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自己犠牲に終わったW杯ドイツ戦…絶好調で“再戦”に燃える久保建英「自信しかないですね」

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練習前、ピッチを見つめるMF久保建英(ソシエダ)

 カタールW杯のドイツ戦で日本代表が歴史的勝利を挙げた後、前半45分間のみで途中交代に終わったMF久保建英(ソシエダ)は歓喜に沸くチームメイトと共に喜びを表現しながらも、その表情には不完全燃焼な思いが見え隠れしていた。

 あれから10か月が経過し、ラ・リーガの舞台で実績を積み重ねて迎えるドイツとの再戦。8日の前日練習後、報道陣の取材に応じた久保は「めちゃくちゃ楽しみですね。本当に過去最高といっても過言ではないコンディションの自分がどこまでやれるか。というより、やれると思ってるんで。向こうにも意識されるくらいの選手にはなれているかなと思うので、あとは試合でどう出せるかだと思います」と自信満々に意気込みを語った。

 カタールW杯のドイツ戦では左サイドハーフで先発出場し、念願のW杯デビューを飾ったものの、一方的な守勢に回った前半限りで途中交代。後半はシステムを変えた日本が猛反撃に出る姿をベンチから見つめていた。試合後のインタビューでは「個人としては全然ダメだった」と振り返りつつ、「でもそんなことはどうでもいい。チームが勝ってうれしい」と悔しさを押し殺していた久保。しかし、あの苦しい経験はもう繰り返すつもりはない。

「個人的にはW杯であんまり良くない思いをした相手だったので、それを払拭するという意味では重要というか、良いイメージに持っていきたい相手ではありますね」(久保)

 前回対戦で悔いが残ったのは自身のパフォーマンスだけではなく、自身が守備に回る原因となった守備的なゲームコントロール。次のドイツ戦では、チーム全体としてよりアグレッシブな姿勢で試合に臨むべきだと訴えた。

「W杯だったのであれで僕は満足していますけど、さすがに親善試合であれは厳しいなと思う。W杯や次から迎えるアジア杯を見据える上でも、前回のような戦い方じゃダメだなと思うので。練習でトライしないことは試合では出ないのと一緒で、親善試合でトライできないことは試合ではトライできない。そういった意味で結果的にどうなるかはわからないけど、ビビって引いちゃうとかそういうのは避けて、自分たちのプラン通りに試合を進められればいいなと思います」(久保)

 ドイツ相手にも張り合える。そんなメンタリティーを支えているのは、ラ・リーガの舞台で高いパフォーマンスを残し続けてきた自信だ。

 久保はカタールW杯後、所属先のソシエダで7ゴール5アシストの大活躍を見せ、10年ぶりのUEFAチャンピオンズリーグ出場に貢献。今季に入っても、昨季の主力選手が抜けたチームの調子が振るわない中、孤軍奮闘しながら3ゴール1アシストの結果を残し、開幕4試合連続でラ・リーガ公式のMVPオブ・ザ・マッチに選出されてきた。

 残してきた実績も、築き上げてきた立場もW杯前とは違う。「チームでは監督にもチームメートにも信頼されるようになって、それも自分の力で掴み取って、徐々にみんなから信頼されているのを身にしみてわかった。自分がチームをなんとかしないといけないという責任感みたいなものが生まれたことが一つ、自分の今の好調の要因なのかなと思う」。現在の状況には充実感がのぞく。

 8月下旬にはトレーニングから一時離脱していた時期もあり、今回の合宿序盤も一部別メニューで調整していたが、現在の状態は「僕史上、過去最高じゃないですかね」と断言。「去年の終わりから調子が良くて、オフを挟んでどうなるかなと思いましたけど、体もすごいキレてますし、結果も出してるし、欲を言えば最初の4試合で勝ち点6しか取れなかったのは個人のところも含めて反省材料ですけど、それ以外は本当に文句ないんじゃないかなと思います」(久保)。あとはその好調を日本代表チームにも還元するのみ。「メンタル的にも僕はいまこれ以上ないスタートを切っているので、自信しかないですね」。そう言い切り、世界的強豪との再戦に照準を合わせた。

(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア2次予選特集ページ
竹内達也
Text by 竹内達也

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