beacon

あえて右に流れたMF鎌田大地「綺世の近くでと言われたけど…」策的中で2ゴール起点に

このエントリーをはてなブックマークに追加

MF鎌田大地(ラツィオ)

[9.9 国際親善試合 日本 4-1 ドイツ ボルフスブルク]

 日本代表の勝利を大きく手繰り寄せた前半の2ゴールは、いずれもトップ下のMF鎌田大地(ラツィオ)が右サイドに流れる形から始まっていた。好連係を見せていたMF伊東純也によると「大地が流れてフリーになるのは昨日の練習でもやっていた」という形。普段より長い準備期間を活かした濃密なディスカッションが、ピッチ上のパフォーマンスに結実していたようだ。

 日本は前半11分、DF菅原由勢のクロスに反応した伊東のボレーシュートで先制点を奪ったが、これはDF冨安健洋のサイドチェンジが右に流れた鎌田に渡ったのが起点だった。また1-1と追いつかれた同21分にも菅原のクロスを伊東がつなぎ、FW上田綺世が勝ち越しゴール。これも鎌田が右で絡んだことで、伊東が中央にポジションを取ることができていた。

 鎌田によると、このポジショニングは自身の判断によるものだった。「チームとしては4-2-3-1と言っていて、わりと綺世の近くでプレーしてほしいと言われていたけど、サイドのスペースはうまく効果的に使えると思ったので、中に入るよりはあっちに行ったほうがいいなと思った」。イメージは6月シリーズで採用していた4-3-3の右インサイドハーフのような役割。MF守田英正は左インサイドハーフのような位置取りでプレーすることが多かったため、うまくサイドを分担した格好だった。

 またそうした鎌田の判断は試合中に即興で行ったわけではなく、試合前のトレーニングで徐々に組み上げてきていたものだった様子。守田はこの日の配置について「前に奥行きを作ることを目的にやったけど、大地がアンバランスなポジションを取ったり、僕が上がった時に(左SBの伊藤)洋輝が内側を取ったりとか流動的な動きができた」と手応えを口にしており、一定の意思共有ができていたとみられる。

 試合後、森保一監督も「選手たちが凝り固まった一つのアイデアだけでなく、試合の状況、相手の状況によって、より相手の良さを止めたり、逆に相手のスキやウィークポイントを突くことを選手たちが試合の中で対応力、修正力を持って、賢く、良いコミュニケーションからプレーに結びつけてくれた」と選手がパターンを持った判断をしたことを称賛。ドイツ側の都合で土曜日開催になったことにより、普段よりも長く与えられた5日間の準備期間を有意義に活用できていたようだ。

 鎌田はさらに「もっと点が入ってもおかしくなかったし、ドイツが良くなかったとはいえ、inドイツで、彼らは彼らですごい勝ちたかったと思うし、またW杯の時とは違う勝利だと思う。自分たちが成長していると実感できる試合だったと思う」と手応えをアピール。システム変更も踏まえて「結果的に自分たちのやりたいように試合を進めて、チームとしてやりたいことができていたので今日は良かった」と手放しでパフォーマンスを称えていた。

(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア2次予選特集ページ
竹内達也
Text by 竹内達也

TOP