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Jリーグ・ルヴァン杯での若手抜擢にJFA反町技術委員長も手応え「若い選手に目が向いている」

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反町康治技術委員長(オンライン取材のスクリーンショット)

 日本サッカー協会(JFA)の反町康治技術委員長が6日、技術委員会後のオンライン取材に対応し、高校年代や高校卒業後の「ポストユース」にあたる選手育成について「指導者が、かなり若い選手に目が向いているという印象を受けている」と前向きに語った。

 今年度は5月にU-20ワールドカップ、11月にU-17ワールドカップが行われるほか、日程未定だがパリ五輪予選にあたるAFCU23アジアカップも開催予定・世代別の日本代表にとって大事なシーズンといえる。とくにU-20世代、U-23世代は大半の選手がJリーグに在籍しているため、協会とリーグ側の協力関係での強化が求められている。

 そうした取り組みは2010年代の後半からすでに始まっており、Jリーグでは今季、ルヴァンカップでのU-21選手の出場施策(U-21選手を1人以上先発させる義務)がコロナ禍を経て、3年ぶりに復活。ここまでグループリーグ3試合を消化済みだが、高校生も含めた数多くの若手選手が先発出場のチャンスを与えられている。

 前日5日に行われたグループリーグ第3節でも、出場義務の対象とはならない複数選手を抜擢する例も数多く見られた。中でもジュビロ磐田湘南ベルマーレFC東京の3クラブは21歳以下の4人が先発し、2人が途中出場。清水も3人が先発して3人が途中出場し、6人がJ1レベルのピッチを経験した。高校年代の選手も清水が3人、磐田が2人、浦和レッズ湘南ベルマーレFC東京がそれぞれ1人ずつJリーグデビューしていた。

 こうした傾向について反町技術委員長は「指導者が、かなり若い選手に目が向いているという印象を受けている。出場機会ルールがあることも、連戦だったこともあるのかもしれないが、若い選手に目がいって、出場機会を得て、高いレベルで試合するのを嬉しく思っている」と前向きに語る。

 さらに「ポストユースのところは日本が遅れているんではないかと思いを持って、欧州5大リーグと比べてみたが、J2に関しては若い選手が多く出場しているという数字が出ている」と指摘。「J1はレベルが高いリーグで18チームなので難しいかもしれないが、J2は22チームあって、レンタルに出すことであったり、特別指定選手制度を使うところ、育成型期限付き移籍もうまく利用して、かなり若い選手がJ2の舞台で活躍している」とJ2勢の若手抜擢への意識に目を見張った。

 また反町技術委員長は自身が帯同していた3月のU20アジア杯(U-20W杯予選)で、メンバーの内訳はJ1勢が9人、J2勢が8人、大学勢が5人、海外組が1人だったことを例に挙げ、「佐野航大(岡山)もそうだが、J2で出場機会が増えて実力をつけているのは日本にとって良いこと」と指摘。大会後にはDF田中隼人(柏)を筆頭にJ1で出場機会を重ねている選手も出てきたなか、「J1でも増えて来ればW杯での活躍につながると思う」と展望を示した。

 その一方、パリ五輪世代にあたるU-22世代でJ1リーグでの出場機会が伸びていないという現実もある。3月の欧州遠征に出場した23選手のうち、先発に定着しているのはDF中村拓海(横浜FC)、MF{{川崎颯太(京都)、MF平岡大陽(湘南)、MF三戸舜介(新潟)、FW細谷真大(柏)、FW西川潤(鳥栖)くらい。他の選手もU-20世代に比べればルヴァン杯での出場は多いが、五輪本大会を見据えれば物足りなさが残る。

 反町技術委員長は欧州遠征のベルギー戦(●2-3)を振り返りつつ、「このベルギー、バカ強いじゃんというのが感想で、所属チームを見ると、テレビではたとえばミランで何試合出てるかとなるけど、そういうチームはあまりない。そういう選手が出場機会を積んでいるのがベルギーの強さになっているんじゃないかと感じている。日本の土壌と違うので難しい環境下かもしれないが、チームの中心になっていない選手が多いのは問題だと感じる」と指摘。「じゃあ何ができるかというと、やはり選手たちが自分のポジションを掴み取っていかないといけないとは思うが、これが続くようであれば何かしら考えていかないといけないところまで来ていると思う」と課題感をあらわにしていた。

 それでも欧州遠征ではドイツ、ベルギー相手に接戦を繰り広げ、同世代のDFバングーナガンデ佳史扶(FC東京)、DF半田陸(G大阪)の2選手がA代表に抜擢されるなど前向きな要素もある。反町委員長は「サイドでしっかりやれる選手が増えている。実戦を通して力をつけていくしかない」と2選手の台頭を歓迎しつつ、パリ五輪に向けて「これから非常に重要な大会を控えているという意味で、強い相手とやった課題をチームとしても個人としても消化できるようにしたい」と意気込みを示した。

(取材・文 竹内達也)

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