどこであれ勝ち点3というか、日本のホームでやれるので、ホームでしっかり観客の前で勝つっていうのを意識したい。まずはおのおのがシーズン終わりまで頑張って、また選ばれればということになるけど、今回は個人的にコンディションが良かった中で1試合目(ウルグアイ戦)に出られず、不甲斐ない思いをした。ただもうさすがにないと思うので、次の代表は何もなくフレッシュな自分で、1戦目から2試合とも出るつもりでいい準備をしていければ」

 カタールW杯も不完全燃焼に終わり、並ならぬ決意を持って目指す次の北中米W杯。久保建英の本領発揮はこれからだ。

(取材・文 竹内達也)

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