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U-17日本代表候補、小湊絆ら擁する大学選抜チームと3-3ドロー!! PK戦は緊迫サドンデスに突入、“フィールド全員成功”で12-11勝利

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FW山本吟侍(高川学園高)が2ゴール

[4.30 練習試合 U-17日本代表候補 3-3 関東大学選抜 JFA夢フィールド]

 高円宮記念JFA夢フィールド(千葉市)で合宿中のU-17日本代表候補が30日、1〜2年生で構成された関東大学選抜と45×3本の練習試合を行い、3-3で引き分けた。2学年上の相手と互角に渡り合った上、PK戦ではサドンデスの激闘を12-11で制し、4日間の合宿が終了。6月に開幕するU-17W杯アジア予選(AFC U17アジア杯)に向け、選考レースが一歩進んだ。

 27日から行われていたトレーニングキャンプの最終日。選手たちは28日には流通経済大柏高との練習試合に1-1で引き分けており、「もっとやれた選手が多かったので、そのぶん今日は絶対にやってやる」(森山佳郎監督)という高いモチベーションで試合に臨んだ。対戦相手の関東大学選抜は1年生主体で、週末の関東大学リーグ戦出場のなかった選手を中心に構成された。

 45×3本の1本目、U-17日本代表候補は4-4-2のシステムを採用した。GKは常連組の雨野颯真(前橋育英高)が務め、最終ラインは右からDF松本遥翔(鹿島ユース)、DF黒木雄也(鳥栖U-18)、DF土屋櫂大(川崎F U-18)、DF小杉啓太(湘南U-18)。ダブルボランチはMF山本丈偉(東京Vユース)とMF宮川大輝(G大阪ユース)が組み、サイドハーフは左にMF望月耕平(横浜FMユース)、右にMF川村楽人(東京Vユース)、2トップにはFW名和田我空(神村学園高)とFW山口太陽(FC東京U-18)が並んだ。

 対する関東大学選抜も4-4-2の布陣を組んだ。GKは⻄星哉(拓殖大)が務め、最終ラインは右からDF櫻井稜(法政大)、DF多久島良紀(明治大)、DF土橋公哉(東洋大)、DF中村琉聖(東洋大)。ダブルボランチはMF清川遥(拓殖大)とMF井野佑優(国士舘大)が構え、サイドハーフは左にMF高足善、右にMF廣井蘭人(筑波大)、2トップはFW前澤拓城(明治大)とFW小湊絆(法政大)が並んだ。

 序盤はU-17日本代表候補が小杉のプレースキックで押し込む形をつくったが、次第にフィジカルで勝る関東大学選抜が優勢に。前澤と小湊の2トップが何度もボールを引き出し、18分には高い位置でのボール奪取から小湊が右サイドを駆け上がり、折り返しを前澤が押し込む形で先制に成功した。劣勢のU-17日本代表候補は20分、右に流れながら名和田がパスを受け、右足を振り抜いたが、これはGK星のセーブに阻まれた。

 なおも勢いを止めない関東大学選抜は23分、小湊が左に流れながらパスを受け、ドリブルで一気に加速すると、後方から追いかけてきた黒木に倒されてPKを獲得。これを小湊が自ら決め、2-0とリードを広げた。だが、U-17日本代表候補も意地を見せる。同26分、小杉の右CKにニアでは合わせられなかったが、ファーサイドに走り込んだ山口が反応。ダイレクトで押し込んで1点を返した。山口は流経大柏戦に続いて2試合連続ゴールとなった。

 しかし、その後も関東大学選抜の優勢は変わらず、強力な2トップを活かした速攻のほか、清川のゲームメイクや井野のプレースキックで攻撃を展開。U-17日本代表候補は前半終了間際に山口が負傷し、MF杉浦駿吾(名古屋U-18)が左サイドハーフに投入されると、望月が2トップの一角に入った。1-2のままタイムアップ。1本目は大学生に違いを見せつけられる形となった。

 もっともこの日はU-17W杯アジア予選に向けて経験を積むため、45分間が終わるたびに勝敗がついていてもPK戦を実施。3人制で行った1回目は名和田、黒木、望月がいずれも決め、GK雨野が1本止めたU-17日本代表候補が3-2で勝利した。

 2本目はU-17日本代表候補が3人を交代。雨野、小杉、望月に代わってGK荒木琉偉(G大阪ユース)、DF吉永夢希(神村学園高)、MF佐藤龍之介(FC東京U-18)が入った。システムを3-5-2に変更し、3バックは右から松本、黒木、土屋。ウイングバックは左に吉永、右に川村。3ボランチに宮川、山本、名和田が入り、2トップに杉浦と佐藤が並んだ。

 対する関東大学選抜は大幅にメンバーを変更した。GKは引き続き西が務めたが、最終ラインは右からDF鈴木新(拓殖大)、DF工藤珠凜(国士舘大)、DF川口航平(東京国際大)、DF伊藤⻯海(東京国際大)。ダブルボランチはMF久永瑠音(桐蔭横浜大)とMF原田天(東海大)で、サイドハーフは左にFW遠山湧斗(中央大)、右にMF齋藤晴(東京国際大)。2トップにFW吉田眞翔(東京国際大)とFW本間凜(国士舘大)が並んだ。

