beacon

雲の上で迎えた19歳誕生日はぐっすり就寝…U-22日本代表初選出のDF高井幸大は無我夢中でパリ五輪の道のりへ

このエントリーをはてなブックマークに追加

DF高井幸大

 U-22日本代表初選出のDF高井幸大は4日、AFC U23アジア杯予選を行うバーレーンに入った。同日に19歳になった若武者は「すごく色々なことが一日一日で変わっていく。本当に一日一日を大切に、一年間実りのある時間を過ごしたい」と新たな一年への決意を表した。

 U-22日本代表初選出には「素直にうれしい。責任感を持ってやれればいいと思います」と謙虚。戦いの地に赴き、初めて飛行機の中で誕生日を迎えたが、その瞬間は寝ていたという。現地での練習初日ではバーレーンの猛暑に苦しめられる。練習終了後にはベンチに座り込んでしまう場面もあったが「もともと暑さには弱くて。なんか暑すぎて…」と初の体験に戸惑いを見せていた。

 ここまで激動の一年だった高井だが、特に春先からサッカーキャリアが大きく動いた。U-20日本代表として3月のU-20アジア杯では出場機会をなかなか掴めずにいたが、帰国後の4月にJ1デビューを果たすと、川崎フロンターレのチーム事情もあって実戦経験を積んでいく。5月のU-20W杯メンバーに選ばれ、全試合先発出場を果たすもグループリーグ敗退。世界の力を思い知った。

 高井はそれでも「世界のいろんな国と対戦することができて、直接やって肌で感じられるものもあった。もっと上に行くには成長しなきゃいけないと思った大会だった」と世界の舞台をポジティブに捉える。再び帰国後にはクラブでピッチに上がるが、チームの調子もあって苦しい時間が続いた。「できることより課題が明確になっている」と伸びしろを感じつつ「少しずつレベルアップをしていければ」と前を向く。怒涛の流れで移り変わる変化を、一つひとつ自分なりに咀嚼していた。

 U-20世代からは松木玖生、中野伸哉、そして高井と今回は3人のみの選出となった。メンバー入りの知らせを受けたときは「何に選ばれたのかあまりわかっていなかった」と本音を見せながらも「日の丸を背負って戦えることはすごくうれしい。引き締まった思い」と新たな変化にも対応する構えを見せている。

 大岩剛監督からは「年齢関係なくやってほしい」と発破をかけられたという。「サッカーをやること自体は変わりない。いつもやれているプレーを冷静にやれれば問題なくプレーできる。自信を持って臨みたい」(高井)。現地練習の初日では西尾隆矢ら守備陣メンバーに声をかけられながら、高井は少しずつ新チームに順応。才能は見逃されることなく新たな舞台へ。いまは無我夢中で目の前のハードルをひとつずつ越えている。

(取材・文 石川祐介)

●AFC U23アジアカップ2024予選特集ページ
石川祐介
Text by 石川祐介

TOP