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期待と試練の連続先発…旗手怜央は随所に手応え「代表に選ばれたい思いが強くなった」

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日本代表MF旗手怜央(セルティック)

[6.20 キリンチャレンジ杯 日本 4-1 ペルー パナスタ]

 強度の高いプレッシングを仕掛けてくる南米の強敵に対し、日本代表MF旗手怜央(セルティック)が随所に持ち味を発揮した。期待と試練の入り混じった2試合連続の先発出場を経て、試合後には「代表に選ばれたい思いが強くなった」と決意も口にした。

 15日のエルサルバドル戦(○6-0)から中4日で迎えたペルー戦。前の試合で90分間フル出場していた旗手だったが、DF谷口彰悟、DF板倉滉とともに立て続けでの先発出場となった。カタールW杯までの期間はほとんどの招集機会を出場なしで終え、不遇の立場が印象的だった中で、ようやくチャンスが巡ってきた形だ。

 与えられたポジションはエルサルバドル戦と同じく、セルティックでも本職のインサイドハーフ。試合前の分析から中盤にはペルーの激しいプレッシングが襲いかかってくることが想定されており、「なるべく自分がボールを持たず、(遠藤)航くんとか(鎌田)大地くんにうまくボールが渡るようにフリーランの動きを意識していた」と、つなぎ役のイメージで試合に入っていた。

 それでも試合序盤から、ボールに関わるプレーでも輝きを放っていた。まずは前半4分、献身的なパスカットで最初のカウンター攻撃をお膳立てすると、本領発揮に至ったのは同21分のプレー。後ろからのパスを受けながら相手の激しい寄せの勢いを逆用し、華麗なターンからボールを前につけ、MF三笘薫(ブライトン)のクロス攻撃につなげてみせた。

「そこは自チームでも課題にしていたところだった。後ろから来ていてもターンして前につけるというのは少ない回数だったけど、(難しい)展開もあった中で出せたのはよかった」(旗手)。エルサルバドル戦はMF堂安律、この日はMF鎌田大地が攻撃を加速させる役目を担っていたが、旗手もそこに関われることを示したワンシーンだった。

 また旗手が意識していたというフリーランの動きでも、クロスに対してニアサイドに走り込んだり、ニアサイドに走り込むFWに呼応してファーサイドに走り込んだりと、森保ジャパンのコンセプトを徹底的に遂行。ボールはなかなか出てこなかったが、連係が合ってくれば厚みのある攻撃につながりそうな動きが見られた。

「FWが動いた時は相手のCBがついていくので、そこに入っていくのは自分の良さでもある。そこに入れなかったら自分のいる価値はないと思う。そこはしっかりできたと思う」(旗手)。前半37分の三笘のゴールシーンでも、旗手が左に流れて走り込んだことでシュートコースが生まれており、オフザボールの貢献度も高かった。

 さらに攻撃だけでなく、ダブルボランチ気味に構えた守備でも安定感を発揮。「航くんの守備範囲が広いのはすごくありがたかったけど、そうは言っても自分のところでやられるとダメなので、自分のところに来たら強く行くのは意識していた。まだまだだけど、そういうところが出せたのはよかったと思う」。攻守の奮闘で4-1-4-1システムの要所をしっかりと務め上げた。

 エルサルバドル戦でフル出場した影響もあり、この日はハーフタイムで交代。それでも昨年3月、同じく45分間のプレータイムで交代となったA代表デビューのカタールW杯最終予選ベトナム戦とは手応えがまったく違っていた。

「もう少しボールに関われる時間もあったと思うけど、ピッチで状況を把握しながら考えてプレーするところは随所にできたと思う」

 その手応えは代表へのモチベーションにも前向きな変化をもたらした。「ここで試合に出してもらったことで、チームの勝利に貢献したい思い、代表に選ばれたい思いは強くなった。今回の6月シリーズで選んでもらって、試合に出させてもらってよりそれを強く感じた」。次の活動は9月のドイツ遠征。代表キャリア初の連続招集に向け、未来に望みをつなぐ6月シリーズとなった。

(取材・文 竹内達也)

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