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ドイツ戦に臨む森保J、異例の練習日数に手応え「だいぶ整理されている」「選択肢はいつもより多い」

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前日練習を行った日本代表

 日本代表は8日、ドイツ・ボルフスブルクのフォルクスワーゲン・アレーナで、国際親善試合ドイツ戦の前日練習を行った。冒頭の15分間が報道陣に公開され、26人全員がランニングやボール回しでウォーミングアップを実施。その後、非公開でドイツ戦に向けた最終調整を行った。

 森保ジャパンは普段の国際Aウィークよりも長い準備期間を終え、カタールW杯で歴史的勝利を収めた世界的強豪との再戦に挑む。

 今回の国際親善試合はW杯の結果を受けて、ドイツ連盟側からのオファーで実現したもの。招集メンバーの大半を占める欧州組に長距離移動がなかったことに加えて、ドイツ側の都合で異例の土曜日開催(現地時間9日午後8時45分、日本時間10日午前3時45分キックオフ)となったことにより、チームは普段の国際Aマッチウィークよりも長い5日間の準備期間を設けることができた。

 森保一監督は8日に行われた前日会見で「これまでの活動の中では2日間全体練習ができればいいかなというくらいで、カタールW杯予選では一度も全体練習なしで臨んだこともある。期間を与えてもらっているのはありがたい」と練習期間の増加を歓迎。細かいグループに分けてチームコンセプトを浸透させるトレーニングができたほか、全体でのミーティングも重ねることができたという。

 前日練習後に報道陣の取材に応じたFW前田大然(セルティック)も「いつもより準備期間があってみんなしっかりできたと思う。あとは明日勝つだけかなと思う」と日程を前向きに受け止めた。前回対戦からの改善点として「前回はボールを持たれることが多かったけど、ちょっとでも保持するのが日本として目標というかやるべきこと」というテーマを掲げつつ、ボールを握り返すためにこの期間で準備してきた守備戦術にも「だいぶ整理されていると思う」と手応えを口にした。

 そうしたチームの戦い方の共通認識は、普段より長い準備期間でのコミュニケーションを通じて、カタールW杯での対戦を経験していない選手にも浸透している様子だ。

 DF町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サンジロワーズ)は「W杯の時はポゼッション率が27%で数字自体を上げていこうという話はしていたし、後ろでズルズル行くのではなく、ボールを高い位置で奪って攻撃するという部分で全員の意思共有ができていると思う。高い位置で自分たちが主導権を取ってやれれば」とチームの狙いを明かしつつ、「相手のビルドアップに対して自分たちがどうハメに行くか、おのおので意見を出し合ってやっている。相手がこうしてきた時に自分たちがこうするといういくつもの選択肢を提示し、相手が来た状況に合わせて自分たちがチョイスしていくという部分ではそういう選択肢はいつもより多いと思う」と自信を示した。

 DF菅原由勢(AZ)も攻撃のイメージについて「間で受けるのが得意な選手もいるし、個でサイドで仕掛けられる選手もいるし、本当にいろんな形で相手を惑わせることができると思う。とにかく嫌なところにボールを運んでスペースをつけるようにしていければ」と述べつつ、「日本人のこういう緻密さは世界でもトップレベルだと思う。相手のディフェンスの仕方を見て、僕らもいろいろ話し合っているのでそういった展開になればいい」と濃密なディスカッションの成果をうかがわせた。

 もっともその一方で、前田はカタールW杯同様に謙虚なメンタリティーを持つことの重要性も強調していた。「(ドイツは)調子が悪い悪いと言われているけど、メンバーはいるし、チームとしても完成されたチーム。そういうのは気にせず、チャレンジャーの気持ちで行かないとやられてしまう。しっかりチャレンジャーの気持ちで戦いたい」。果敢に、それでも我慢強く——。森保ジャパンはW杯で示した強みを引き継ぎつつ、新たな積み上げを求めてドイツに挑む。

(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア2次予選特集ページ
竹内達也
Text by 竹内達也

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