 U-17日本代表候補はシステム変更のかいもあってか、2本目からは大きく盛り返す。存在感を放ったのは神村学園の吉永。左サイドで豪快な上下動を何度も披露し、右の大外から飛び込む川村の決定機につなげていた。ところが14分、U-17日本代表候補は最終ラインのミスから失点。黒木がプレッシャーを受けてボールロストすると、そのまま持ち込んだ本間に決められ、再び2点差がついた。

 U-17日本代表候補は24分、先発していたメンバーを一斉入れ替え。途中出場の荒木、吉永、杉浦、佐藤のみピッチに残った。3バックは左からDF内川遼(市立船橋高)、DF大川佑梧(鹿島ユース)、DF本多康太郎(湘南U-18)が構え、ウイングバックは左が吉永、右がDF柴田翔太郎(川崎F U-18)。ボランチは佐藤に加えてMF木實快斗(C大阪U-18)とMF川合徳孟(磐田U-18)の早生まれコンビが入り、2トップは杉浦とFW山本吟侍(高川学園高)が組んだ。

 一方の関東大学選抜もGK西に代わってGKベンマムン・アミン(桐蔭横浜大)が入り、伊藤に代わってDF橋本紫生(国士舘大)を右SBに投入。鈴木が左SBに回り、CBの工藤と川口も左右を入れ替えた。それでもU-17日本代表候補の優勢は変わらず、30分には杉浦、31分には川合がゴールの枠を叩くシュート。33分には関東大学選抜が原田に代わってMF小川雄輝(中央大)を入れたが、39分にはU-17日本代表候補が木實のスルーパスから山本が抜け出し、決定機を迎えた。だが、シュートはミートせず、そのまま2本目を終えた。

 PK戦は2本目の後も3人制で実施。U-17日本代表候補は佐藤と吉永が決めるも2人目の杉浦が枠を外すと、3人が決めた関東大学選抜に2-3で敗れた。1本目と合わせると5-5の同点となった。

 3本目はU-17日本代表候補が再び4-4-2に戻し、荒木、吉永、佐藤、杉浦が交代。GKには上林大誠(山形ユース)が入り、4バックは右から柴田、本多、大川、内川が並んだ。ダブルボランチは木實と川合で変更なし。サイドハーフは左にMF高橋旺良(中央学院高)、右にMF加治佐海(川崎F U-18)、2トップは山本とFW木吹翔太(広島ユース)が務めた。

 関東大学選抜は2本目から出場したGKベンマムン、橋本、小川を除いた全員が交代。最終ラインは右からDF神山友陽(拓殖大)、橋本、DF渡邉雄大(東海大)、DF鷹取駿也(中央大)が並び、ダブルボランチは小川とMF仲野隼斗(東洋大)。サイドハーフは左にMF井上輝(拓殖大)、右にMF生地慶多(東洋大)が入り、2トップはFW小笠原大河(拓殖大)とFW遠山湧斗(中央大)が並んだ。

 するとU-17日本代表候補が意地の同点劇を演じた。まずは開始2分、右サイドを攻め上がった柴田のアーリークロスに対し、山本のボレーシュートは当たり損ないとなったが、GKのタイミングを崩してゴールイン。出場直後から泥臭く奮闘していた山本がようやく報われた。さらに28分、山本は木吹のスルーパスに抜け出し、GKとの1対1を冷静に決め、同点となる2点目で猛アピールした。

 U-17日本代表候補は39分には球際で相手選手と接触した高橋がプレー続行不可能となり、吉永が左サイドハーフで再出場。最終盤には関東大学選抜の攻勢を食らい、ゴール前を崩される場面もあったが、柴田が決死のゴールカバーでチームを救い、3-3のままタイムアップを迎えた。

 PK戦は通常どおりに5人制で実施。両チームのキッカーの精度が非常に高く、互いにフィールドプレーヤー10人全員が連続で成功させるなど、なかなか決着がつかない。勝負はGK対決に持ち込まれたが、そこでまさかの両チーム失敗。ともに12人目も成功させたが、13人目で決着がついた。先攻U-17日本代表候補の加治が決めたのに対し、関東大学選抜の13人目はGK上林がストップ。両チーム計26回に及んだPK戦は、フィールド全員が成功させたU-17日本代表候補が12-11で勝利した。

 終了後、報道陣の取材に応じた森山監督は「戦い方とか戦える選手の見極めが今回のテーマだったので、いろいろと収穫があった」と手応え。2本目の布陣変更についても「3バックもあんなに本番ではリスキーにはしないけど、トレーニングなので、うまく行った時は完全に決定機の連続になるようなチャレンジができた」と前向きに語った。

 今回の合宿では“06ジャパン”常連組のGK後藤亘(FC東京U-18)、MF矢田龍之介(清水ユース)、FW道脇豊(熊本)が招集外。DF永野修都(FC東京U-18)とFW徳田誉(鹿島ユース)もコンディションの都合で途中離脱しており、選手層を積み上げながらW杯予選を目指している。森山監督は「みんなどう化けるかなと楽しみな選手が多い。最終予選とかW杯で大きく変わっていくと思う」とさらなる成長に期待を寄せた。

(取材・文 竹内達也)
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